- デウスの棄て児/嶽本 野ばら
- ¥1,260
- Amazon.co.jp
『天草四郎時貞』。
・・・というと、
テレビで御馴染・美輪明宏氏の前世、
という印象しか持たぬ私でありましたがw
一般的に『島原の乱』の指導者とされる歴史上の人物を
モティーフとした作品。
著者:野ばらちゃんなりの解釈で
かなり自由に解釈・表現されています。
自称野ばらファンと言いながら、
この作品は、
パッと見、漢字が多いので後回しになっていました
(ゴメンナサイ・・・
)
だけど、野ばらチャンを信じて読んでヨカッタ。
前半は、
これでもか、これでもかーと、
人間が持つ残虐性を主とした欲望が、
生々しく描かれています。
人間が人間であること、
人間が人間である故の業を呪いながら、
信仰という名の他力本願にしか縋れぬ庶民達の姿に
ウンザリしつつも、
孤高に生きようとする天草四郎。
そんな天草四郎自身も残酷の塊のような人。
彼自身も、屈折した信仰心の元に生きようとしている。
とても哀しい姿に圧倒され、胸が痛みます。
だけど、その残虐性が
皮肉にも、
戦を通じて徐々に昇華・蒸発してゆきます。
後半、たたみかけるような語りの部分
・・・野ばらチャン作品には多く見られる現象、
一歩間違えると、
白けてしまいそうになる手法なのではないかと危惧しつつ、
今回もヤラレました。
号 泣 ![]()
情緒不安定な心境で読んでいるせいもあるかもしれんが、
ワンワン泣きながら読みました。
泣ける=良い作品、とは思いませんが・・・・・・
『 私が踏絵をすることが出来ぬのは、
天主様のお怒りが恐いからではないのです。
(中略)
私が踏絵を拒むのは、天主様の為ではなく、
自分の為なのです。
(中略)
人へは偽りの証を立てられても、
自分を偽ることは出来ないのです。
天国になぞ行けなくても良いのです。
(中略)
何故に、私は生きるのでしょう。
それを忘れてまで、
生きることに意味などあるのでしょうか』
終盤に
小作の娘・トシが四郎に放つ台詞に象徴される、
『生きること』『人間の業』『信仰とは』『宗教とは』
自分自身の内面について考えさせられるという面に於いて、
とても良い小説だと思います。
(加えて、野ばらチャン独特のお耽美テイストも健在だし)
個人的には、『山田右衛門作』が好きです。
(そういう読者さんは結構多いのでは)
勝手に独断・五段階評価:★★★★☆
- 文庫版の表紙、シンプルで好きです。
- デウスの棄て児 (小学館文庫)/嶽本 野ばら
- ¥500
- Amazon.co.jp