告知される | フォトグラファーSayoの乳がん日記

フォトグラファーSayoの乳がん日記

09年4月,浸潤性乳管癌を告知される//リンパ転移あり//トリプルネガティブ患者//術前化学療法CE4クール+TC2クール→癌肥大によりCE2クール//09年10月,部分切除+リンパ切除//09年11月,右膝骨・肝臓・肺転移 右膝に放射線照射//09年12月,パラプラチン投与開始

200943日。



SブレストセンターのS院長先生に診ていただく。


「先日こちらのO先生に“脂肪腫”だと診断されたのですが、

気になるので切除していただきたいと思いまして・・・。」


S院長先生に言う。


「まず触診しましょう。」


そう言われベッドに横になる。

S院長先生が私のしこりを触った瞬間、


「こんなに硬い脂肪腫はない。」


そうはっきり言った。

 

「え・・・・・・・。」


「すぐにMRIと針生検※1 を受けてください。」


(※1 局所麻酔をして、メスで2ミリほど皮膚を切開し、太い針を刺して組織を採取する方法)




不安。

不安。

脂肪腫ってこんなに硬くないの?!

じゃあ、何なの・・・。

もしかして・・・・?

まさか。

私が?

そんなことない。

念のため念のための検査だよ。

大丈夫、大丈夫!



そのままMRIを受ける。

そして、超音波検査。





44日、針生検。



その時S院長先生は、


「翌週はご家族の方と一緒に来てください。

一緒に話しを聞いていただきます。」


そう言われた。


家族と一緒に?

いつもついてきてもらっている、母には。

でも一緒に話し?

なんで?

そんなに深刻?

えっ、一体なんで?????


しんどい一週間だった。


仕事はする、だけど頭をよぎるのは硬いしこりの正体・・・。

友達と遊ぶ、だけどまた頭をよぎる・・・。


考えたって仕方ないけど。


私を一人にさせまいと、

Okがずっとそばにいてくれて。

父や母ともいつも以上に会話をし、


「きっと大丈夫だよ。」

最後にはそう言って会話が終わる。


うん、そうだ。

私に限ってそんな。

健康だけが取り柄だもん。


風邪だって10年以上ひいてないし

そろそろ熱でも出さないと

バカが証明されるんじゃないか、、、。

だ、なんて思っているくらいだし。

ね。



一週間後。

2009年411日。

結果。



最初は一人で診察室に入った。

なんとなく。

一人で聞きたかった。



「検査の結果、乳がんであることがわかりました。」


先生にそう言われた。


泣くこともできず、

声を出すこともできず、

ただうなずく。

聞く。


あ。

書かなきゃ。

ノートを持って行ってたので

先生が言ってくださること

書かなきゃ。


冷静に。

書く。

うなずく。


目の前で先生に告知されていても

他人事みたい。

誰のこと?

私のこと?




「針生検の結果、浸潤性乳管癌※2 です。」


(※2 乳房以外の部位にも転移することがあり、この癌は乳癌の65~80%を占めている)


「また、ホルモン感受性、HER2がん遺伝子が陽性か陰性かは検査中です。


なんのことだろ?

ホルモン?

HER2がん遺伝子?


検査中なんだ。

ふーん。

とにかく先生が言ってくださったことはすべて書き留めて。

先生からもメモ書きを渡してもらう。



「ご家族の方は?」


「実はついてきてもらっているのですが

私一人で診察室に入りました。。。」


「それなら、呼んできてください。」



診察室から顔を出し、

待合室にいた母の顔を見た瞬間、

泣き出して。

泣き出して。

泣き出して。


それからあまり覚えていない。

何を考えていたのか、思い出せない。

あるいは何も考えていなかったのだろうか。



ただ、母は

S院長先生の話しをじーっと、じーっと、

聞いていた。

泣いている私の横で聞いていた。

母は泣くこともせず、

しっかりとうなずきながら。




「では4月15日に予約を取るので

CT※3 と骨シンチグラフィ※4 の検査します。」


(※3 リンパ節、肺、肝臓などに転移がないかの検査)

(※4 骨に転移していないかの検査)



つづく。