前回、How High The Moonの、コード分析を始めました。
Ⅰ△7 Ⅰ△7
|F△7 |F△7 |F m7 |B♭7 |
|E♭△7 |E♭△7 |E♭m7 |A♭7 |
と、ここまでやったら、3小節目が、ノンダイアトニック・コードになってしまいました。
では、このノンダイアトニック・コード、一体何者なんでしょう?
以下、私の脳内を、説明していきます。
まず、ノンダイアトニック・コードを、大きく二つの種類に分けて、考えます。
⓵代替。挿入。
⓶部分的な転調。もしくは転調。
です。
(実際は、⓶の中にも⓵があったり、さまざまに使われています。)
⓵は、普通の進行パターンでいったら、そこに来るはずのダイアトニック・コードの、代わり置かれている。または、ダイアトニック・コードの間に、つなぐように、経過音として入っている。
というものです。
例としては、裏コードとか、セカンダリー・ドミナント、パッシング・ディミニッシュなどです。
同じキーの流れなんだけれども、変わり種をひとつ、ふたつと混ぜている。という感じです。
そんな⓵とは違って、
⓶では、別のキーの存在が、浮かび上がります。
具体的には、サビで転調している。もしくは、別のキーのⅡm7→Ⅴ7(→Ⅰ△7)が挿入されている。
といったもののことです。
では、楽譜に戻って、
この場合、⓵と⓶、どっちでしょう?
ここで、次の第4小節のコードを、確認してみます。
B♭7。
これも、Fメジャーのダイアトニック・コード↓の中に、見当たりません。
F△7 Gm7 Am7 B♭△7 C7 Dm7 Em7(♭5)
はい。ないです。
ちなみに、第5〜8小節のコードも全部、ノンダイアトニックですね。
こうなってくると、一時的な感じではないので、とりあえず⓵ではないだろう、と考えられます。
はて。
では、たぶん⓶だろうと想定して、
3、4小節目の|F m7 |B♭7 |が、マイナーコードとセブンスコードの組み合わせであることに、目をつけます。
その場合、もしかしてこれは、
IIm7→Ⅴ7ではないのかな?
と考えるのが、王道です。
ちなみに、この進行のことを、ツーファイブと言います。
でももちろん、Fメジャーのツーファイブではありません。(Fメジャーなら、ツーファイブはGm7→C7です。)
だから、なんか別のキーのツーファイブに、ちがいありません。
もし、F m7がIIm7だとしたら、Fの一音(正式には全音)下が、Ⅰ△7になります。
Fの全音下は、E♭です。
つまり、第3、4小節の|F m7 |B♭7 |は、
E♭キーの、ツーファイブではないかな?
そう思って、第5小節のコードを見ると、E♭△7になっています。
このことから、F m7→B♭7のツーファイブが、E♭△7で解決しているのだな、とわかります。
結果、第3、4、5小節は、E♭メジャーキーの、Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ△7
が、挿入されている。と言えます。
一応マイ辞書で、E♭メジャーのページを見てみます。E♭のダイアトニック・コードは、
E♭△7 F m7 Gm7 A♭△7 B♭7 Cm7 Dm7(♭5)
です。Ⅱm7はF m7、V7はB♭7になっています。なので、合ってた!ということになります。
続きの7、8小節目も、ぜひ同じように考えてみて下さい。
こうやって、ダイアトニック・コードの間に、ノンダイアトニック・コードがはさまったりしながら、ひとつの曲が進んでいくわけですが、
最終的にはオリジナルのキー、ここではFメジャーキーに戻って、曲が終わることになります。
今回は、
こんなの全部、耳でわかるよ!
と言われてしまえば、それまで。の、説明かもしれません。
でも、私のような初心者は、理解することで聴こえてくる音があります。その意味で、とても有益な勉強だと思います。
さて、コード分析のお話は、以上です。
次回は、
③ルートを歌う。
④チェンジを歌う。
のお話になります。
ありがとうございました!