東京に戻った自分は、早速会社の人事部に連絡を入れ、戻して欲しい旨を伝えた。
私が仕事に戻った先は、元にいた支店での販売職だった。
たった数ヶ月の期間で、元の場所に戻った自分は、自分が鬱になった事を何とか隠していたかった。
頑張ってといわれて送りだされた場所に、再び戻るのはとても勇気がいった。
どんな目でみんなに見られるのか、とても不安に感じていた。
だから自分の鬱の事は、知られたくないと、そう思った。
悪気はないのだろうけれど、鬱を指摘する人もいた。
そんな人には、「そうなんですよねぇ」と笑って答えた自分がいた。
なんとか気丈に振舞って、笑ってごまかしていたかった。
職場復帰をしたわけだが、元の立場に戻れるわけではなく、また違う上司の下、一番下の何も分からない状態からのスタートだった。
前は色々やらせてもらっていたけど、戻ってからは特に何の権限もなく、自己裁量でやれる事がほとんど無かった。
むなしさを感じたのも事実だった。
周りの同僚達は、自分に対して、深く追求してくる事はなかったけど、自分の中では、常に負い目を感じて、鬱であることを隠して過ごしていた。
それが自分の中で恥ずかしいということでもあったし、知られることで弱い人間だと思われるかもという恐怖心もあった。
何事もなかったかのように、とにかく鬱のことを隠して、普通でいられるよう努めた。
徐々に仕事のペースにも慣れることができてきて、普段どおりの生活が戻ってきたかのようだった。
だが、常に心の底では、負い目を感じていたし、時折顔を出す本社の人間の目からは隠れるようにしていた。
仕事柄本社と連絡を取ったりしなければならない時などは、とてもやりにくかった。
本社の人にも、その場の同僚にも、自分が鬱になった事を負い目に感じていた。
居ずらさを感じ、やりにくさを感じていた。
それは周りから見たら、大したことじゃなかったのかもしれないけど、自分の心の中では常に負い目だった。
自分は負けた人間なんだ。
そう思ってた。


