Netfilixオリジナル映画『タイラー・レイク-命の奪還-』レビュー 【86点】 | SayGo's 映画レビュー

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勝手に映画鑑賞して
ダラダラとレビューします。

『タイラー・レイク-命の奪還-』

Netflix配信日:2020年4月24日

上映時間:117分

 


MCUの『マイティ・ソー』シリーズで一躍スターとなった

【クリストファー・ヘムズワース】主演に迎えた

Netflixオリジナルアクション映画。

 

拉致された麻薬王の息子の救出ミッションに当たる

傭兵 タイラー・レイクの活躍が

リアル指向あるコンバットアクションと臨場感あふれる演出の数々で

描かれていきます。

 

監督は『アベンジャーズ/エンドゲーム』に

セカンドユニット・ディレクターやスタント・コーディネーターとして

参加していた【サム・ハーグレイヴ】

『アベンジャーズ』シリーズで監督を務めたルッソ兄弟が製作を務める。

 



傭兵を稼業としていたタイラー・レイクの元にあるミッションが舞い込む。

それは誘拐された麻薬王の息子 オヴィを救出するというものだった。

バングラデシュに向かった彼らは オヴィの身柄確保に成功するのだったが、

警察をも手中に収める組織の圧倒的な戦力と雇い主の裏切りにチームは壊滅。

タイラーは1人 オヴィの救出ミッションを果たすことになっていく。

 

 

いろいろキャスト・スタッフともに『アベンジャーズ』の面々が揃った本作は

流石Netflixといったところ。とんでもなく豪華なアクション映画となっています。

 

本筋は『救出ミッション』という非常にシンプルな内容となっており、

【とても見やすいアクション映画】となっています。

 

【チーム壊滅】【単独での救出ミッション】に加え、

警察組織を手中に収める組織の【圧倒的な武力行使】に苦戦を強いられていく

アクション展開はかなりの見ごたえ!

クリストファー・ヘムズワースの無双ぷりは、やはりかっこいいものでした。

 


 

正直なところ、最初はかなり気楽に観ていました。

主人公タイラーの描写にしろ、組織関係にしろ、かなり記号的で、

見やすさに反して深みを感じない作風に

捻りのないアクション娯楽なのだろうと思っていたからです。

 

【あるポイントが来るまでは…】

 

自分はこの作品について何も知らず鑑賞したがゆえ

強烈な【映画体験】を感じることができました!

なので、少しでも気になった方はここで読むのもやめて、

紹介記事に関しても調べないことをオススメします!

 

 

バングラデシュに潜入した

タイラーをはじめとする傭兵チームは

麻薬王の息子 オヴィの身柄確保に成功するのですが、

警察組織の指揮を掌握する組織の強大な武力と

麻薬王に脅され オヴィの救出を強いられていたサジュの猛攻によって壊滅。

 


タイラーは1人、少年オジュの命を守りながら街からの逃亡を図ります

街を掌握する【組織】と麻薬王の手下【サジュ】から狙われるという

絶体絶命の状況はかなりアがる展開となっているわけですが、

逃亡シークエンスのカーチェイス内の【あるポイント】から

尋常ではない臨場感を放ちだします。

 

最初は『すごいな』『熱が冷めない編集するな』程度に楽しんでいたのですが、

途中で気づきました!

これ【ワンカット】で演出されていることに!

カーチェイスの後半から、行き着いた市街地(住居内)での格闘、

そして、再びのカーチェイスまでのアクションシークエンスが

すべてシームレスに繋ぎ合わされていたのです。

 

昨年公開された映画『1917』のようなトリックカットではあるものの

事前に知らなかったので衝撃はすさまじいものでした。

 

途中までその演出に気づかなかったのは

相手が単独か複数かで明確に戦術が変わるタクティカル性の高いアクション

ワンカットとは知らずとも感じる臨場感に魅入られていたこともありますが、

 

一番はひとつひとつの【画の完成度の高さ】

ワンカットを前面に推し出す作品では画の作りの甘さを感じる部分が多いのですが、

この作品は一切それがありません。

 

映し出される画はすべてが【ひとつのカット】として成立しており、

アクションシーンを盛り上げるピースの役割を果たしてしまっている。

ワンカットで見せられるような映像、演出ではないのに

見せてしまっているといったところでしょうか。

 

カットを割っているかのようなバリエーションの豊かさ

ワンカット演出だからこその臨場感

さらに言えば、ワンカット演出だから輝きを放つツイストの効く展開

タイラーを襲う事態を一層衝撃的に見せてしまう。

 

計算されつくされたからこその成立したこのアクションシーンは

かなりの見ものです!

 


事態が過激化するクライマックスも素晴らしいところです。

逃亡劇から【戦争】さながらのスケールに拡大し、

敵対していたタイラーとサジュの関係性の変化がドラマを熱くしていきます。

 

冒頭で深みがないとは言いましたが、

後半、本作は意外にもドラマ性を帯び、

それが主人公 タイラーやサジュの行動ロジックとなることで

アクションシーンは面白くなっていきます。

 

その根本にあるのが【家族の物語】です。

記号的なキャラクターにも思えたタイラーとサジュですが、

【少年オヴィに彼らの家族=息子】が投影されていくことで

人間味を帯びだしていきます。

 

『ヒーローだから助ける』という安直なものではなく、

【自分と向き合うため】【家族のいる父親として】

オヴィを見捨てられず、戦火に身を投じていくタイラーとオヴィのドラマは

非常に感動的で、彼らの父親としての戦いが描かれていきます。

随所に散りばめられていた家族描写は

クライマックスでしっかりと華を咲かせます!

 

意外にもエモーショナルなドラマが展開されていく

クライマックスのアクションは見事でした。

 

家族というものを知ったオヴィの心の変化を

映画らしい演出で余韻を残すラストカットも最高です。

 

 

ワンカットアクションシーンの完成度の高さ。

シンプルかと思われた救出劇が

父親としての戦いにも変貌するクライマックスのドラマ性。

見て損はない映画でしょう。

 

【86点/100点満点中】