湘南の陰陽占い心理カウンセラー 富岡紗和子

 

 

私は子供の頃、

好きなテレビを

見させてもらえない家庭で育った。


1台しかないテレビは父親が占領し、

プロ野球中継やら相撲中継、

ニュース番組などを見ていて、

 


私が見たことのある、

子供向けの番組といったら

『サザエさん』『まんが日本昔話』

くらいのものだった。


お笑い番組などは、父親の好きだった

『志村けん』関連のものは

隣で一緒に見ていたが、

 

 

それ以外のテレビの知識などは全くなく、

私は当時誰もが知っていたであろう

流行りの歌手やタレントの名前なども、

何も知らない状態で生きていた。


私の父親は仕事で転勤の多い、

いわゆる“転勤族”であったため、

私は小学校3年生になったばかりの時に、

初めて転校というものを経験した。

 

 

小学生の時の転校生というのは、

割とみんなからの方から

積極的に寄ってきてくれるものだ。

 


私も例にもれず、休み時間のたびに

色んな同級生が

「友達になろうおねがいキラキラと話しかけてくれた。


ある休み時間、

私がトイレに行った後、

廊下の水道で手を洗っていると、

ある同級生の女の子が声をかけてくれた。

 


子供なりの会話の糸口だったのだろう。

 

 

その女の子は

『さわちゃん、

好きな歌手ってだれはてなマークおねがい

と話しかけてきた。

 


しかし、ほとんどテレビを

見たことがなかった私は、

流行りの歌手など知る由もなく、

パニックになった。


歌手って誰がいるんだろう・・・

えっと・・・滝汗滝汗


慌てた私は、

無い脳みそを高速回転させた。


そして絞り出した返答がこともあろうに

 

『細川たかし』であった。

 

 


断じて申し上げるが、

私は小学3年生のころ

決して『細川たかし』の

ファンだったわけではない。

 


歌手というものを、

父親が見ている番組内の情報でしか知らず、

 


突然の質問に『細川たかし』しか

思い浮かんでこなかったのだ。


同級生の女の子は

え?誰それ滝汗アセアセ

と絶句していたが、


すぐに気を取り直すと

『私はね、光GENJIおねがい

明るく教えてくれた。

 

 

 


当然だ。

 


その時代、小学生の女子は

ほぼ光GENJIのファンであり、

 


その中でかーくん派やら、

あっくん派などに分かれて

盛り上がっていたのであり、

 


私は『細川たかし』などと

回答してはいけなかったのだ。


この『細川たかし』事件から

すでに30年以上の年月が経過しているが、

 

 

私の中にはこの一件が

黒歴史として深く刻まれており、

 


今でも思い起こすと胸がチクリと痛む、

切ない思い出となっている。

 


あの時私に話しかけてくれた女の子が、

私の『細川たかし』を

忘れてくれていることを願うばかりである。

 


そんな私であったが、

引っ越してきた自宅から1件おいて

お隣に住む『ももちゃん』という女の子と、

あっという間に仲良しになった。

 


ももちゃんは同じ学年だったが

違うクラスであった。

 


そのため学校で休み時間に

遊ぶことはなかったが、

 


学校が終わると一緒に帰り、

帰宅すると外でローラースケートをしたり、

ももちゃんのお家で

お人形で遊んだりしていた。

 


ももちゃんの家庭は

私の家庭とはまったく違い、

ももちゃんは子供の好きなテレビを

たくさん見ていて、

 

 

流行りの歌手やタレントにも

とても詳しかったし

 


私が数か月もの間、親に頼み込んで

やっとの思いで1体買ってもらった

“ジェニーちゃん”のお人形を、

すでにバージョン違いで何体も持っていた。

 


それどころか

ジェニーちゃんのお友達や、

ボーイフレンドの男の子のお人形、

それにジェニーちゃんのベッドや洋服、

靴などのアイテムもたくさん持っていた。
 

 

どうやら裕福な“新潟のお婆ちゃん”

キーワードであることを

私は子供心に悟っていたが、

 


ももちゃんは穏やかな性格であり、

何も持っていない私に

マウントをとってきたり

嫌味を言ったりすることもなく、

 

 

色んなおもちゃを貸してくれて、

私たちは年がら

年中二人で楽しく遊んでいた。


そしてももちゃんが毎回、

【ベストテン】のビデオを撮って

見せてくれたおかげで、

 


細川たかししか知らなかった私も

徐々に流行りについていけるようになり、

めでたく光GENJIのファンになった。

 


そして、ももちゃんの影響で

光GENJI意外にも大好きになったのが、

当時大人気だった

二人組アイドルの“Wink”であった。
 

 

 

 

当時、そのまんま

「ちびまる子ちゃん」な風貌であった私であるが
 

 

“Wink”を見るたびに憧れ、

そのかわいさにドキドキしたものだった。
 

 

『淋しい熱帯魚』などの振り付けを

ももちゃんと一生懸命に覚えて

毎日のように練習していたが、

 

 

当時の私に一言

声をかけてあげることができるならば、

 

 

『Wink覚える前に 

ちびまる子ちゃんルックをやめろ』

ということだろうか。


そんなももちゃんの部屋には、

壁一面に“Wink”のポスターが

たくさん貼ってあった。

 


もちろん私は、アイドルのポスターなど

1枚も持っていなかったため、

ももちゃんの部屋に貼ってあるポスターが

心から羨ましく、

 

 

遊びに行くたびに、

可愛い“Wink”の二人が微笑むポスターを

ジーおねがいびっくりマークと見つめ、ときめいていた。


だがある日、いつも通りに

ももちゃんのお部屋に遊びに行くと、

そこには恐ろしい光景が広がっていた。

 


なんと、部屋中の“Wink”のポスターの

両目の部分すべてに穴をあけられ、

空洞になっているではないか。

 


昨日まで可愛い笑顔で

微笑んでいた“Wink”の二人が、

 


まるでディズニーランドの

ホーンテットマンションの壁にかかっている

亡霊の肖像画と化している。

 


あまりの衝撃に

震えを抑えながら振り返り

「ももちゃん、これ・・・ガーンと尋ねると、

 

 

ももちゃんは

『お兄ちゃんがエアガンで撃った・・・』

力なく答えた。

 

 

そうなのだ。

 


私の欲しいものを何でも持っていて、

いつも羨ましく思っていたももちゃんには

唯一、大きな足かせがあった。

 


それは家庭内で妹に恐怖政治を強いる

『恐ろしいお兄ちゃん』の存在であった。

 


妹の大切にしているアイドルのポスターの目を

全て迷いなく撃ちぬくとは、恐怖が過ぎる。

 

 

せめて1枚だけ、

勢いで撃ちぬいてみたものの、

良心にさいなまれ

 

 

『今日はこれくらいにしといたるわ!』

などと捨て台詞のひとつでも吐いて

立ち去るようなかわいげがあれば

人間味も感じるのであるが、

 

 

部屋中のポスターを全て撃ちぬくまで

躊躇なくやり切るとは

サイコパスにもほどがあるだろう。

 

 

なんて恐ろしいお兄ちゃんなんだ滝汗・・・

 

 

ももちゃん、

今どんな気持ちなんだろう・・・

 


そっとももちゃんの横顔を見ると、

ももちゃんは全てを諦めたような

遠い目をしていた。

 


そんなある日のことだった。

 


ももちゃんの部屋で二人で遊んでいると、

恐怖のお兄ちゃんが

不敵な“企み笑顔”を浮かべながら

部屋に入ってきた。

 


手にはなぜか目覚まし時計を持っている。

そしてお兄ちゃんは

『お家ごっこをしよう上差し』と

不可解な提案をしてきたのだ。

 


仕方なくお兄ちゃんに従い、

私たちは敷布団のマットを

それぞれ三角形に立ち上げ、

 

 

その三角形に立ち上げたマットの空洞に入り

各々の自宅という設定にした。

 


するとお兄ちゃんはおもむろに

『俺は集金屋だグラサン』と宣言すると、

5分に一度のペースで目覚ましを鳴らし、

私たちのマットにやってきては

《集金》を試み始めたのだ。

 


簡潔に言うと、

カツアゲである。



私は払うお金もない上に、

“近所の子”であるため集金を免除されたが、

 

 

ももちゃんは逃げるすべもなく

5分ごとに財を搾り取られていた。

 

 

思いつめたももちゃんは、おもむろに

遠足の時に使うリュックサックを持ち出すと、

大切なものをあれこれとしまい、

 

『今までお世話になりましたえーん!』

と叫ぶと、玄関から出て行ってしまったのだ。

 


残されたカツアゲ兄と、

ただの近所の子である私の間には

気まずい空気が流れ、私も耐えられず

 

『おじゃましました・・・』と、

そそくさとももちゃんの自宅を

あとにしたのであった。


その後も、

放課後にももちゃんと私が

楽しく遊んでいると

 

 

部活をさぼって友人と

自転車の二人乗りをしている、

中学生になったももちゃんのお兄ちゃんと

鉢合わせしてしまい、

 

 

ももちゃんが『チクるなよ?グラサン

お兄ちゃんに脅されている場面に遭遇したり、

 

 

道路に何やら燃えるものを置いて

マッチで火をつけ、

そこにクレ556のスプレーを吹き付けて

高笑いする、ももちゃんのお兄ちゃんの姿を

見かけたりした。

 

 

クレ556の噴射により、

ボーびっくりマーク炎炎と勢いよく燃え上がる

赤い炎に照らし出されたお兄ちゃんの横顔は、

 

 

もう悪魔が乗りうつったとしか思えない

シロモノであった。

 


そのたびに私は

 

 

『こんな恐ろしいお兄ちゃんが家にいて

よく安心して生きていられるな』

・・・と思っていたが、

 


今考えるとももちゃんも

相当鬱憤(うっぷん)がたまっていたのであろう。

 

 

いつもおとなしく穏やかで

目立ったことをしないももちゃんが

 

 

放課後、突然チョークを掴むと
髪を振り乱しながら、

誇張した金八先生のような姿で

教室の黒板にバンバンと激しく音を立て

『愛』と書きなぐっていた姿、

 

 

またマイケルジャクソンの真似をして

股間に手を当てると、誰より大きな


 

アーーォ!!ニヤニヤという奇声を

発していた姿・・・



私の記憶のところどころに残る

『いつもと違う』壊れたももちゃんの姿には、

日々お兄ちゃんの恐怖政治の支配下に置かれ、

抑圧された心が度々暴発していたのではないか

という深読みをせざるを得ない。

 


子供が欲しいと願うものを

なんでも持っていて、

羨ましい限りだとばかり思っていた

ももちゃんであったが、

子供心に人知れず

ストレスと戦っていたのだな・・・

 

 

大人になった今、

ももちゃんとの思い出を回想すると

必ずセットで思い出される、

 

 

恐怖の

『ももちゃんのお兄ちゃん』

なのであった。

 

 

【エッセイ関連記事】

右矢印お洒落れキャンプに憧れ、玉砕する!

右矢印女子トイレ内の秘密の話

右矢印人は見た目が9割・・嘘だろ⁉

右矢印もはや危険生物!「変なスイッチ」 が入った子供

右矢印渾身の昭和ギャグの行く末

右矢印事件は海辺で起きてるんだ!!『渚にまつわる珍事件』3選

 


 

ご提供中の鑑定メニュー

 

 

プロフィール


\ 湘南の帝王陰陽命術鑑定師 /

ラジオ パーソナリティ

エッセイ作家/法人役員(役員暦24年)

富岡 紗和子

 

 

経営者、フリーランス、個人事業主からのリピート率 9割超え!怖いほど当たる!
“経営者が信頼する帝王陰陽命術鑑定師” 富岡紗和子です。

人間が成長する大きなきっかけとして『経営者になること』『上司になること』と言われます。

なぜなら、どちらも 一筋縄ではいかないことだからです。

経営者にとっては、毎日が選択の連続であり、その選択が未来の自分のみならず、会社や従業員にとって大きな影響を持ちます。

背負うべき責任やリスクに対するプレッシャーもとても大きいですし、不安と孤独との戦いでもありますよね。

そして、中小企業は、経営者(社長)の性質や運気で業績が大きく変わります。

したがって
経営者ご本人の運気を上げることにより、
会社の業績が上昇します。


私の鑑定では経営者の運勢や、資質、従業員の才能などを徹底的にあぶりだし、
ビジネスのさらなる発展と安定を目指すお手伝いをさせていただいています!

また、独立、開業、起業を検討中の方には運気やご自身の資質の鑑定を通して、ものごとを進める最適なタイミングや避けるべき時期、事業に役立つ才能の活かし方をお伝えします。

算命学や四柱推命は、日本では占いとして知られていますが

 

もともとは古代中国で皇帝の繁栄のために使われていた『学問』ですから・・・

この現代においても経営者を繁栄に導くための驚くほどのたくさんの知恵が詰まっています。

この『学問』を論理的に使って経営者、フリーランス、個人事業主の皆さんの
運気を上げるお手伝いをしており起業家の皆さんからリピート率 9割超えのお申込をいただいております!!

 

その他、人間関係の悩みや、第二の人生、仕事、適職、転職、相性、結婚、離婚、不倫、金運についての注意点、運勢、動くべきタイミングなど・・・
 

生きる上で一番大切なことなのに、誰も教えてくれない真実を占術により解き明かし、心を込めてお伝えします。

 

⇒さらに詳しいプロフィールはこちら


 

【占 術】
帝王命術(四柱推命、算命学、姓名判断を軸にした独自の鑑定)
【鑑定方法】
対面鑑定、ZOOM鑑定、LINE(ライン)電話占い鑑定
【対応地域】
神奈川・湘南(藤沢 茅ヶ崎 平塚)鎌倉 横浜 東京~全国対応

鑑定のお申し込みはこちら♪


 

【エッセイ単行本 著者:富岡さわこ】
 Amazonで販売中!

 

 



↓富岡紗和子のインスタはこちら↓
★占い専用アカウントもあるからチェック!★

 

フォローしてね