ヒトは何故歌うのか? | 狭山与太郎のどですかでん

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5月2日NHK BSの「フロンティア」という番組で「ヒトはなぜ歌うのか」というドキュメンタリーを放映してました。

ヒトはなぜ歌うのか - フロンティア - NHK

認知症でもなぜか消えない音楽記憶。その謎を解く鍵はアフリカ熱帯雨林に住む狩猟民音楽の民・バカ族の暮らしにあった。太古の昔に獲得した、私たちの脳と音楽の密接な関係とは? 認知症で自分の名前すら忘れてしまっても、なぜか「音楽記憶」だけは消えない不思議。その謎を解く鍵を握るのはアフリカ熱帯雨林に住む狩猟採集民・バカ族。「言語よりも音楽」によるコミュニケーションが暮らしの中心にあるという。森の中で歌い踊るバカ族の豊潤な音楽シーンをたっぷりと紹介。太古の昔に獲得した私たちの脳と音楽の密接な関係とは!?最先端の脳科学、音楽人類学など多面的なアプローチで「音楽の起源」に迫る。

 

ただいまNHKプラスで配信中です。(5月9日まで)

#BSおすすめ配信 - NHKプラス

 

音楽好きの私にとってはなかなか示唆に富んだ見ごたえのあるドキュメンタリー番組なのでありました。

最初は若年性アルツハイマーの人を例にとり、楽器を演奏したり歌を歌うことが認知症の進行を遅らせることを紹介しています。

登場者は認知症を患い全く人とのコミュニケーションが取れない状態でしたが、何故かビートルズの曲は全曲ソラで歌えるほど覚えていて認知症患者の集いで音楽仲間を見つけてからはまるで見違えるように元気になった例を紹介していました。(認知症が治ったわけではありません)

人間の脳には音楽を聴く聴覚視野と快感物質を出す報酬系記憶を繋ぐネットワークが存在し認知機能が衰えてもこれが衰えないという説明がされます。

又、ビートが繰り返されると脳の予測機能が働き、次にどんなビートが来るか予測し始めるというのです。

ビート以外にもメロディーの展開など音楽は予測アイテムがたくさんあり、その総てがヒトの脳の報酬系を刺激し内側前頭前野を活性化させるということです。

集団で歌ったり手拍子などでリズムを取ることは集団のムードを作り、モチベーションを高めるなどの機能があると言います。

そしてこの作用は人間特有なもので、同じ霊長類であるチンパンジーには見られないということです。

「スノーボウル」と名付けられたオウムが音楽に合わせてステップを踏んで体をゆする姿が紹介されます。2000年に発見され話題になったそうです。

生後間もない子供でも既にビートに反応する現象が確かめられており、人間が言語を獲得する前から集団の中でコミュニュケーションを取る手段として音楽を身に付けたのではないかと考えられています。

 

人と音楽との関りを調査するためにスタッフはカメル―ン国境付近の熱帯雨林に住む狩猟民バカ族が住む集落を京都大学の音楽人類学の研究者と共に訪ねます。

まずは彼らの人懐っこさに感激することでしょう。

彼らは一日中何かにつけ手拍子でリズムを取りながら合唱するのですが、これが短いループの連続で音の抜き差しや拍の取り方など微妙なグルーブ感で独特な音楽を形成しています。

言葉ではなく音楽に参加することでこの集落の一員として連帯感を高めお互いに仲間であるという意識を共有し合っているとのことです。

驚くべきはみんなで川で洗濯をしている時ですら水面をたたく音でリズムを取りあって音楽にしてしまうのです。

しかもみんなで同じリズムを取るのではなくこんな時ですらポリリズムなのです。

 

スタッフは集落の女性7人が手拍子を取りながら歌う姿を一人一人個別にマルチトラックで録音しました。

それを解析すると、各人がおのおの違う拍で異なる和音で歌い合っていることが分かりました。

それが合わさると独特な響きとして心地よく聞こえてくるのです。

特に楽譜があるわけではありません。

しかもリズムや声の役割分担が常に決まっているわけではなく歌っている途中で入れ替わったりするのです。

一番大切なことは周りの音をよく聞くことだと言います。

周りの音をよく聞いて、他の人がやっていないリズムや声で合唱に参加することが求められているようです。。

みんなで歌を歌うことによって集団が協力し助け合い「集団の絆」を強めると言います。

 

彼らの音楽はパターン化された音型を反復させる所謂「ミニマル・ミュージック」と相通じるものがあります。

 

因みに、先月24日ミニマル・ミュージックの元祖スティーブ・ライヒの訪日に合わせNHK BSの「クラシック倶楽部」で二日ほど彼の作品を放送していました。

その中でマリンバ奏者加藤訓子さんが一人で6人分の演奏を多重録画した「シックス・マリンバ・カウンターポイント」を放映しておりました。

単純なリズムの繰り返しにより脳内にα波が発生し、まるで催眠状態に陥ったような感覚に捉われます。

参考として

加藤訓子/ライヒ:『ドラミング』|HMV&BOOKS online

 

尚、「フロンティア」「ヒトはなぜ歌うのか」はBSで5月10日(金) 午前9:25〜午前10:24に再放送されます。

興味のある方は是非ご覧あれ。

途中23分あたりからバカ族を訪ねるシーンになりますが、これだけでもなかなか面白い。

 

余談ではありますが、彼らはいまだに石器時代とほとんど変わらないような生活をしているわけですが、このドキュメンタリーのテーマとは関係なく人間ににとって大事なものは何か、共生社会とはどういうものか、幸せとは何かということを彼らの姿を見て感じたのであります。