私が初めての望遠鏡、カートン60Dであれい星雲M27を見たのは中学生の頃でした。口径6cm焦点距離1000mmのH18mm56倍の暗い視野に、かろうじて見えるモヤモヤしたものは正直言ってよく分かりませんでした。
高校生になってバイトをして買ったタカハシTS100で初めて見た天体もM27でした。その時の衝撃は今もって忘れられません。
星々の間に白い星雲がはっきりと見えるだけでなく、せんべいを両側からかじった様な形に本当に見えたのです。口径10cmは凄いなと思ったものです。
あれから45年近く、今では安いものならある程度自由に機材を手に入れられる様になって、大口径でM27を眺めるとき確かに簡単に素晴らしく見えるのですが、あの時の感動を感じることはできないのです。
知識も経験も十分でない時のファーストインプレッションは、最も強い印象を残すのかも知れませんね。
そこで今回は、タカハシTS100で眺めたM27とDOB8クラシックで眺めたM27を異なる機材を使って再現して、いかに現機材が良く見えるのか、それなのにTS100の初見の方が感動した不思議をご覧いただきます。
まず、TS100に付属している低倍率側アイピースはOr18mm56倍、見掛け視野は45度で実視界は0.81度となります。
この視野を再現するには、16mm50度あたりのアイピースを使って縮小コリメートする必要があります。いつもの通りセレストロンのズームアイピースとキャノンS100を使って撮影します。
ではいってみましょう、TS100の56倍で見たM27です。
TS100にてOr18mm56倍45度で見たM27のイメージを再現
タカハシTS100+セレストロンズーム16mm+キャノンS100/24mmF2.0
露出40秒 ISO1600 CHDK 自動追尾 縮小コリメート撮影
まずツァイスサイズアイピースの見掛け視野が狭いのには驚かされますが、その分星雲が相対的に大きく感じてこれを初めて見た時の感動がよみがえりました。
次は、現在私が楽しんでいるDOB8クラシックにルミナス23mm52倍、見掛け視野82度で実視界1.57度の視野については、TS100にLE30mmで縮小コリメートすると、おおむね再現できることになります。
では、いってみましょう、DOB8の52倍で見たM27です。
DOB8にてルミナス23mm52倍82度で見たM27のイメージを再現
タカハシTS100+タカハシLE30mm+ルミックスLX7/24mmF1.4
露出25秒 ISO1600 自動追尾 縮小コリメート撮影
いかがでしょうか、20cm反射と2インチ広角アイピースの威力により圧倒的な見え方になります。口径が2倍で星雲がさらに明るくなってはっきりと形状が分かります。倍率が同じでも見かけ視界が約2倍の大きな窓となった視野は、星雲が星々の中に浮いている様子を見せてくれてかなりの没入感を与えてくれます。今昔の私の観望環境はこんなにも進化しているのですね。
ところがしかし、この様子を眺めた時の感激はTS100で初めて見た時のものを超えることはありませんでした。そして私はまたしてもタカハシTS100を引っ張り出して来て、M27を眺めては再びあの時の感動を思い出したくなるのです。
スペックに依らない古スコの魅力に憑かれているのか、ただのノスタルジーとは思いますが自分でも良く分からないのです。
以上取りとめの無いお話になりましたが、今回も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。(^^)