さて、このレポートも、6回目となりました。
今日の分と次回とで、終わりにしたいと思います。なので、あともう少し、おつきあい下さい。
今日は、
③ルートを歌う。
④チェンジを歌う。
です。
この二つは、勉強というより、基礎練習!です。
③ルートを歌う。
一曲を通して、アカペラで歌えるようにします。
難しくはないので省きがちですが、スキャットで迷子にならないために、やっておいたほうがいいと感じます。
ソロの最中、曲のどこにいるのかわからなくなったら、ベースの音を聞きなさい、とよく言われます。ベース奏者はルートを響かせているので、曲の進行の手がかりになるからです。
でも、実際にわからなくなったら最後、上がってしまってパニックです。
だから常に、道から外れないよう、ルートというものさしで曲の進行を、フォローしておきます。
④チェンジを歌う。
これは、いまだチェンジという用語が、私もピンとこないのですが、テキストの用語をそのまま使いました。コード・チェンジ、つまりコード進行のことらしいです。
具体的に何をするかというと、そのコードの、スケールを歌う練習です。
再びHow High The Moonの、最初の4小節を、例にします。
|F△7 |F△7 |F m7 |B♭7 |
これらのコードには、元になっているスケールがあります。
F△7なら、コードの構成音→ファ ラ ド ミ
スケール→Fイオニアン
ファ ソ ラ シ♭ ド レ ミ (ファ)
F m7なら、コードの構成音→ファ ラ♭ ド ミ♭
スケール→Fドリアン
ファ ソ ラ♭ シ♭ ド レ ミ♭ (ファ)
B♭7なら、コードの構成音→シ♭ レ ファ ラ♭
スケール→B♭ミクソリディアン
シ♭ ド レ ミ♭ ファ ソ ラ♭ (シ♭)
というもの、です。
スケールの中に、コードの構成音が含まれているのが、わかります。
それらを、1小節ごとに、あてはめて歌っていきます。
(スケールは、マイ辞書が出来上がっていれば、それで調べることもできます。)
お気づきのように、
基本的に、同じキーなら、同じ音符が入ったスケールを使っている。
ということが、わかります。
これは、考えてみれば当然で、ダイアトニック・コードというのは、そのキーのスケールの音だけで、構成されているものだから、です。
たとえば、さっきの|F m7 |B♭7 |は、Fメジャーキーの曲に挿入された、E♭メジャーキーのツーファイブでした。
そのスケールを並べてみると、
ファ ソ ラ♭ シ♭ ド レ ミ♭
シ♭ ド レ ミ♭ ファ ソ ラ♭
となり、同じ音がズレているだけ、です。
ただし、始まりの音が違うと、モード(イオニアンとかドリアンとかのこと)が変わるので、音色は違います。
ダイアトニック・コードが続くところは、同じスケールが元になっているぶん、比較的歌いやすい、と言えます。
なので、この練習も、ノンダイアトニックに切り替わるところが、ポイントになります。
でも、さほど困難な練習ではないです。
さて。
スケールを歌うと、なんとなく、ここからスキャットができるまで、もうすぐそこ?のような気もしてきます。
しかし、この段階では、まだまだな感じ、です。
その理由としては、
そのコードで使えるスケールを覚えたからといって、そのスケールの音をその場で自由に組み合わせ、メロディーとし、口から出す。というのは、至難のわざだから。
それに、そのコードで使えるスケールというのは、実際、一つとは限りません。
さっきは、F△7なら、Fイオニアン。などと、最も基本的なスケールを書きましたが、コードによっては、使えるスケールに、いくつかの候補があります。
もちろん、それらを全部覚えて歌う、ということは不可能ではないと思いますが、
スケールだけたくさん覚えても、それを組み替えて歌うのも大変な上に、
たとえばオルタードスケールのように、半音がたくさん出てきて耳慣れないものだと、スケールを歌えるようにするだけでも、大変です。
(たぶん、スケールを覚えるというやり方は、基本的に、音を出す器官を道具として持つ、楽器奏者がソロを作る際、有効なアプローチと言えるのでしょう。
楽器奏者は、どのスケールを使うかということに、心を砕いています。なぜなら、それが彼らのソロ演奏の内容に、直結するからです。)
しかも。
そのスケールを使って作曲して歌えば、即、スキャットになるかと言うと。
そうでもありません。
ジャズには、もっともっと、必要な要素があるんです。
というわけで、今日のまとめとしては、
ルート、チェンジを歌う練習は、私のような初心者は、したほうがいいと思います。
そして、チェンジを歌う練習は、あまり躍起にならず、基本的なもので十分です。(もし慣れてきたら、ドミナント・セブンスのところを、オルタードで歌ってみるとか、チャレンジしてもいいと思います。)
ここでは基本を押さえておけば、そんなに無理な挑戦をしなくてもいい、と考えます。
これらは、つまるところ、
ジャズの勉強、というよりは、
基本の音楽の勉強、でした。
だから、もし、チャレンジが必要だとすれば、
それはいよいよ、次回出てくるガイドトーン・ラインと、ソロのトランスクライブ、というアプローチ。
の、あたりからです。
最後になって、ようやく、
音楽の勉強。
から一歩踏み出し、
ジャズの真髄。
に、触れることになります。
次回は、最終回です。残り、
⑤ガイドトーンラインを歌う。
⑥その曲のソロ演奏をトランスクライブする。
⑦自分のスキャットを作る。
の、お話をしたいと思います。
ありがとうございました!