沢村忠に真空を飛ばせた男 | 真理のひとり言

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ヤクルトスワローズの山田哲人応援ブログ。
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スポーツ観戦、映画、テレビ、ときどき下ネタ…ひとり言を書いてます。

昭和48年(1973年)

私が小学校三年生の8歳ですね。


まだ、レコード大賞が日本を代表する曲を選んでいると思われていた頃。

私は東京は中野の狭い家に住む、サザエさんちより一人多い八人家族でした。

大晦日はもちろん家族全員で、レコード大賞、そして紅白歌合戦を見ます。



私が大ファンの桜田淳子が、親父の好きだった浅田美代子を押さえて

大方の予想通り、レコード大賞の最優秀新人賞を受賞しました。


桜田淳子、アグネス・チャン、安西マリア、浅田美代子、あべ静江。

この中に、山口百恵は入ってないんですよねぇ。



ところが…

大賞はなんと我が家のみんなが予想した沢田研二の『危険なふたり』ではなく

たった二か月前に発売されたばかりの、五木ひろしの『夜空』でした。


そして、この大番狂わせを仕掛けたのが…



『沢村忠に真空を飛ばせた男』

〜昭和のプロモーター・野口修 評伝〜

細田昌志・著 新潮社



いやあ、面白かった!


「あとがき」まで含むと、たっぷり二段で553ページもある分厚い本を

この前の祝日の一日で、あっという間に読み終えちゃいましたから。


そして、この年はスポーツ界でも「賞レース」に異変が起こりました。


一年六場所中に三回の優勝で、学士プロ初の横綱に昇進した輪島大士。

日本プロゴルフ選手権など、五つのタイトルを獲得したゴルフの青木功。

日本人には手の届かなかった「重量級」の世界ジュニアミドル級で

通算六回目となる三度の防衛を飾ったボクシング世界王者の輪島功一。


そして、野村克也を抜く通算本塁打記録を更新し自身初の三冠王。

巨人軍の日本シリーズ九連覇の立役者である「大本命」の王貞治。


これらの有力候補を尻目に、大賞を受賞したのは

全盛期をとうに過ぎたキックボクシングの選手…


これもプロモーター野口修の仕業でした。


真空飛び膝蹴り!



彼こそが五木ひろし以前に、プロモーター野口修が作り上げた

紛れもないな昭和のスーパースターであった沢村忠、その人でした。


日本大学藝術学部、いわゆる「日藝」で俳優の卵であった

スポーツ名門校の日大においては「サークル活動」に過ぎない

空手部の青年を、プロレスの力道山に並ぶ英雄に仕立て上げる。


あまりにも大きくなってしまった「最強の格闘王」という虚像に苦悩する沢村。

大人気の一方で、文中の「真空飛び膝蹴りなんか16文キックと変わらない」

当時、沢村に夢中になる私にうちの父も同じことを言ってたっけ(苦笑)


もうね。

私が、子供の頃にリアルタイムで見ていた様々な光景。

当時はよく意味が分からなかった謎解き話が満載です。


もうこりゃあ55歳以上、必読(笑)


私より年上の方には必ず読み応えがあると思います。


とにかく凄い本です!


うん。


私のブログの本や映画のレビューにしては

いつになく上手くまとまってませんかね?


自画自賛(笑)