先日、マルチフラットナーを取り付けた望遠鏡を眼視で楽しめるのかについて、いろいろ調べたりスターベース東京に質問したりして、見ることはできるがそれはあまり面白いことは起こらないということが分かりました。
しかし当初私は、システムチャートには直視でアイピースを使う為の接続方法が出ているので、てっきりフラット補正された見え方を眼視で楽しめると勘違いをしたのでした。そして眼視観望で実用する為には天頂プリズムを使わないと無理なので、チャートには書かれていないですが天頂プリズムを使った直角視をする為に、とある部品を発注してしまっていたのです。それが到着したので、今更無駄とは知りつつ取り組んでみようと思いました。
解りづらいので要約しますと、「FC/FSマルチフラットナー1.04xを取り付けたFC-76DCUを、天頂プリズムを使ってFP25mmフラットアイピースで楽しめる様にしてみました、効果は分からないのですが・・」ということです。(笑)
それでは早速、張り切っていってみましょう!
今回の主役です。30.5mm→52mmのステップアップリングです。
この30.5mmというサイズは、天頂プリズムのスリーブ用ネジをノギスで計って割り出しました。このサイズの組み合わせはネット販売ではなかなか見つからず、やっと見つけたこのリングしかありませんでした。
次に、天頂プリズムの望遠鏡側のスリーブを外します。
もうお分かりですね。光路長を切り詰める為に天頂プリズムに直接フラットナーを取り付けようとしているのです。
ステップリングがうまく取り付きました。やっぱりねじのサイズはM30.5mmで当たりでした。
マルチフラットナーを天頂プリズムに直接取り付けます。もちろん、CAリング76は使いません。フラットナーの胴付けからアイピースの焦点まで、メタルバック75mmの要求に対し何とか光路を短くしてまいります。
直視でアイピースを併用する場合は、システムチャート通りに接続するとアイピースホルダーの上端の位置がちょうど75mmとなっていました。なので、基本的にこのチャートはこの位置にアイピースの焦点があることを前提としていることが理解できます。タカハシのアイピースはここに焦点のあるアイピースが多いのかも知れません。
この天頂プリズムのステップリング対応においてもご覧の様に、フラットナーの胴付けからアイピースホルダー上端までの距離を大雑把ではありますが75mmにすることができました。
FC-76DCUに取り付けて、PF25mmフラットアイピースを挿しました。スカイローバーのPF25mmの焦点位置が、アイピースホルダー上端付近であることを期待しましょう。
ではでは、望遠鏡を覗いてみましょう。
FC-76DCU+マルチフラットナー+PF25mm
キャノンS90/28mmF2.0 コリメート撮影
望遠鏡もアイピースもフラットで、究極のフラット視野のはずですが僅かに曲がってますね。(笑)
それでは今度はフラットナーを外してみましょう。
FC-76DCU+PF25mm
キャノンS90/28mmF2.0 コリメート撮影
こちらの方が返って歪曲が少なく感じます。フラットナー+フラットアイピースでは過補正になるんですかね、少なくともフラットナーが平坦性に効いていないのは確かの様です。つまり、平坦性確保にはフラットアイピースだけで十分で、フラットナーは写真撮影するレベルにおける補正がその役割なんでしょうね。
次は眼視では分からないレベルかも分かりませんが、スポットダイアグラムにおける補正範囲を拙いシミュレーションで描いてみました。妥当かどうかは分かりませんがご覧下さい。
最初はノーマル鏡筒における視野範囲です。なお、PF25mmの見掛け視野は実際の60度に修正しています。
次は、FC/FSマルチフラットナー1.04x装着時の視野範囲を反映してみましょう。
ご覧の様に、眼視では判別が難しいスポットダイアグラムの世界でも、大きく補正の効いた外周部まで眼視の範囲は及んでいないということになります。つまり眼視ではフラットナーを付けようが付けまいが、どちらも見え方が変わらないということが分かりました。
という訳で、システムチャートに凡例も無い「フラットナーとアイピースを直角視で併用する」をやってみましたが効果はありません、というご報告です。
しかし、それを理解するまでのいろいろなプロセスは結構楽しかったので、私的にはこれで良いでしょう。
以上、いつもながらのB級な遊びを最後まで読んで頂いた皆さま、いつも本当にありがとうございます。(^^)