そうやって謝りながら、自分より少し背の高い妹の頭を優しく撫でている。
第20話 文末
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「もうひとつのラスト」 第21話
誰も何も言えず、ただ二人を遠巻きにして見守っている。自分たちまで嬉しくなってくる、そんな光景だったからか。
店からオーナーとスタッフたちが出てきた。
何事かと尋ねたくなったとしても不思議はない。
いつかテレビのCMで観た覚えのある美女と双子のようによく似た女性が抱き合って泣いているのだ。男性ならずとも興味を覚えて当然だろう。
そんな麗しい光景が繰り広げられている中でただ一人、ぼくだけが不謹慎?なことを考えていた。それはその場面には相応しくなく、優しく見守る観衆の非難を浴びかねない願望である。
けれども僕にとっては切実であり、この場を逃すなら、もう二度と訪れることは無いと思われるチャンスなのだ!だから今、今しかない!
僕の中ではそれは正解だったが、実現する可能性は低いし、拒まれれば、見苦しい・・・。
ところが奇跡がおきたのである!”事実は小説より奇なり”というのは本当だった!香音はテレパスだったのだ!・・・たぶん。
香音が唐突にぼくを見つけて微笑んだ。そして・・・
「いらっしゃい」と、確かにそう言った!
「え?」
この時はまだ、僕の願望が見抜かれていたとは想像も出来ずにいた。
「何をしてるの?さあ早くいらっしゃい」
香音の言葉は、きっと魔法の呪文か何かで、ぼくの脚は勝手に動き出し香瑠の前で立ち止まった。香瑠は訳が分からずキョトンとしたまま。
「ありがとう、浩史さん。あなた香瑠のこと一杯可愛がってくれているのね。いいのよ何も言わなくても、香瑠を見れば直ぐに分かるわ。こんなに綺麗になって!」
「ほんとに!」と佑一の妻の亜美が言った。
そして香音は向かい合う僕と香瑠をさらにピッタリくっつけた。
この後が僕の願望通りなら、間違いなく香音は
・・・テレパス!
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