ひさびさ!ジャズの勉強レポート⑥ | ジャズ・ヴォーカリストMASAYOブログ   〜高慢と偏見〜

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ジャズヴォーカリストMASAYO/北海道出身

さて、このレポートも、6回目となりました。


今日の分と次回とで、終わりにしたいと思います。なので、あともう少し、おつきあい下さい。


今日は、

③ルートを歌う。

④チェンジを歌う。

です。


この二つは、勉強というより、基礎練習!です。


③ルートを歌う。


一曲を通して、アカペラで歌えるようにします。


難しくはないので省きがちですが、スキャットで迷子にならないために、やっておいたほうがいいと感じます。


ソロの最中、曲のどこにいるのかわからなくなったら、ベースの音を聞きなさい、とよく言われます。ベース奏者はルートを響かせているので、曲の進行の手がかりになるからです。


でも、実際にわからなくなったら最後、上がってしまってパニックです。


だから常に、道から外れないよう、ルートというものさしで曲の進行を、フォローしておきます。


④チェンジを歌う。


これは、いまだチェンジという用語が、私もピンとこないのですが、テキストの用語をそのまま使いました。コード・チェンジ、つまりコード進行のことらしいです。


具体的に何をするかというと、そのコードの、スケールを歌う練習です。


再びHow High The Moonの、最初の4小節を、例にします。


|F△7    |F△7    |F m7   |B♭7   |


これらのコードには、元になっているスケールがあります。


F△7なら、コードの構成音→ファ  ラ ド ミ

スケール→Fイオニアン

ファ  ソ ラ シ♭  ド レ ミ (ファ)


F m7なら、コードの構成音→ファ  ラ♭  ド ミ♭

スケール→Fドリアン

ファ  ソ ラ♭  シ♭  ド レ ミ♭ (ファ)


B♭7なら、コードの構成音→シ♭  レ ファ  ラ♭

スケール→B♭ミクソリディアン

シ♭  ド レ ミ♭  ファ   ソ ラ♭ (シ♭)


というもの、です。


スケールの中に、コードの構成音が含まれているのが、わかります。


それらを、1小節ごとに、あてはめて歌っていきます。


(スケールは、マイ辞書が出来上がっていれば、それで調べることもできます。)


お気づきのように、


基本的に、同じキーなら、同じ音符が入ったスケールを使っている。


ということが、わかります。


これは、考えてみれば当然で、ダイアトニック・コードというのは、そのキーのスケールの音だけで、構成されているものだから、です。


たとえば、さっきの|F m7  |B♭7  |は、Fメジャーキーの曲に挿入された、E♭メジャーキーのツーファイブでした。


そのスケールを並べてみると、


ファ  ソ ラ♭  シ♭  ド レ ミ♭ 

      シ♭  ド レ ミ♭  ファ   ソ ラ♭


となり、同じ音がズレているだけ、です。


ただし、始まりの音が違うと、モード(イオニアンとかドリアンとかのこと)が変わるので、音色は違います。


ダイアトニック・コードが続くところは、同じスケールが元になっているぶん、比較的歌いやすい、と言えます。


なので、この練習も、ノンダイアトニックに切り替わるところが、ポイントになります。


でも、さほど困難な練習ではないです。


さて。


スケールを歌うと、なんとなく、ここからスキャットができるまで、もうすぐそこ?のような気もしてきます。


しかし、この段階では、まだまだな感じ、です。


その理由としては、


そのコードで使えるスケールを覚えたからといって、そのスケールの音をその場で自由に組み合わせ、メロディーとし、口から出す。というのは、至難のわざだから。


それに、そのコードで使えるスケールというのは、実際、一つとは限りません。


さっきは、F△7なら、Fイオニアン。などと、最も基本的なスケールを書きましたが、コードによっては、使えるスケールに、いくつかの候補があります。


もちろん、それらを全部覚えて歌う、ということは不可能ではないと思いますが、


スケールだけたくさん覚えても、それを組み替えて歌うのも大変な上に、


たとえばオルタードスケールのように、半音がたくさん出てきて耳慣れないものだと、スケールを歌えるようにするだけでも、大変です。


(たぶん、スケールを覚えるというやり方は、基本的に、音を出す器官を道具として持つ、楽器奏者がソロを作る際、有効なアプローチと言えるのでしょう。


楽器奏者は、どのスケールを使うかということに、心を砕いています。なぜなら、それが彼らのソロ演奏の内容に、直結するからです。)


しかも。


そのスケールを使って作曲して歌えば、即、スキャットになるかと言うと。


そうでもありません。


ジャズには、もっともっと、必要な要素があるんです。


というわけで、今日のまとめとしては、


ルート、チェンジを歌う練習は、私のような初心者は、したほうがいいと思います。


そして、チェンジを歌う練習は、あまり躍起にならず、基本的なもので十分です。(もし慣れてきたら、ドミナント・セブンスのところを、オルタードで歌ってみるとか、チャレンジしてもいいと思います。)


ここでは基本を押さえておけば、そんなに無理な挑戦をしなくてもいい、と考えます。


これらは、つまるところ、


ジャズの勉強、というよりは、


基本の音楽の勉強、でした。


だから、もし、チャレンジが必要だとすれば、


それはいよいよ、次回出てくるガイドトーン・ラインと、ソロのトランスクライブ、というアプローチ。


の、あたりからです。


最後になって、ようやく、


音楽の勉強。


から一歩踏み出し、


ジャズの真髄。


に、触れることになります。


次回は、最終回です。残り、

⑤ガイドトーンラインを歌う。

⑥その曲のソロ演奏をトランスクライブする。

⑦自分のスキャットを作る。

の、お話をしたいと思います。


ありがとうございました!