現在、今年のアカデミー外国長編映画賞を受賞した英国映画「関心領域」という映画が日本でも公開されごく一部の国民の関心を呼んでいるようです。
今日たまたまNHK総合で「キャッチ」という番組を見ていたらその中で「映画で見つめる世界のいま」というコーナーに元東大教授の藤原帰一氏が登場しこの映画の紹介をしていました。(25分後に登場)
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映画を観なくとも予告編や彼の説明を聞くだけでもおよその内容は察しがつきます。
ポーランドにあるアウシュビッツ収容所の中で行われている悪魔のような所業に対し壁一つ隔てた外では平和で平穏な暮らしを送る収容所長ルドルフ・ヘスの家庭の様子を映し出すことによって、関心のあることしか見ようとしない人たちを痛烈に批判した映画とのことです。
ということは、とりもなおさずこれは現在のイスラエルによるガザ殺戮とそれを止めるどころか批判さえしない欧米各国を批判した映画であることは想像がつくでしょう。
壁の内と外という意味ではガザそのものであることは明白です。
実際この映画を監督した英国人ジョナサン・グレイザーはアカデミー賞授賞式のスピーチで、パレスチナ自治区ガザで続く戦争に焦点を当て、
「私たちは今、あまりに多くの罪なき人を巻き込む紛争に至った占領によって、ユダヤ人としての自分の存在とホロコーストが乗っ取られてしまった、そのことに異議を唱える者として、ここに立っている。
10月7日のイスラエルにおける犠牲者だろうと、今もガザで続く攻撃の犠牲者だろうと、人間性を奪い去る行為によって犠牲者が出ている。私たちはどう抵抗すればいいのか」と問いかけました。
会場では、監督のこの発言に拍手する人たちもいましたが、このスピーチに対し1,000人以上のユダヤ人のクリエーター、重役、ハリウッドの専門家が、このスピーチを非難する公開書簡に署名しました。。
ジョナサン・グレイザーのゾーン・オブ・インタレスト・オスカーのスピーチが手紙で非難される (variety.com)
この映画を見たわけではありませんが、我々は果たしてヘス一家を非難することができるだろうかという世界中の人たちに対する問いかけでもあるようです。
これは別にホロコーストだけの問題ではなく、日本でも福島や沖縄や鳥取、外国人労働者や難民、マイノリティーに対する差別、家庭や学校での虐め、虐待など身近な事に対しても言えることですね。
かく言う私も世の中のあらゆる不条理に対して見て見ぬふりをする人の一人であることを白状します。
藤原センセーは現在のガザについて当然言及するかと思いきやイスラエルもガザも監督のスピーチについても一言も触れずヨーロッパでは極右政党が支持を伸ばしてるなんて話にすり替えてました。
NHKにもガザの事には触れない様お達しが出ているのか宗主国様を忖度しているのか抗議されるのが怖いのかよくわかりませんが、現在のイスラエルとナチスを結びつけそうなことはタブーとされているのでしょう。