冬の日本海は荒れ狂い、釣りどころではない。まさに現在の我が精神状態そのものであった。
いつもの如く、世紀末覇者ラオウ(嫁さん)からの命令が下った。
今日は友達と昼食じゃ。すまんが魔神カイオウ(娘)の世話を頼む!
御意
と、答えるしか道がない我輩がそこにいた。
妻が出かけると、目が点になっている親子が家に残された。
鬼の居ぬ間に洗濯とばかりに、仕事で寝たきりになる俺!
当然、魔神カイオウ(娘)は遊びをせがんできた。
しぶしぶ、遊びに付き合っていると、魔神カイオウ(娘)が機関車トーマスのふりかけ、しかも大入り袋をどこからか見つけてきた。
開けて、開けて!
とせがむ魔神カイオウ(娘)。
面倒くさ~と思いつつ、開けると、魔神カイオウ(娘)は中の小分け袋をいくつも開封し、部屋中に振りまいた。
げっ何をする!
ふりかけとは、それはご飯にかけるもの。
部屋にかける
それは間違った用途である。
と、魔神カイオウ(娘)に言い聞かせたが、聞き分ける相手ではない。
それに、後始末は、俺の仕事やんけ!
掃除をしなければ、俺が世紀末覇者ラオウ(嫁さん)の制裁を食らってしまう。
俺は、しぶしぶ掃除を始めた。
が、その前に、被害を最小限にすべく、魔神カイオウ(娘)からふりかけを取り上げた。
あーーん(大泣き!)
イクラちゃんの如く、号泣する魔神カイオウ(娘)。
俺が、泣きてーわ!
と、怒鳴ったが、逆効果。蜂の巣をつつく騒ぎとなったのは言うまでもない。
これでは、昼食に行った世紀末覇者ラオウ(嫁さん)が帰ってきたら・・・・・
昼食?
そういえば、我輩も魔神カイオウ(娘)も食事をしていないではないか。
と、言うわけで、ファミレスに魔神カイオウ(娘)を搬送し、親子の空腹を満たし、魔神カイオウ(娘)の機嫌をとった。
そこへ世紀末覇者ラオウ(嫁さん)から電話。
今どこにおる。
との問いかけに、
ファミレスで親子で栄養補給しています。
と答えると、世紀末覇者ラオウ(嫁さん)は、
じゃぁ、先にうちに帰っているから♪
と満足げに答えて電話を切った。
それから、魔神カイオウ(娘)のご機嫌とりに奔走し、空腹を満たして家に帰った。
あぁ、疲れる食事であった・・・・・
と感慨にふけって、部屋に入るとそこには仁王立ちした世紀末覇者ラオウ(嫁さん)がいた。
何じゃ、この部屋は!
農薬の如く、ふりかけを部屋中に散布しおって!
と、コメカミに血管を浮き立たせて、怒鳴っていた。
そして、
誰や!こんなに散らかしたのは!
と、世紀末覇者ラオウ(嫁さん)が激高すると、
間髪を入れずに魔神カイオウ(娘)が、
パパ!
と、即答。
俺は、魔神カイオウ(娘)のずるがしこさに呆れ、
おい、父親を生贄(いけにえ)に差し出すんかい!
と、叫ばずにはいられなかった。
当然、世紀末覇者ラオウ(嫁さん)も目が点。
お互い、
「娘の育て方を間違えたのかなぁ」と
顔を見合わせて・・・・
今回は、夫婦そろって心がアミバ目となっていた。