オリオン座崩壊?で史上最大級の天体ショー出現か──右肩の巨星「ペテルギウス」に寿命の兆候 | TABIBITO

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寒さが厳しくなるにつれて、晴れた夜空を見上げると、東京でも星がたくさん輝いて見える。
そして「冬の星座」といえば有名なのが「オリオン座」だろう。
 
オリオン座は「冬の星座の王者」と呼ばれ、南の空の中心に見える。
ギリシャ神話では、狩人オリオンの姿だといわれ、オリオンのベルトの位置に輝く3つの星の並びが「三ッ星」と呼ばれ、オリオンの右肩で輝いているオレンジ色の星がベテルギウスだ。
 
ベテルギウスの名前の由来は「巨人の脇の下」というところからつけられたという。非常に年老いた星で、温度が低く赤く見える。直径は太陽の300倍以上もある。
 
左足で輝いている青白く光るのリゲルで、名前の由来は「巨人の左足」だそうだ。大きさは太陽の70倍、表面温度は約1万5千度もあり、青白く光って見える。
 
また、オリオン座には有名なオリオン座大星雲(M42)がある。三ツ星の下で輝く散光星雲で、全天の中で最も明るい星雲の一つに数えられており、肉眼でも観察できる。
 
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そして三ツ星の一番左側の星の下で輝いている馬頭星雲。本来は暗黒星雲で見ることはできないのだが、背景に明るい声援があり浮き上がって影絵のように馬の形を表す。
 
オリオン座の3つの星野のすぐ左上にある散光星雲がM78星雲。ウルトラマンの故郷としても有名だ。
 
オリオン座のこの形、いったい誰が考えたのか実によくできている。
 
 
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ギリシャ神話によれば、オリオンは海の神ポセイドンと妖精エウリュアレの間に生まれた息子。
彼は力の強い狩人であり巨人でもあった。しかし、彼はそのことを鼻にかけすぎ、「この世に自分より強いものはいない」と自慢したことが、女神ヘラの怒りに触れ、ヘラの遣わした大サソリによって命を落とすことになる。
オリオンを殺したサソリはその手柄で天に上げられ、これが夏の夜空に輝く「さそり座」である。天に上った後もオリオンはこのサソリを恐れているため、さそり座が東の空に昇ると、オリオン座は西の空にと隠れてしまうのだという。
 
また、別の神話によれば、オリオンは月の女神アルテミスの恋人であった。アルテミスの兄である太陽神アポロンは、それを苦々しく思っていたが、あるとき、オリオンが水の上に頭だけ出して海に入っていると、アポロンは岸にいるアルテミスにそれを指差し「いくらおまえでもあんな小さな的は射抜けまい」と言った。月の女神であると同時に狩の女神でもあったアルテミスは、矢をつがえると、一発で見事に的を射抜いた。
数日後、海岸に、頭を矢で打ち抜かれたオリオンの亡骸が漂着してきた。アルテミスが射抜いた的は、はオリオンだったのである。それを見ていた大神ゼウスは、アルテミスとオリオンを不憫に思い、空の月の通り道にオリオンを上げ、星座にしたという。
 
 
 
そんなオリオン座に関して、今朝の「日本経済新聞」28日付に次のような大きな記事がある。引用したい。
 
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 オリオン座、壊れる運命?右肩の巨星に寿命の兆候

 冬の夜空を彩るオリオン座がまもなく消えてしまう可能性がある。オリオンの右肩に位置する赤い一等星「ベテルギウス」は死期が近いとみられ、さまざまな兆候が観測されている。100万年後かもしれないが、明日の可能性もあるという。もし超新星爆発という大爆発が起きたら、史上最大級の天文ショーになるとみられ、世界の天文学者が注目している。
 
 ベテルギウスは「冬の大三角形」の頂点のひとつだ。大きさは太陽の約1000倍、質量は20倍もある。表面の温度はセ氏約3200度と、太陽より2000度以上低いため赤く見える。星が巨大化して赤くなっているのは、寿命が近づいているからだ。こうした星は「赤色超巨星」と呼ぶ。 
 地球からの距離は約640光年と、宇宙の中ではかなり近い。ここ数年の観測で、ベテルギウスの素顔がわかってきた。 
 兵庫県立大学や北見工業大学のチームは2013年、ベテルギウスの直径が従来の2~3倍に膨らんでいる可能性があることを見つけた。望遠鏡で観測した光をフィルターを使ってさまざまな色に分けて解析した結果だ。形も楕円状にいびつになっていた。
 兵庫県大西はりま天文台の円谷文明講師は「太陽系なら木星の軌道から土星の軌道まで一気に膨れたことになる」と話す。だが、星がこれほど急激に膨らむとは考えづらい。大量のガスが噴出している可能性が高いが、それだけでは説明できないという。
 
 米航空宇宙局(NASA)が10年に公開した画像には、表面の盛り上がりとみられる2つの大きな白い模様が写っていた。さまざまな観測結果から、巨大なこぶが付いたいびつな形をしているとわかった。太陽はほぼ球形だが、ベテルギウスは梅干しのようにでこぼこに膨らんでいるらしい。
 星は水素原子を核融合させて重い元素に変えることで熱や光を出す。水素を使い尽くすと、核融合でできたヘリウムを燃やすようになり、炭素や窒素、マグネシウム、ケイ素ができる。ここまで来ると、星は伸びたり縮んだりして不安定になる。ベテルギウスはこの段階にあるという。
 超新星爆発が起きた場合、地球からはどう見えるのか。東京大学の野本憲一特任教授は「爆発から1年間以上、昼間でも明かりが見えるようになる」と話す。
 野本特任教授らの試算によると、爆発するとまず色が赤から青に変化する。1時間後、ベテルギウスはどの星よりも明るく輝き、だれもが異変に気づく。3時間半後には、半月ぐらいの明るさで空を照らす。4カ月たつと、青からオレンジに変わり、次第に赤みを帯びていく。4年後、肉眼では見えなくなり、オリオン座の右肩が欠けてしまう。
 ベテルギウスが超新星爆発すると、強力な放射線であるガンマ線のビームが噴出し、地球を直撃すると心配する声もインターネットで流れた。約4億4000万年前、三葉虫など当時の地球にいた生物が大量に絶滅したことがわかっており、天の川銀河で起きたガンマ線の放出が原因ではないかという説がある。
 しかし、星の重さで考えると「ガンマ線の放出はまずない」(九州大学の山岡均助教)と多くの専門家はみる。また、ガンマ線が出るのは自転軸に沿った2度以内の範囲だといわれる。もし起きたとしても、ベテルギウスの自転軸は地球から20度ほどそれており、直撃の心配はなさそうだ。
 では、いつ爆発するのか。国立天文台の縣(あがた)秀彦准教授は「多くの天文学者が100万年以内とみる」と話す。星の一生は数千万年から数十億年なので、天文学的には直近だ。ベテルギウスは星としての一生の大部分を終えているが、内部の様子は観察できずわからない部分も多い。すぐかもしれないし、ずっと先という可能性もある。
 もし観測できれば、通常の核融合で生じない鉄より重い金や銀、ウランなどの元素がどうできるかという謎の解明につながる。1054年にはおうし座付近で超新星爆発が起き、昼間でもはっきりと見えるほどだったという記録がある。もしベテルギウスの爆発を目の当たりにできれば、非常に幸運なことだ。天文ファンでなくても待ち遠しい。     (草塩拓郎)
                            以上引用
 
 
 
 
100万年後かもしれないが、明日の可能性もあるという。」が、地球からベテルギウスまでの距離は640光年。
「ベテルギウスの爆発を目の当たりにできれば、非常に幸運なこと」と書いているが、現在地球から見えるベテルギウスの姿は640年前のものだ。つまり、時代は室町時代まで遡る。
すでに、とうの昔に超新星爆発を起こしているかもしれない。明日、その姿を見られれば640年前に爆発したことになる。
あるいは現在、爆発をおこしていたとしても、見えるのは640年後。普通の寿命の人間だったら8回くらい生まれ変わらないと見ることができない。
 
上記記事では「半月ぐらいの明るさで空を照らす」とあるが、別の専門家によれば、その明るさは相当のもので、数週間から3日月間は「太陽が2つあるかのように、昼も夜も明るく地球を照らし続ける」という説もある。
そうだとするとすごい。
 
史上最大級の天体ショーを、はたして、運よく生きているうちにみることができるだろうか。
 
宇宙は気が遠くなるほどに広くて遠い。
 
 
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