『ファーストボール〜史上最速の球』
2016年公開 ケビン・コスナー他
野球ファンの間でよくする「誰が一番速かったか?」
これを検証したアメリカのドキュメンタリー映画です。
特にこの中では、ウォルター・ジョンソン、ボブ・フェラー、ノーラン・ライアン、
そして、今もヤンキースで現役のアロルディス・チャプマンの比較が面白いです。
1910年代に活躍したウォルター・ジョンソンはさておくとしても
野球ファンの皆さんならご存知のノーラン・ライアンはもちろんのこと
第二次大戦時の“火の玉投手” ボブ・フェラーの方がチャプマンより速い!?
スピードガンが登場したエンゼルス時代のライアンの100マイルは
あくまでも打者の手前の「終速」ですから。
チャプマンの105マイル(169km/h)は投げた直後のいわゆる初速。
これだけ、現代の野球技術や選手の体力が発達したとしても
ことピッチャーのファーストボールについては遜色ないと…
そりゃあ、全体の直球のスピードのレベルは格段に上がってますよ。
今は定岡正二さんみたいなストレートを投げる投手はいませんし(笑)
計測の仕方が一緒じゃないから、何とも言えませんけどね…
なんか夢のある話ですよね。
ただ、昔は変化球の種類がカーブ、チェンジアップ、圧倒的に少なかった。
それを補っていたのが、いわゆる「ブラッシュボール」だったんですね。
投手は2ストライクを取ると、必ず打者をのけぞらせる球を投げます。
それは時には「ビーンボール」としてブツけることもあると…
打者に恐怖を与えれば、次は外角の速球で簡単に抑えられると。
昔の大リーガーは口を揃えて「死球の恐怖で打てない」と言います。
以前、たぶん落合博満さんだったのかなぁ?何かのインタビューで
「死球の恐怖が無いのなら5割は打てる」って聞いたことがあります。
あの“ミスタープロ野球”長嶋茂雄のアウトステップも
自分の方に投げてくる球を避けるためだったそうです。
今も昔も必ず強打者にはインコースを攻める。
インコースを打てない打者は数字を残せない。
その長嶋さんが弟子の松井秀喜にまず教えたのが「死球の避け方」
そして、対照的に清原和博の師匠である土井正博は、今だに
「清原に死球の避け方を教えなかった」と悔やんでるそうです。
清原は最後の最後までインコース攻めに苦しむことになります。
その対策は「相手を脅して投げさせない」しか無くて(苦笑)
そう考えると、現代のバッター有利の状況もわかりやすいです。
だって、ヘルメットどころか全身プロテクターだらけですから。
当たっても全然痛くなさそうなんだもん(笑)
”世界の王”のプロ入り初ホームランなんて「ノーヘル」ですよ…
王さん、怖くなかったのかな(苦笑)
話を映画に戻しますと…
1950〜70年代に活躍したレジェンド達が必ず名前を挙げていたのが
「スティーブ・ダルコウスキー」という名。
彼の球はメチャクチャ速かったものの、ノーコンに悩まされて
ようやくコントロールを身につけた矢先に肘を壊してしまい
ついに、メジャーに昇格できなかった「幻の天才」でした…
ということは、
この人こそチャプマンやライアンよりも球が速いんだと!
このあたりは、阪急ブレーブスで活躍した山口高志を思い出すなぁ。
山口高志はメチャクチャ速かった!
山口さんも本当に「もっと活躍してほしかった」ピッチャーですからね。
そんなわけで、野球ファンなら絶対に楽しめる映画です!
う〜ん。
私が見た中で「一番速かった」日本のピッチャーは…
やっぱり、阪神タイガースの江夏豊ですかね。
子供の頃、大ファンでした。
それはそうと。
ケビン・コスナーなんて出てたっけ?と思ったら
ナレーターでした…
ドキュメンタリー映画はセリフが多くて、字幕読むのに必死なもんで(苦笑)