品質不良を早期解決! タグチメソッドをExcelで手軽に使いこなす<第12話> | 品質安定化設計ラボラトリー日記

品質安定化設計ラボラトリー日記

かつて開発業務で活用した「品質不良を開発・設計段階で未然に解決する」タグチメソッド(品質工学)を多くのものづくりエンジニアの皆さんに知っていただきたいと思い、そのために自分自身も学び直しながらブログでご紹介してゆきます。

1.単回帰式と重回帰式を使って

 できることとできないこと

 重回帰式に入る前に、もう一つ、

単回帰式と重回帰式を使ってできることを

ご紹介します。

 

 前回、

下表のようなxiとyiのデータの組み合わせで

単回帰式を導き出しました。

 

 

 

 このような単回帰式でも、重回帰式でも、

「予想」に使うことができます。

 

 例えば、

データにはないx=7の場合のyの値を

単回帰式

 

 y=0.9024x+0.3659

 

 を使って求めれば、

 

 y=0.9024*7+0.3659

  =6.6829

 

となります。

 

 しかし、

x=10の場合のyの値を求めることは

できません。

 

 なぜならば、

上表のデータでxの値は2~9の範囲しか

実在しません。

 

 導き出された単回帰式は2≦X≦9の

範囲内で導き出されたものであるため、

この範囲でしか適用できないからです。

 

 このように、xのデータが実在する

範囲内で単回帰式又は重回帰式を

適用してyの値を予想することを

「内挿」と言います。

 

 逆に、xのデータが実在する

範囲外で単回帰式又は重回帰式を

適用してyの値を予想することを

「外挿」と言います。

 

 外挿はxのデータが実在しない範囲での

予想になりますから、予想を誤る可能性が

高くなります。

 

2.重回帰分析の前準備Ⅰ

 多変数データの相関

 重解析分析は、1種類の被説明変数が

複数の説明変数に従属している場合の

データを取り扱います。

 

 例として、今回から

「賃貸マンションの物件データ」を扱います。

 

 

 変数として、

バス(分)、専有面積(m²)、築後(年)、

並びに賃料(千円)の組み合わせに

なっております。

 

※最下段の21番目のデータは、

今は使いません。

 

 これら4種類の変数にどのような相関が

あるのかを、「データ」内にある

「データ分析」を起動させ、

その中の「相関」で調べました。

 

 

 4種類の変数データをラベルごと選択し、

「先頭行をラベルとして使用」に

チェックを入れました。

 

 これで「OK」をクリックすると、

各々の変数同士の相関係数が出ました。

 

 

 以前触れたように、

相関の有無の判断基準として、

相関係数rの自乗が4/(データ数+2)よりも

大きいときに「相関がある」と判断できます。

 

 今、扱っているデータ数は20ですので、

4/(データ数+2)=4/(20+2)=0.1818

となります。

 

 上記の相関分析結果の

赤文字で表した部分、即ち

 

(1)バスと賃料

(2)専有面積と賃料

(3)築後と賃料

 

の3つに相関があると判断されました。

 

 なるほど、不動産価値はこうして

決まるのだなあと、すんなり

腑に落ちました。(笑)

 

3.重回帰分析の前準備Ⅱ

 各相関の単回帰分析

 並びに散布図

 次は上述3種類の相関につき

単回帰分析並びに散布図の作成を

行いました。

 

(1)バスと賃料の回帰分析

  並びに散布図

 「分析ツール」の「回帰分析」を起動し、

 データ範囲は以下の通り、

赤の破線で示す被説明変数yに「賃料」、

青の破線で示す説明変数xに「バス」を

選択し、先頭行を「ラベル」として

使いました。

 

 

 分析結果は以下のようになりました。

 

 

 最下段の表の赤破線で囲んだ部分に

切片a=87.003、傾きb=-1.3106が

記載されております。

 

 次に、同じ相関を散布図に示します。

 

 上記データ範囲を予めドラッグして

おいてから、「挿入」から

「散布図またはバブルチャート」、

さらに「散布図」を選択し、

散布図を表示させたら軸ラベルを表示させ、

タイトルと軸ラベルを書き換えます。

 

 次にデータ点を右クリックして

「近似曲線の追加」を左クリックし、

「線形近似」を選んだら、

その下にスクロールして

「グラフに数式を表示する」と

「グラフにR-2乗値を表示する」にチェックを

入れます。

 

 Rとは、相関係数rのことを指します。

 

 

 こうして、散布図に単回帰式と

相関係数の自乗値が表示できました。

 

 

 切片a=87.003、傾きb=-1.3106、

いずれも回帰分析の結果と

一致しております。

※赤破線で囲んだ部分同志を比較すると

 わかります。

 

 やはりバスの乗車時間が長く、

駅や繁華街から遠いところは賃料も安く、

我々でも入れるわけです。いや、

そんなところしか入れません。(涙)

 

(2)専有面積と賃料の

  回帰分析並びに散布図

 次に、同様の手法で

専有面積と賃料の相関についても

回帰分析と散布図作成を試みました。

 

 データ範囲は以下の通り、

赤の破線で示す被説明変数yに「賃料」、

青の破線で示す説明変数xに「専有面積」を

選択しました。

 

 

 結果は以下の通りです。

 

 

 切片a=6.4582、傾きb=1.4776、

いずれも回帰分析の結果と

一致しております。

 

 住まいは広いに越したことはありません。

 

 しかし、広い分だけ賃料も敷居も

高くなるものです。(涙)

 

(3)築後と賃料の

  回帰分析並びに散布図

 次に、同様の手法で

築後と賃料の相関についても

回帰分析と散布図作成を試みました。

 

 データ範囲は以下の通り、

赤の破線で示す被説明変数yに「賃料」、

青の破線で示す説明変数xに「築後」を

選択しました。

 

 

 結果は以下の通りです。

 

 

 切片a=88.988、傾きb=-1.6673、

いずれも回帰分析の結果と

一致しております。

 

 賃貸も持ち家も築後年数が経てば経つほど

安くなってゆきます。

 

 築18年の我が家は入居時の購入価格から

いくら価格が下がりましたことやら。(溜息)

 

 

 本日はここまでとします。

 ご精読、ありがとうございました。

 

 次回は、「賃料の重回帰分析」に入ります。

 

 まだタグチメソッド本体には

触れませんが、これら回帰分析は

Excelでのタグチメソッド解析に

役立つ基幹技術になります。

 

 ご期待ください。

 

<参考文献>

 広瀬健一・上田太一郎/共著

 「Excelでできるタグチメソッド解析法入門」

 同友館

 

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