ヒーリングは「祈り」。
昔、引きこもっていたころの話、
ある日、ふと、晩ご飯に耳を傾けてみたら、
「元気出して」
と聴こえました。
なんでご飯と話そうと思ったのかはいまだに分からないのですが、
なぜか、本当にふと、
「なんて言ってるんだろう?」
と思ったのです。
当時は両親とも元気で生きていたから、そのご飯は母が作ってくれたもの。
メニューはもう、忘れたけれど。
その頃私は、会社員を辞めた後、なかなか次の仕事が決まらず、何をどうやって頑張っても腰痛も全く改善せず、そのまま数年間、ズルズルとニートをしていました。
30代も半ばになろうというのに、家で何もせず、働かず、親の世話になって、仕事を探す気力もなく、ほとんど引きこもり状態。
毎日毎日、
「私、なにやってんだろう」って、
「みんな普通に働いてるのに、結婚したり、子育てしてる人もいるし、なのにいい年して私は…」って、
将来が不安で、なのに動かない自分がじれったくて、イライラして。
両親は私のことを責めたり、急かしたりはもうなくて、むしろ私の心の状態を心配してくれていたんですけどね。
父も何も言わず優しかったし、母も、やっぱり何も言わず、毎日ご飯を作ってくれていました。
ただ、私が私を許せなかっただけ。
何も言わないけれど、両親は心配しているだろう。
「こんなはずじゃなかった」って、こんなダメな私に失望しているだろうと、年相応に自立できない自分が情けなくて申し訳なくて、悲しかった。
そんな時に、
母が作ってくれたご飯から、
「元気出して」って、聴こえたのです。
ものすごくはっきり。
「ああ、そうか」って、
母の思いが、どれだけ私を思ってくれているのか、愛してくれているのか、分かりました。
「元気出して」
「ただ、愛している」
理解しようとするしか、
分かろうとするしかできないけれど、
この子の人生の辛さを代わりに背負うこともできないけれど、
親として出来ることをしてあげるしかないけれど、
「この子の心が慰められますように。癒されますように」
「幸せになりますように」
「幸せでありますように」
「また歩き出す力が戻りますように」
ただ、私の幸せを祈る心。
「ヒーリングって何ですか?」
「やり方が分からない」
「どうやったらうまくなりますか?」
セミナー受講生さんたちから、こういう質問をいつも聞かれました。
世には、たくさんのヒーリング法があります。
だけど、それぞれの知識や手法がどうであれ、
ヒーリングの根底にあるものは、
「祈り」なんです。
「あなたの心が癒されますように」
「あなたの人生が豊かでありますように」
「あなたが幸せでありますように」
そういう「祈り」すべてが、ヒーリングです。
日常に、みんながヒーリングをしています。
純粋に、相手を思いやる行為はすべて、ヒーリングだから。
同僚や友人、
家族やパートナー、
店員さん、お客様、
直接でも間接でも、
日々関わる人たちのために、または自分のためにでも、心を配る行為、思いやる心、そこに発する波動、そのエネルギーがヒーリングになるのです。
相手が気づいても気づかなくても、その波動は、伝わります。
思いやり、
祈り、
愛、
自身の内側から生まれる純粋な心の波動。
ヒーリングは、それが基本の根本。
様々なヒーリングの手法は、その祈りの波動を増幅したり、効率よく発動させて、狙う効果を出すための知識に過ぎません。
大事だけど、たんなる道具。
だから、
「どうやったらヒ-リングができるのか」
「どうやったらヒーリングがうまくなるのか」
は、知識や手法を学ぶこともある程度必要ですが、
「純粋な祈りを生み出せる自分でいること」が一番大切な素養であり、基本で土台なんです。
→「学び」で解決するならヒーリングはいらない。