落日のアメリカ  | 狭山与太郎のどですかでん

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真実のあくなき追究。
全てのマインドコントロールから日本の皆さんを目覚めさせ、解放します

先日中国を訪問したフランスのマクロン大統領は言いました。

「欧州は米国の傀儡から自立せねばならない」

「台湾問題は欧州が関与すべき問題ではない」

「欧州はドルへの依存を下げるべきだ」

Antiwar.com からのニュース

 

先月には中国の仲介でサウジアラビアが宿敵イランと外交関係を回復しました。

さらに、サウジアラビアは上海協力機構に参加することを閣僚決定し、中国との石油代金の取引を人民元で行うことに合意。他国に対しドル以外の通貨もオープンとすることを検討しています。

ブラジルは最大の貿易相手国である中国との取引にドルを使用しないことを宣言しました。

インドは自国と非米諸国との貿易決済をドルでなくルピーで行う方針を発表しました。

 

現在ロシアに制裁を加えようとする国はEUや日本、オーストラリア、カナダなどアメリカの属国以外にはほとんどありません。

人口比で言えば世界の人口の約3割弱でしかないのです。

以上のことはアメリカの国際的影響力が大幅に低下していることを表しています。

ドル支配体制崩壊の日は近いうち確実にやってきます。

金価格の異常な高騰はそれを如実に表しています。既に20年前から徐々に進行しており金価格はこの20年で8倍になっています。

その引き金を引いたのはアメリカ自身です。

そうして息の根を止めたのは自ら仕掛けたウクライナ戦争。

ロシアを弱体化させるのが目的でしたが、むしろ弱体化したのはアメリカ自身とEUという皮肉な結果となっています。

 

名目為替レートではロシアは経済規模が小さく、フランスの半分、スペインとほぼ同じ大きさです。

そのためウクライナ戦争勃発後の欧米諸国による前代未聞の制裁措置に対しルーブルは暴落しハイパーインフレが起きロシア経済は破綻するだろうと言われていました。

ところが、却ってルーブルの価値は上昇し経済破綻も起きていません。購買力平価(PPP)の指標によるとロシアの経済規模は実際にはドイツに匹敵するほど大きかったのです。

実質的な生産経済規模は2倍以上であり、相対的な経済力は5倍近くあるのですが過小評価されていたのです。

しかもロシアは資源大国であり食料自給率も100%。

工業製品も非制裁国経由で制裁後も変わらずに輸入されています。

このためロシアは欧米の制裁を軽々と乗り越えられました。

 

欧米の主要メディアは相変わらず中国が世界第2位の経済大国であると説明しています。

しかし、実際には既に数年前に実質ベースでアメリカを上回っていることはCIAのWorld Factbookを参照すれば誰でも確認できます。

Real GDP (purchasing power parity) - The World Factbook (cia.gov)

 

さらに、中国の完全近代化経済の44%がサービス業であるのに対し、アメリカのサービス業(広告、小売販売、教育、個人サービス、多様性コンサルティング)は全体の80%近くを占め、実質的な米国内での生産高はわずかしかありません。

2019年の時点で中国の実質的な生産経済はすでにアメリカの3倍となっています。

アメリカ国内で生産している物は今や農産物と航空機と兵器くらいしかありません。

実際、中国の実質的な生産部門は、2017年にはアメリカ、EU、日本の合計を上回りました。まさしく「世界の工場」なのです。

日本で販売されている工業製品電気製品から日用雑貨品にいたるまでその殆どは中国製です。

 

特許出願は、40年前はほとんどゼロだったものが2018年には世界全体の60%以上に達し、アメリカの約3倍にもなっています。

世界の特許出願件数、3年ぶり過去最高 中国がけん引 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

最近のWSJの記事によると、米国で最も人気のあるスマートフォンアプリ5つのうち4つは中国製で、フェイスブックは5位にランクされています。

現在米国の若者の間で広く人気のある中国製アプリTikTokを禁止すると脅していますが、これは旧ソ連時代若者に人気のあったジーンズやロック音楽をソ連政府が禁止したのと同じ現象だと揶揄されています。

 

中国の最大の戦略的弱点は巨大な産業基盤を支えるエネルギーや原材料を輸入に頼っていることでした。

国際的な対立の中でアメリカは中国に対し制海権を使ってこうした重要な供給を阻止できる可能性がありました。

しかし、アメリカは世界一の資源国であるロシアに対し絶え間ない敵意を示し、度重なる嫌がらせや制裁や挑発行為を行い、中国とロシアを深く結びつける結果となってしまいました。

ズビグニュー・ブレジンスキー言うところの「被差別部落の同盟」をアメリカ自身が作り出してしまったわけです。

 

一方ソ連崩壊を予言したフランスの歴史人口学者エマニュエル・トッドは中国がアメリカに代わり世界の覇権を握ることはできないと述べています。

その理由は中国で進行する急激な少子高齢化。

遅かれ早かれ日本のようなことになるということなのでしょう。

私はそれに加えて言語の問題もあるのではないかと思います。

中国語が世界共通言語になる可能性は少ないし、中国の公用語が英語になって世界を制覇するというのもおかしな話ですからね。

AIが発達し世界中から言語の障壁が取り除かれ、中国の少子化に歯止めがかかるときは来るのでしょうか。