九月が永遠に続けば | きょうのいっさつ~oblique books~

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知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす。

これ知なり。


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悪夢は夜の十時に始まった


息子が戻ってこない。
ゴミを出しに、ほんの5分の距離の収集場所まで行ったきり、
高校生の息子が戻ってこない。

「なぜ?どうして?」

理解を超えた出来事に、
母親の佐知子は動転し、手がかりを探ろうとした。
翌朝の朝刊には、自らの不倫相手の死が報道されていた。

日常の中に潜み続けた闇が、
ふとした瞬間にバーストアウトする様子を克明に綴り、
ホラーともサスペンスともミステリーともつかぬ
分類不能なジャンルに仕上げた作品。

闇の描き方は深さ・見せ方とも好きだが、
ちょっとしつこいし、ちょっと現実離れしすぎ。
乱暴に言うと、「風呂敷を広げすぎ」。

ラストシーンは賛否分かれるだろうが、
個人的には好きになれない。

この作品に失望した人には、
桐野夏生の「柔らかな頬」を薦めたい。
申し訳ないが、次元の違いを感じると思う。