『名歌名句辞典』(佐々木幸綱・復本一郎/三省堂)より選句
千代女(ちよじょ)
しぶかろかしらねど柿の初ちぎり
I do not know it is bitter or not.
I pick the persimmons
for the first time this year.
『ちぎり』は、『捩り』であることは間違いないが、『契り』の意味を含むかどうか。
加賀千代女は、加賀国松任(今の白山市)で、表具師福増屋六兵衛の娘として生まれているところ、結婚したことがあったのか、なかったかは、両説あってはっきりしない。
しかし、柿の木を特定して柿を捩るのに、しぶ柿かそうでないかわからないということは普通考えられない。したがって、『ちぎり』とは、『契り』の覚悟を遠回しに言っているものと思う。
結婚は、決して甘いものでなく渋いものかもしれないけれども、柿のなる実りの秋に初契り