和製スター・ウォーズにして仮面ライダー映画『宇宙からのメッセージ』(1978年公開作品)レビュー | SayGo's 映画レビュー

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勝手に映画鑑賞して
ダラダラとレビューします。

今回鑑賞してみたのは、

和製スター・ウォーズとして今だカルト的人気を博す

1978年公開作品

『宇宙からのメッセージ』

 

公開日:1978年4月29日

上映時間:105分

 

皇帝ロクセイア12世率いるガバナス帝国の侵略によって

自らの居住惑星を巨大要塞に改造されたジルーシア人

彼らは救世主を求めて8つの「聖なるリアベの実」を宇宙に放ち、

それは8人の勇者を選び出したのだった。

 


アメリカでの『スター・ウォーズ』の爆発的な人気を察知し、

日本での公開前にSFムーブにあやかろうと製作された

ジャパニーズ・スペース・オペラ

監督を深作欣二が勤め、当時の特撮やSFに精通するスタッフが集結した本作は

10億円を超える製作費が投入されています。

映画『キングダム』(2019)で製作費10億円とも聞きますが、

時代が違うので余計にスケールは破格でしょう!

 

いろいろな場所でこの作品の名前が挙がっていたので鑑賞しましたが、

これが物凄い作品でした。

 

ガバナス帝国に侵略されたジルーシア人が聖なる実を放ち、

その実に選ばれた勇者たちが巨悪との戦いに挑むという本作は

『里見八犬伝』をモチーフに壮大なスペース・オペラを展開していきます。


『スター・ウォーズ』のデス・スターを彷彿とさせる惑星要塞、

C-3POとR2-D2を合体させたようなサポートロボットに、

スター・デストロイヤーさながらの演出で写されるガバナス巨大戦艦。

本家のデス・スター攻略をほぼそのまま

クライマックスを演出してしまうなど

スター・ウォーズのパロディーというよりパクリ要素が満載な作品で、

作品の良し悪しはさておき、いろいろ楽しめてしまう不思議な作品でした。

 

そして、魅力的なのが

『スター・ウォーズではない!これは和製スペース・オペラだ』

と言い放つ、ジャパニーズのSF特撮要素です。

 

どう見たってスターウォーズ!

だけど、間違いなく日本の特撮大作だ!

と常に思わされてしまうこの作品は

スター・ウォーズという作品に挑んだ

日本特撮プロフェッショナルの戦いが見える。

 

8つの聖なる実『聖なるリアベの実』が勇者を選び出し、

選ばれた勇者が宇宙を救うという

『里見八犬伝』を確実に彷彿とさせる物語もさることながら、

もっとも『和製』テイストを醸し出すのは

立ち塞がる敵=ガバナス帝国のデザインです。

 

様々な国の文化を表面的に混合させ、

ノアの箱舟的な要素まで入れ込まれるジルーシア人や、

日本人キャストと海外キャストをごちゃ混ぜ!

人種キャストに関しては本家を超えているのではとも思える

8人の勇者キャラクターはそこまで日本らしくはないのですが、

 

仮面ライダーだよ!

これV3のヨロイ元帥だよ!

 


※↑が仮面ライダーの敵 ヨロイ元帥です。


とついついツッコミたくなってしまう

ガバナス帝国のキャラクターや基地のデザインが

ジャパニーズ感をこの上なく醸し出します!

なんて言ったって

あの石ノ森章太郎が参加しているからそりゃそうですよね!

 

とはいえ莫大な予算があったというだけあって、

ショッカーの基地も豪華絢爛!

これは仮面ライダー映画、ショッカーの宇宙進出物語としてみたら

かなり楽しめる作品ですよ!

敵のボスである皇帝ロクセイア12世は正直かなり好みですね(笑)

 

 


また、世界観に一貫性が全然ないのもツボでした!

スター・ウォーズさながらのビーム銃や

巨大宇宙戦艦VS小型ファイター機などSF感あふれる戦いが

用意されているわけですが...

結構、サーベル(刀)戦がメインに置かれてたりするんですよ。

何が言いたいかといえばですね、

光線をはじけるライトセーバーならわかるんですが、

ただの刀ってどういうことよ!ともう...最高でしたね。

日本刀にするくらいぶっ飛んでくれたら余計最高でしたね。

劇中で馬も登場するくらいですし。

 

そして、またいいのが急な西部劇展開

要は、『10歩歩いて振り返って撃て』血統ですよ。

もしかしたらハン・ソロのイメージから持ってきたのかもしれませんね。

遊び心満載です!

 

物語は正直、いや、本当に大したことないのですが、

あのスター・ウォーズをしっかり和にもっていった強引さを

楽しめる娯楽作品ですね。

 

いろいろ言いたいことはたくさんですが、

一つだけ言わせてください!

音楽の使い方ヘタすぎるだろ!学芸会かよ!と!

 

『聖なるリアベの実』を象徴するテーマ曲があるのですが、

実が発見されるたび、捨てた実が戻ってくるたび、

実が集結するたび、実に関連したエモい展開にはいるたび...

何度も何度も流されるわけですよ。

勇者8人いるってことは実との出会いもそれぞれあり、

8回同じ流れで、同じ曲が流れるわけですよ!

 

『天気の子』のRADより、『ルーキーズ』のタララッラ~♪より

くどい!雑!

こんな酷く重ねるごとに効果を無くす音響演出見たことなかったです。

 

 

ただ総じて憎めない、愛らしい特撮作品でした。

スター・ウォーズと比較しながら見てワイワイしてみては

いかがでしょうか?