タンパク質(1)
『分子生物学入門』美宅成樹著 岩波新書にたんぱく質のことが細かく出てましたので引用します。
●多様なタンパク質のはたらき
ヒトのゲノムには3万~4万種類の遺伝子が含まれている。選択的スプライシングという現象があって、ひとつの遺伝子から多種類のタンパク質ができることがある。したがって、数万から数十万というタンパク質が、わたしたちの体を構成していることになる。そして、それぞれのタンパク質は異なる機能をもっているが、ゲノムの情報から得られるタンパク質のアミノ酸配列のなかで、機能が知られているものはせいぜい半分くらいである。しかし、おおざっぱにタンパク質を分類することはできる。思いがけない機能をもったタンパク質もあるが、代表的なものをしめすと、以下のとおりである。
(1)酵素は、生体内の化学反応を促進するはたらきをもつタンパク質である。一般に化学反応を促進する物質を触媒というが、酵素は化学反応の触媒ということになる。たとえば、タンパク質を分解する酵素やDNA分解酵素、脂質分解酵素ばどの一群の化学結合を切る反応を触媒する酵素がある一方、トリプトファンというアミノ酸を合成する酵素、ATP合成酵素、DNA合成酵素などの化学結合を形成する酵素があり、その他さまざまな化学反応の触媒をする酵素がある。
(2)モータータンパク質は、文字どおり動くことを機能しているタンパク質である。代表的なモータータンパク質には、筋肉の繊維を構成しているミオシンがある。ATPをADPに分解して得られる化学エネルギーを利用して、分子の構造を変えて動くことがわかっている。細胞の中には微小管などの繊維状のタンパク質の構造が発達しているが、その上を歩くように動くキネシンやダイニンというタンパク質もモータータンパク質である。直線的に動くモーターだけではなく、回転モーターもある。バクテリアのべん毛の根元にあるべん毛モーターは、多くのタンパク質が複合体をつくっていて、水素イオンの移動をエネルギー源として回転運動をおこなう。
(3)受容体は、細胞膜に埋め込まれたタイプのタンパク質で、細胞外からの情報をつかまえて細胞内に伝える役割をはたしている。受容体の多くは、化学物質(ホルモンや神経伝達物質、におい物質など)を結合して、その情報を細胞内に伝達する。さらに、それ以外のさまざまな刺激に対しても受容体が発達している。たとえば、ロドプシンは光を吸収して、その情報を細胞に伝えている。
(4)輸送タンパク質は、特定の分子をある場所から別の場所に移動させるものである。ヘモグロビン(酸素を輸送する)や血清アルブミン(脂肪を輸送する)のように体の循環器系を利用して輸送させるものと、細胞内外の輸送をおこなう膜輸送タンパク質がある。後者では、細胞に必要な栄養の分子やイオンを取り込んだり、細胞に不要あるいは毒性のある分子を排出する。
(5)遺伝子調節のための転写因子タンパク質は、DNAに結合してRNAへの転写を制御するはたらきをもっている。多細胞生物でひじょうに重要な役割をはたす転写因子タンパク質にホメオドメインタンパク質がある。ホメオドメインタンパク質は体の形成スイッチとしてはたらいていて、頭、胸、腹などの体全体の形を決めている。頭、胸、腹があったり、背中とおなかがあったりするという意味では、昆虫もヒトも同じであり、同じようなモメオドメインタンパク質によって決められている。
(6)コラーゲン、ケラチンなどの構造タンパク質、フェリチン(鉄を貯蔵する)やカゼイン(アミノ酸の貯蔵庫)などの栄養の貯蔵に使われるタンパク質、神経成長因子、上皮成長因子、インシュリンなどのシグナルとしてはたらくタンパク質も生体の維持に不可欠である。変わったところでは、時間を記憶するようなタンパク質も見つかっている。凍結防止のタンパク質がある一方で、積極的に氷の核になるタンパク質もある。とにかく生体内でなんらかの機能が見つかったら、その機能のためのタンパク質があることをまず疑ってみるべきである。
(satom)
一口にタンパク質といってもいろんな機能を持ったものがあります。生体機能のすべてはタンパク質が担っていると言っても過言ではないでしょう。何しろDNAやRNAも転写因子タンパク質がなければ何にも仕事ができないようになっています。
ヒトのDNAはすべて解析されたとのことですが、なんとタンパク質はその半分ぐらいが構造を決定できていないとのことです。いままだ謎のベールに包まれているのがタンパク質です。
また様々な酵素が生体の代謝機能に不可欠ですが、この酵素にはビタミン・ミネラルなどの補酵素が必要とされます。つまり酵素がちゃんと働くためにビタミン・ミネラルを十分摂取しないといけないということです。今話題のコエンザイムも補酵素です。年齢と共にビタミン・ミネラルなどの補酵素が減少することで、酵素が十分働かなくなると、様々な体の不調に繋がっていくことになります。
また受容体や輸送タンパク、コラーゲンなどの構造タンパクが変性してしまうとまた体のトラブルに繋がっていくことになります。また転写因子タンパク質がうまく働かないと、ガン化の原因にもなるようです。すべての病気はタンパク質の変性・不調にあるといってもよいでしょう。
satom健康の友も参考にしてください。
http://plaza.rakuten.co.jp/satom6revolution/
●多様なタンパク質のはたらき
ヒトのゲノムには3万~4万種類の遺伝子が含まれている。選択的スプライシングという現象があって、ひとつの遺伝子から多種類のタンパク質ができることがある。したがって、数万から数十万というタンパク質が、わたしたちの体を構成していることになる。そして、それぞれのタンパク質は異なる機能をもっているが、ゲノムの情報から得られるタンパク質のアミノ酸配列のなかで、機能が知られているものはせいぜい半分くらいである。しかし、おおざっぱにタンパク質を分類することはできる。思いがけない機能をもったタンパク質もあるが、代表的なものをしめすと、以下のとおりである。
(1)酵素は、生体内の化学反応を促進するはたらきをもつタンパク質である。一般に化学反応を促進する物質を触媒というが、酵素は化学反応の触媒ということになる。たとえば、タンパク質を分解する酵素やDNA分解酵素、脂質分解酵素ばどの一群の化学結合を切る反応を触媒する酵素がある一方、トリプトファンというアミノ酸を合成する酵素、ATP合成酵素、DNA合成酵素などの化学結合を形成する酵素があり、その他さまざまな化学反応の触媒をする酵素がある。
(2)モータータンパク質は、文字どおり動くことを機能しているタンパク質である。代表的なモータータンパク質には、筋肉の繊維を構成しているミオシンがある。ATPをADPに分解して得られる化学エネルギーを利用して、分子の構造を変えて動くことがわかっている。細胞の中には微小管などの繊維状のタンパク質の構造が発達しているが、その上を歩くように動くキネシンやダイニンというタンパク質もモータータンパク質である。直線的に動くモーターだけではなく、回転モーターもある。バクテリアのべん毛の根元にあるべん毛モーターは、多くのタンパク質が複合体をつくっていて、水素イオンの移動をエネルギー源として回転運動をおこなう。
(3)受容体は、細胞膜に埋め込まれたタイプのタンパク質で、細胞外からの情報をつかまえて細胞内に伝える役割をはたしている。受容体の多くは、化学物質(ホルモンや神経伝達物質、におい物質など)を結合して、その情報を細胞内に伝達する。さらに、それ以外のさまざまな刺激に対しても受容体が発達している。たとえば、ロドプシンは光を吸収して、その情報を細胞に伝えている。
(4)輸送タンパク質は、特定の分子をある場所から別の場所に移動させるものである。ヘモグロビン(酸素を輸送する)や血清アルブミン(脂肪を輸送する)のように体の循環器系を利用して輸送させるものと、細胞内外の輸送をおこなう膜輸送タンパク質がある。後者では、細胞に必要な栄養の分子やイオンを取り込んだり、細胞に不要あるいは毒性のある分子を排出する。
(5)遺伝子調節のための転写因子タンパク質は、DNAに結合してRNAへの転写を制御するはたらきをもっている。多細胞生物でひじょうに重要な役割をはたす転写因子タンパク質にホメオドメインタンパク質がある。ホメオドメインタンパク質は体の形成スイッチとしてはたらいていて、頭、胸、腹などの体全体の形を決めている。頭、胸、腹があったり、背中とおなかがあったりするという意味では、昆虫もヒトも同じであり、同じようなモメオドメインタンパク質によって決められている。
(6)コラーゲン、ケラチンなどの構造タンパク質、フェリチン(鉄を貯蔵する)やカゼイン(アミノ酸の貯蔵庫)などの栄養の貯蔵に使われるタンパク質、神経成長因子、上皮成長因子、インシュリンなどのシグナルとしてはたらくタンパク質も生体の維持に不可欠である。変わったところでは、時間を記憶するようなタンパク質も見つかっている。凍結防止のタンパク質がある一方で、積極的に氷の核になるタンパク質もある。とにかく生体内でなんらかの機能が見つかったら、その機能のためのタンパク質があることをまず疑ってみるべきである。
(satom)
一口にタンパク質といってもいろんな機能を持ったものがあります。生体機能のすべてはタンパク質が担っていると言っても過言ではないでしょう。何しろDNAやRNAも転写因子タンパク質がなければ何にも仕事ができないようになっています。
ヒトのDNAはすべて解析されたとのことですが、なんとタンパク質はその半分ぐらいが構造を決定できていないとのことです。いままだ謎のベールに包まれているのがタンパク質です。
また様々な酵素が生体の代謝機能に不可欠ですが、この酵素にはビタミン・ミネラルなどの補酵素が必要とされます。つまり酵素がちゃんと働くためにビタミン・ミネラルを十分摂取しないといけないということです。今話題のコエンザイムも補酵素です。年齢と共にビタミン・ミネラルなどの補酵素が減少することで、酵素が十分働かなくなると、様々な体の不調に繋がっていくことになります。
また受容体や輸送タンパク、コラーゲンなどの構造タンパクが変性してしまうとまた体のトラブルに繋がっていくことになります。また転写因子タンパク質がうまく働かないと、ガン化の原因にもなるようです。すべての病気はタンパク質の変性・不調にあるといってもよいでしょう。
satom健康の友も参考にしてください。
http://plaza.rakuten.co.jp/satom6revolution/