円安が続いています。
今となっては信じられませんが今から30年ほど前の雑誌や経済専門誌を見ると「円高は日本を滅ぼす」なんて記事が満載でした。
その頃は円高不況なんて言われてたんです。
当時は国内生産が主流で、円高になると輸出先の価格が上がり売れなくなってしまうので、主に労働者の賃金を抑えることでコストダウンをはかり販売数量を維持することが経団連などの方針でした。
ですから、年一回の賃上げの春闘時期がやってくると必ず不況ムードがマスゴミによって形成され賃上げが抑制されました。
そうして春闘もおさまった頃を見計らって6月ごろから景気好調という報道がされるのです。
春闘ではドル高による売り上げ減の業績悪化が賃上げのブレーキ役を果たしました。
現在は円安によって原材料費の高騰がその役目を果たしているというわけで、日本では何が起きても賃金が上がらないという仕組みが出来上がり、その結果は先進国中最低の賃金国となって、その一方で企業の内部留保は増え続けています。
OECD発表平均給与の実質値購買力平価換算ではすでに10年前に韓国に抜かれて主要先進国中最下位です。
これで海外からの観光客が日本に押し寄せない理由はありません。
トヨタなどの輸出大企業は円高によって史上最高利益を上げ今年は僅かに賃上げをしましたが、従業員の給与は海外の自動車メーカーほどではありません。
トヨタ 営業利益5兆円超 日本企業 過去最高|テレ東BIZ(テレビ東京ビジネスオンデマンド) (tv-tokyo.co.jp)
国民がいつまでも豊かになれないのはもはや為替レートとか金利とかの問題ではなく、日本は国民がどんなに真面目に一生懸命働いても構造的に一般国民には働いた分の利益が還元されない国になってしまっているということです。
日本は世界一の債権国所謂金持ちでありながら国民の殆どはその実感が全くありません。
海外赴任をした人なら誰しもが日本国民のつつましやかで食うには困らないが貧しい生活ぶりにあらためて気が付くことでしょう。
そのような体制を作り上げ維持しようとする自民党政府に思考停止した多くの国民が不満も抱かず支持し続けてきた結果が現在の日本の姿なのです。
昨日政治資金規制法案が衆議員で可決されましたが、企業や団体の献金の廃止は盛り込まれず、全くの骨抜きで形だけの欠陥だらけの法案により今後も政治が金で買われ銭ゲバ連中と自民党の癒着が続くことになりました。
企業や団体が政治家に多額の献金をするのはそれ以上の見返りがあるからで、こんなことすらまともに改革できない自民党にはすでに自浄能力が全く失われ、自民党が政治を支配している限りは日本はマトモな国にはなれないということです。
そもそも、最近の補欠選挙で自民党が負け続けているとは言っても投票率がいずれも30%前後しかありません。
自民党の腐敗と堕落を許しているのは国民の民度があまりにも低すぎるということに尽きます。
日本は次第にアメリカのような上級国民のみが豊かで快適な生活を送れる国へと変わりつつあります。
次第に不満を持つ人が増えたとはいえ結局選挙には行かないので何も変わりません。
行ったとしてもテレビのコメンテーターたちが主張するだらしない野党よりはやっぱり自民党の方がいいやということになってしまう。
せいぜい第2自民党の維新の怪に票が流れるだけ。
日本では実際に乞食が街中に溢れ餓死者もあちこち出るような時代が来ても暴動どころかスト一つ起きるわけでもデモが頻発するわけでもなく、相変わらず投票率も上がらないのではないでしょうか。
先日、NHKの「映像の世紀」で「安保闘争 燃え盛った政治の季節」というのを放送していましたが、あの頃のエネルギーはどこへ消えてしまったのでしょうか?