この本は2010年に、当時友人たちと運営していた「教育カフェ」というコミュニティのメーリングリストに流れてきたメールを通じて出会いました。
今回は、この本から学んだ「自立と依存」「相談できない自分」「自己嫌悪と心のブレーキ」について、自分の経験から考えたことを書いてみたいと思います。
「助けてください」が言えない自分
千葉に住んでいるメンバーさんが地元で対話の会を開くというお知らせがあって、そこの課題本として書かれていた。僕はなんとなく気になって、ネットで調べたとき、表紙の帯に書かれている「助けてください、と言えたとき、人は自立している」という言葉を読んでものすごい衝撃を受けた。
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「自立」とは、自分で何でもできるようになることだと思っていたから。
すぐにこの本を注文して読んだ。本の中には「自立とは、多くの人に依存することである」と書かれていて目からウロコだった。「依存」することはダメなこと、自立とは真逆のことだと思っていた。その真逆だと思っていた「自立」と「依存」の二つ言葉が同時に使われ説明されていることの衝撃。「自立」ということがどういうことか、僕の中でスッと腑に落ちる感覚があった。
「助けてください、と言えたとき、人は自立している」
この言葉に出会えたからこそ、今の僕があると言える。
それぐらいインパクトのある言葉だった。
とはいえ、10年たった今、僕が「助けてください」を言えてる人かというと、相変わらずどうも苦手である。ただ、あまりにもできない自分をみて、自然と助けてくれた人たちに支えられてここまできた、という実感はものすごくある。
自分が認識できてない誰かの助けもめちゃくちゃあるだろうと思うと、もう恩返しなんていうことは、どんだけ長生きしてもできないだろう。
「助けてください」ということ。困ったときに素直にヘルプを出したり、相談したりすることは、今も僕の課題、取り組みたいことの一つ。
そして、そのことにきっとすごく関係しているのが、この本の後半に出て来る「自己嫌悪」についてだ。
「自己嫌悪」は思い込まされたもの
この章は、初めて読んだときにはそこまで自分と関わりがあるとは思っていなかった。普通に興味深く読んではいたけども、今思えば結構読み流していたところもあったと思う。自分が自分を「自己嫌悪」しているという体験や実感が無かったのだろう。でも実際にはかなりの自己嫌悪があったはずだけど、それを感じないほどに押し込めていたとも思う。
「自己嫌悪」は、著者の安冨さん曰く、「自分は悪い子だと思い込まされてること」だと説明する。自己嫌悪は人から思い込まされる以外にありえない。それは生まれたときから自己嫌悪を感じている赤ちゃんはいないわけで、生まれたあとに他者から思い込まされたものだ、とあって、なるほどと思った。
この数年、自分の不安クセや怒り、落ち込みやすさや傷つきやすさを見てきたというのもあって、この自己嫌悪のことは、すごく自分にとって大切な内容だと感じている。
そして、最初に書いた「自立と依存」、そしてこの「自己嫌悪」のこの2つは、僕の中では密接につながっている。
「自己嫌悪を言語化」で心のブレーキを外す
僕は、自分に対していくつかの常識的な能力が欠けているという認識がある。さらに「そんな能力の無い自分はダメなやつだ」「人に迷惑をかけるダメなやつだ」というような自己嫌悪がある。
でもこんなダメなやつでも、多くの人に依存していくことで自立できるなら、自分にも希望があるかもしれない!
と、2010年の当時は、その希望の光に飛びついた。(自己嫌悪の部分については無自覚だったが、なんとなく感じていた不安に対して、依存すればするほど自立できる、は魔法のような言葉だった)
しかし、途中にも書いた通り、結局そこまで人に頼ることが出来なかった。やりたいこと(自分の仕事を事業として成立させるなど)が実現できないというとき、チャレンジが上手くいかないとき、素直に人に助けを求めていたら、もっと実現していたり先に進んでたいことがあったかもしれない。
でも、当時の僕は自分で何とかしようともがくか、そのことを先送りしながら、自分で出来ることだけをやり続けた。その結果、ある程度の実績や経験は積んだけども、ある程度までしか届かず、結果としては中途半端な状態が続いている。
「助けてください」が言えないのは、おそらく自分の中の自己嫌悪をそのままにしてしまったことが原因だなと今では思う。アクセルはめっちゃ踏んでるんだけど、同時に無意識にブレーキも踏み続けていたという状況になっていた。
自分が傷つきやすかったり、落ち込みやすかったりする自分に気付いたのは2019年の秋ぐらい。その頃から自分の中の自己嫌悪にも自覚が芽生えて来て、自分が自分にどんな風にブレーキをかけているかが見えてきた。
今は、そんな自分の中にある自己嫌悪、傷つきやすさ、すぐに不安になるクセなどに向き合い、そのことを言語化していくことで、無意識に踏んでしまうブレーキから足を外す訓練している。
このnoteも、「書きたいけど書けない」自分に対して、どう心のブレーキを外していくか、という試みでもあります。
ちゃんとした文章を変に目指さす、とにかく素直に書く。
そして、書けないときは書けないことを書く。
それは僕がいつか呼吸をするように、毎日の中で書きたいことが書けるようになるためのステップだと思って、しばらく書き続けてみたいと思います。
さとし
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