テスラ社のCEOで世界一の大富豪イーロン・マスクは総額440億ドル(約5.6兆円)で米ツイッター社を買収することになりました。
そうして彼はツイッター本社をホームレスのshelter(一時宿泊所)にすべきかどうかを問う投票を開始しました。
ツイッター本社をホームレス施設に、マスク氏提案 ベゾス氏も支持 | ロイター (reuters.com)
これに対しアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が10日、提案を支持するとツイートし、シアトルのアマゾン本社に付属するシェルターを紹介した2020年の記事を投稿しました。
こうしたお金持ちのいかにも慈善的な偽善行為は決して美談として受け入れる気持ちにはなりませんね。
要するに単なる人気取りの宣伝でしょう。
その前にこれらの人たちにはきちんと税金を払いなさいと言いたい。
米大富豪「ほとんど納税せず」=米ウェブメディア - BBCニュース
そもそも彼らのようなお金持ちは、現在のような富が富を生む勝者総取りのような社会体制を十二分に活用しその恩恵を受け、一方でこのような多くのホームレスを生み出している根本的な問題には目もくれず、自分の資産を増やし会社を巨大化し、政治にも口や顔を出し、自分の思い通りに世界を動かそうという野心に満ちた人達が殆どです。
イーロン・マスクだって決して例外ではありません。
彼はかねてより、ツイッターによる投稿内容の制限を声高に批判し、ツイッターは真の言論の自由を可能にするプラットフォームにならなくてはならないと主張してきました。
自らを「言論の自由絶対主義者」と標榜していますが、無秩序な言論の自由の場はフェイクやヘイトスピーチの吹き溜まりにもなりかねません。
早速、複数の人権団体などが懸念を表明しています。
国際人権団体アムネスティー・インターナショナルは、「Toxic Twitter」などとツイートを連投し、「利用者を守るために設計された利用規約や仕組みの徹底を損なう方向へ、ツイッターが進むのではないかと懸念している」と書いています。
イーロン・マスクのTwitter買収とその後の言論姿勢に関心を示す圧倒的多数は、何らかの意味ある形で権力に異議を申し立てているような人々ではなく、ドナルド・トランプのアカウント復活を望んだり、トランスジェンダーの人々に卑劣なことを言うのが可能になったりするのを望む人々であるとオーストラリア、メルボルンを拠点とする独立系ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストンは言っています。
億万長者が助けに来てくれるのは映画と漫画の中だけ: マスコミに載らない海外記事 (cocolog-nifty.com)
彼女は
「イーロン・マスクがTwitterを救おうとしていると信じるのは、ジョー・バイデンがアメリカを救おうとしていると信じるのと同じぐらい考えが甘い。どの少数独裁者がメディアを支配すべきか議論するのは、どの少数独裁者が雇う政治家が政府を運営すべきか議論するのと同じぐらい愚かで情けない
ロシア・メディアの検閲を、もし、いつかTwitterがやめ、ウクライナで起きていることに関する帝国の公式言説に疑問を呈したことで、プラットホームから排除されたスコット・リッターのような人々の禁止を解除したら、言論の自由に関するマスクの話に私は注意を払い始める。」
と述べています。
確かに先日報道番組でウクライナのアゾフ連隊の幹部がテスラ社の通信衛星スターリンクのおかげでロシア軍に対し有利に闘うことができているとインタビューに応えていました。
マスク氏、ウクライナを支援 衛星ネット送受信機提供: 日本経済新聞 (nikkei.com)
アマゾンの創始者ジェフ・ベゾスはポケットマネーで2013年ワシントンポスト紙を買収しました。
しかし、現在のワシントンポスト紙はかつてピュリッツアー賞を69回も受賞し、ニクソン政権を倒すきっかけとなった「ペンタゴンペーパーズ」を掲載した頃の面影は全くありません。
イーロン・マスクの言う「報道の自由」とはすなわち「彼が思っていることを自由に報道できる自由」という意味でしかないのかもしれません。