2020.2/27 漢詩名句 王昌齢 従軍行其三 | サワラ君の日誌

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「漢詩名句400選」(有岡 しゅん崖 編著者/東京堂出版)より選句、習字
 

王昌齢 従軍行 其三

 

秦時名月漢時関 万里長征人未還

但使龍城飛将在 不教胡馬度陰山

 

秦時の名月 漢時の関 

万里 長征 人 未だ還らず

但だ龍城の飛将をして在ら使しめば 

胡馬をして陰山を度(わた)ら教(し)めず

 

秦の時代の明月は、漢の時代の関を照らす
万里に遠く長征した人はいまだ帰らず
ただ龍城に、飛将軍(李広将軍)あらしめば 
胡の軍馬に陰山を渡らせることはしない 

 

 そもそも、起承転結の起の句について。唐の時代の作者が、どうして、秦の時代の「月」に、漢の時代の「関」だなどと言うのか。例えば、平安時代の「月」に、江戸時代の「関」とあると、普通、意味不明?では。しかしこの謎は、承の句で解けた。

 この漢詩のサビは、承の句「万里長征人未還」と思われる。すなわち、人民は、秦の時代も、漢の時代も、万里に遠く長征した人はいまだ帰らず。

 しかし、今度は、「但使龍城飛将在 不教胡馬度陰山」の転結の句が、蛇足みたいでわからない。起承では人民がいつもえらい目にあっていたと言っていたところ、今度は、龍城に飛将軍(李広将軍)がどうのこうの…?どういうこと?

 はぐらかされたみたいだが、人民が長い間、骨を埋め続けてきたにも関わらず、唐の現代でも、相変わらず解決しない、漢の飛将軍がいればなあと、行間の隙間を想像で埋めて捉えれば、起承転結全体で筋が通ってきた気がする。