映画超雑レビュー「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」86点 ファンには眼福映画! | SayGo's 映画レビュー
「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」
公開日 2019年8月9日
上映時間 101分
ーーーーあらすじーーーー
海賊の海賊による海賊のための祭典・海賊万博。
麦わらの一味を始め、招待された世界の海賊たちは
万博で用意された海賊王ゴール・D・ロジャーの残した宝探しに集い、
壮絶なお宝争奪戦の幕が上がる。
しかしその裏には、元ロジャー海賊団の鬼の跡目こと
バレットの野望が潜んでいた ー
尾田栄一郎の人気コミック『ONE PIECE』。
そのアニメ放送20周年を記念した劇場作品。
これまで登場した人気キャラクターが一同に介し、
ドリームチームを結成する。
★★ファンには眼福もの!珠玉のお祭りエンターテインメント★★
今や漫画世界の頂点に君臨する『ONE PIECE』。
そのアニメ放送20周年を記念した本作はまさにお祭り映画だ!
ONE PIECEのドラマを彩ってきた人気キャラクターが一同に介し、
ドリームチームを結成してしまう胸アツ展開はもちろんのこと、
その中心に海賊王 ゴール・D・ロジャーの宝まで掲げてしまう。
アニバーサリー作品としてこの上ない椀飯振舞!豪華絢爛だ!
★★『やっぱりお祭り映画はダメだ...』と思っていたら...最高!★★
開始からの約30分感ほどはまさに祭りと言っていい!
高らかな笑い声と共に登場する『ヤツ』の存在は
打ち上げ花火の如く映画の始まりを盛り上げるわけだが、
本作の宿敵たる元ロジャー海賊団 ダグラス・バレットが
『ヤツ』の言動によって担ぎ上げられその強さが担保される
オープニングはワクワク感を募らせる!
ヤベェー『ヤツ』が関わりたくない存在なんてヤベェーに決まってるからだ(笑)
そして、海賊万博が開幕され、全世界の海賊たちが集結する。
多くの海賊団がひとつの宝を巡って死闘を繰り広げるレースバトルは
『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』(2003)を彷彿とさせる
王道海賊娯楽を展開していくのだが、
『デッドエンド』と比にならないスケール感、ファンサービスに釘付けだ。
『デッドエンド』では主要海賊団以外ほとんどが無名であったわけだが、
本作では『最悪の世代』をはじめとする
現原作における人気強者海賊団たちが集い、競い合う!
しかも、彼らが奪い合うのは海賊王 ゴール・D・ロジャーの宝だ!
ロジャーの残した秘宝『ワンピース』を巡り、
世界中の海賊たちがしのぎを削るメインストーリーが
集約されたようなこの『宝探し』シークエンスは
一種の最終回のようなもの。
確かに、共闘関係や人物の容姿から
原作ストーリーにおける本作の時系列がある程度絞られてしまうため、
もしかしたら無理もあるのかもしれないが、
彼らが同じ場所に集い、合いまみえる様が映し出されれば
ファンならとりあえず夢中になってしまう豪華さ。
それぞれのキャラクター個性を損なうことなく
的確に見せ場を用意し、争奪戦を展開させていく整理力も素晴らしく、
漫画的な質感とアニメならではの迫力が両立された作画による
アクション描写にも眼は幸福の一言!
そんな強者同士の死闘となればもう収集がつかなくなるのだが、
それを容易く納めてしまうのがバレットだ。
そして、彼の放つ一言が物語をさらにドライブさせ、
物語は早くもvsバレットというシチュエーションに突入するのだが...
思い入れのある強者キャラクターたちが
拳を交えれる前半は高揚感が凄まじいだけに
新規キャラクター バレットとの戦いに雪崩れ込むと
そのお祭り感、勢いはどうしても失速してしまう。
『最悪の世代』が入り乱れても一矢報えず、
海軍による無差別攻撃『バスターコール』すら恐れないバレットの姿は
それこそアベンジャーズにおけるサノスのような『最強』さを醸すが
ONE PIECEの世界観には似つかわしくない
パワーのインフレと容姿の変貌を遂げていき大味なバトルに発展していく。
好みはあるだろうが『敵の巨大化』による
力描写があまり好きではない自分は
『楽しいけど、やっぱりお祭り映画はこうか...』と
『楽しいけど、ただのキャラクター映画だったな...』と
覚悟し始めてしまった。
しかし、見終わった頃には
個人的にはワンピース映画史上1位、2位を争う作品になっていた。
★★海賊王の資質が勝敗のロジックとなるバトル!★★
ネタバレを極力避けたいので多くは語らないが、
あるキャラクターの言動が大味かと思われた物語に意味を持たせ、
それが結果バレットとの戦いの勝敗にロジックを与えるものとなっている。
もちろんこの作品最大の魅力となるのは
終盤で目的を共にした敵味方の境を越え結成される
ドリームチームによる対バレット戦だ。
強大な敵を前に一時の共闘を結ぶ展開は
ファンにとって見ているだけで眼福ものなのだが、
素晴らしいのはその後の『ルフィvsバレット戦』だ!
先程も述べたように『巨大化』展開が嫌いな自分にとって
生身で殴り合うバトル展開をクライマックスに用意してくれているのが
とにかく最高なのだが、その2人の戦いに邪魔が入らないよう
奔走する麦わら海賊団がかっこいいのだ。
それこそ戦隊ヒーロー作品のように
仲間が言葉通り力を合わせて戦うことによる
チームの絆描写もいいと思うが、
船長であるルフィのことを理解しているからこそ、
彼の戦いに邪魔が入らぬようにサポートに徹する行動は
麦わら海賊団の特別な絆関係を描く。
ルフィーとバレットという個と個の戦いは
個人が有する力のぶつかり合いだが、
その裏に『仲間の存在』が置かれ、
それが勝敗にロジックを与えているのが素晴らしい。
ドリームチームの結成にしろ、仲間の支えにしろ
ルフィの『海賊王としての資質』にも通じる描写にもなっているでしょう。
だからこそ、バレットが最後、
ルフィを見て『彼の姿』を彷彿とする描写は見事にハマっている。
一見大味であり、本筋において最重要な物語ではないが
ルフィをシチュエーションや他者の視点から
『海賊王』に近づける本作はファン必見です!
★★反則技ファンサービスに感涙!★★
本当にキャラクター描写が素晴らしい!
ワンピースへの理解と愛がある映画だ。
人気キャラクターの個性を損なわず、
的確に見せ場を用意する整理力は言うまでもないわけだが、
個人的にあっぱれだったのが、
『クロコダイル』と『ルッチ』の描写だ!
この2人のキャラクターは他の人気キャラクターに比べ
見せ場もなく、唯一行動するシーンでも確かな活躍を見せないのだが、
キャラクターの個性はだからこそ爆発している!
表だって活躍させない、行動させないことで魅力を打ち出す演出は見事だ。
そして、まぁ反則技を見せるクライマックスのひと演出!
原作や普通の映画作品でこの演出をされたら
『ふざけるな!』ともいってしまいそうだが、
このお祭り映画でそれをやられたら、最高だ!
泣くにきまってる!
登場するだけで劇場をどよめかせてしまう
あのキャラクターの存在力に改めて驚かされた。
また、これぞワンピースという楽曲を
ここぞというポイントに持ってきてくれる部分にも...
長年のファンにはたまらない!
キャラクター映画としても最高!眼福映画!
★★総評★★
ファンを喜ばせる本作は
アニバーサリー映画として完璧な出来でしょう。
ドラマ震度が深まる昨今の物語も好きだが、
こういったエンターテインメントに特化した
どこか懐かしさもあるワンピースはやはり面白い。
ファンとしては100点満点です。
★★★★★