相続税が払えへんかったら、

 実家を売ったらええしな

 

と、弟は、簡単に言うのでした。(苦笑)

 

まるで、若い時に買うて

長いこと、弾いてへんかった、部屋の隅に

置かれているギターを、処分するかのごとく。。

 

そやけど。。。

 

実家には、数々の<物語>が、あるのです。

 

台所でお湯をわかしたまま、表の間で

コケてしもて、立ち上がれへん完ちゃんが、

なんとかして、ガスの火を消そうと

必死で、這いながら、台所へと匍匐前進して行った

畳のささくれた跡。

 

台所の机の下に、完ちゃんが落としてしもた

おかずを拾おうとして、かがんだ私の身体が、

様子をうかがおうとした、完ちゃんにぶつかってしもて

冷蔵庫に叩きつけられ、そのまま

ずるずると、床にずり落ちてしもて

 

やむなく、座布団を2枚つなげて、その上に

完ちゃんの身体を乗せて、遠い部屋のベッドまで

えっちら、えっちら、運んでいたったときの

滑りの悪かった、台所の床。(*^^*)

 

私の湿ったままのパンツを、庭先の先にある

乾燥機に入れて、乾かそうとしてくれて、

庭の縁石から、後ろ向けにコケてしもて、

肩を骨折し、立ち上がれへんかったときの、

危なかった、石だらけの庭。

 

この小さい中庭は、奥の間に面していて、

実は、おじいちゃんの仲良くしてはった女性が

おばあちゃんと対決(?)しにきゃはったとき、

この庭の石に登って、こっそり、立ち聞きしていた

いわくつきの庭でも、あります。(笑)

 

他にも、母屋では、

 

2階の押し入れに、入れてた着物を探しにいって、

キャスター付きの収納ケースにもたれて、

はたまた、後ろ向きにコケてしもて、

手首を骨折した時には、完ちゃんをどうやって

担架に乗せて降ろすか、救急隊の人も大変やった階段。

 

また、その階段は、2階へ遊びにきた友達に、

完ちゃんが、片松葉で、お盆に、中華そばの鉢を

2つものせて、えっちら、えっちらと

運んできてくれた、階段で、

 

片松葉で、どうやって、お盆に乗せて

運んできたんか、いくら尋ねても

 

 内緒♪ 私は、なんでも、できるのよ~ん!(*^^*)

 

と、笑うて、教えてくれへんかった、階段です。

 

あと、

 

完ちゃんしか読めへん、いえいえ

最後のほうは、完ちゃん本人も読めへんような

みみずの這うたような字で、中身が書かれたシールの

貼った、押し入れの収納の数々。

 

それから

 

おじいちゃんとおばあちゃんと、立派な仏壇に

いてほしいて、奮発して買うた、新しい仏壇。

けど、火事が心配やからと、電池式にした、申し訳ない蝋燭♪

 

<いつか使う>は、絶対に、使うときはあらへんからと

捨てんとアカン、いくら言うても、もったいない、言うて

綺麗にたたんで、しもてあった、百貨店やいろんな紙袋を

集めて入れた、ボロボロの、紙袋入れ。(笑)

 

もう、大人になってるし、そんなん、欲しいことない、

そういくら言うても、孫のために、集めていた

色々な<小さい、おまけのキーフォルダー>の入った

透明の箱が、大事にしもてあった、水屋。

 

階段が上り降り、できひん、完ちゃんのために、

大井製作所で作らはった、もう京都に1台しかない、いう

台所から、玄関の土間まで、立ったまま、

降りられる、昇降機のあった、玄関。

 

2階へ上がる階段のところに、私が自作の金閣寺の絵柄の暖簾を

かけとうて、けど、裁縫道具がすぐ見つけられへんかったら、

これで、十分、そう言うて、セロテープで、貼って作ってくれた

金閣寺の暖簾。

 

おじいちゃんが、パチンコで、もろてきゃはって

2階の水屋に、入れてあった、チョコレートが欲しいて

いつも、登っていった、祖母宅の階段。

 

父が、雪の朝に、大覚寺に行って、撮ってきたパノラマの写真、

雪景色の大沢の池の大きな額が飾ってある、奥の間。

 

椅子に座ることができひん、完ちゃんが

いつも、ちょこんとお尻をのせて、ご飯を食べていた

台所の豚さんのクッションのある、竹で編んだ椅子。

 

カッタン、言うて呼んでいた、歩行器。

完ちゃんが、その歩行器を持って、日々

家のなかを、うろうろしては、

 

身体の動くとこで、自分でもできる用事を探して、

つねに、歩き回っていた家のなか、

 

実家は、数え切れへんほどの、エピソードで

満ちています。

 

そやから、そんなに簡単に、

 

 売ったらええし

 

と、言わんといてほしい、です。(*^^*)

 

家いうのは、いったん、壊してしもたら

もう、二度と、居られへん場所やし、

 

そこであった、想い出の数々も、

家がのうなってしもうたら、想い出すのは

むずかしいなってしまう。

 

そやから、どんなに古うても

やっぱり、残しておきたいと、私は、思うのです。(*^^*)