2020.5/8 唐詩選 劉長卿 重送裴郎中貶吉州 | サワラ君の日誌

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「墨場必携 唐詩選を書く」(日本習字普及協会)より選句、習字

 

劉長卿(りゅうちょうけい) 
重送裴郎中貶吉州(重ねて裴郎中の吉州に貶せられるを送る)

 

猿啼客散暮江頭 人自傷心水自流
同作逐臣君更遠 青山萬里一孤舟

 

猿啼き客散ず 暮江の頭(ほとり) 
There are the cry of the monkeys. Two travelers break up at the sunset river dock.
人は自ら心を傷ましめ水は自ら流る
People naturally get depressed.And river water flows naturally.
同じく逐臣と作(な)って君更に遠し
I and you were banished from the capital.And you are banished further from here. 
青山 万里 一孤舟
A small boat heads to Seizan-region at the end of the world.

 

猿が啼き 旅人が別れる 夕暮れの江の船着き場
人は自然と心を傷め、水は自然と流れる
君も私と同じく都から追われた君臣なるも、君は更に遠く追いやられることとなった 
青山 万里のはて 一孤舟

 

 

 ウイキペディアによると、劉長卿は、玄宗皇帝の時代の進士、性剛直で権勢家に逆らうことが多く左遷させられて終わる。
 「司馬光・資治通鑑」(田中謙二編・訳/ちくま学芸文庫)によれば、玄宗皇帝の時代、権勢第一位は宰相の李林甫、続いて第二位は王鉷(おう きょう)と後に謀反する安禄山、第三位は、楊貴妃のいとこである外戚の楊国忠であったという。開元の治と称えられた善政をサポートした張九齢など忠臣が李林甫によりすべて排除されて後は、玄宗のまわりは佞臣だらけとなる。張九齢などにつながる進士はすべて李林甫により都の外に遂われており、作者の劉長卿も漢詩の裴郎中も、李林甫により左遷させられた可能性が高い。