有冬典子さん・加藤洋平さん著『リーダーシップに出会う瞬間』の抜き書き書評記事です。

7年で12刷も重ねているリーダーシップ本の名著です。


https://www.amazon.co.jp/dp/4820731637

副題「成人発達理論による自己成長のプロセス」となっていて、小説パートを有冬典子さん、解説パートを成人発達理論の専門家の加藤洋平さんが書いているという構成です。

もとい、元多読書評ブロガーという感じなので、相当久しぶりの書評投稿です。というか3年以上ぶりです^_^

最近は本より身体の探求の方に走ってまして、NOTEに記事書いてます。

本著は、著者の有冬さんが主催されているコンヴィヴィアル倶楽部なるところでお会いしたご縁で手に取らせていただきました。

通常大手書店に並んでも2ヶ月程度で棚からなくなると言われていて、更に無数にあるリーダーシップについての本として、7年12刷という重版を重ねて残り続けている凄い本です。

有冬さん曰く、降りてくるように書けたという小説は、リーダーシップの「在り方」を、小説形式で解説してくれています。

あとがきより3つ抜書きしてみます。

「わたしを生きる あなたと生きる」という理念を追求した中で学んだ様々な気づきや知恵も、たっぷりと盛り込むことになりました

某作家のインタビュー記事で「小説は読むことで体験が起きる。読んだ後、読む前の自分とは少し違った自分になっている。それが小説の役割なのだ」

この書籍をお読みいただいた方々の人生を少しでも勇気づけ、より多くの人が自分自身のコアな願いから生きて周りに影響力をふりまく「コアリーダー」として、豊かな人生を歩むきっかけとたりますことを心から願っております

抜書き以上です。

主人公の青木美智子さんが、管理職目指してみないかと持ちかけられ、不安に苛むなか、社内でモデルになる先輩から、学んだり、反面教師な人と葛藤してぶつかり合ったりしていきながら、リーダーとしての『在り方』を模索し続けながら成長していくという王道成長ストーリーものです。

通常、松下幸之助さんや、著名な人のリーダーシップの本番、リーダーとはかくあるべきという本が多い中、小説形式にて、リーダーやってとか言われたけど、それやるのやらないの?っていうところから葛藤を始める主人公に共感できるストーリーです。

一章ののっけから、凄いコアな話が出てきていてのめり込める話です。

私自身、コンディショニングの仕事にて、身体感覚と感情類系を扱いながら心身の改善改良を目指す仕事をしているのですが、影響力についての内容に共感しまくりでした。

自分なんかリーダーには程遠いというモラトリアムを繰り返す青木さんのリーダーシップの旅路と、それを導く森尾さんの在り方と、旦那さんとの会話の葛藤と、ザ・エゴリーダーとして描かれる小林さんの痛快過ぎる在り方など、色々感情移入していけるところが小説形式の良いところです。

リーダーや管理職に実際になっている、なっていないに関わらず、これから何か自分が新しいことに一歩踏み出そうという時に、是非おすすめの本です。

以下は抜書きまとめです。

この内容にピンと来るところがある人は、是非本著を手に取って、小説の世界を堪能しながら、自分のリーダーシップの旅を並走させていきましょう。

◾️戦わないのに無敵

「森尾さんは自由人だから」

◾️自分の枠を超えるとき

葛藤ゾーン

ー私なんかが管理職なんて無理だわ

自分の枠を超えるとき、人は葛藤ゾーンという部分を通るもの

まだ現実に何も直面していないのに、様々な不安が群れを成して襲ってくるゾーン

◾️葛藤ゾーンを抜けると

枠を超えて見たこともない未知の世界へ飛び出せる

◾️影響力 

何をするかではなく、どうあるか

ただそこにいるだけで発してしまう、その人の存在感とか、その人に宿る雰囲気

◾️在り方を磨くためには

自分の影響力の起点をちゃんと自覚すること

◾️森尾さんの影響力

「そう、人が思い込みや習慣にしばられていたことを思い出させてくれる人って感じよ。直接なにか説得するわけでもないのにね」

「きっと、発想が自由なのね、森尾さんは」

◾️自分が発している影響力は

自分の外で起きていることを自分がどのように認識しているかで決まる

その認識から自分の行動が選択され、それが周りへ何かしらのインパクトを与える

◾️自分の外界を意味づけし判断している瞬間から

影響力は発信されている

◾️心のレンズを通した無意識の意味づけ

外界で起きている事実をあるがままに捉えることができず

自分の価値観や状況に影響を受けた意味づけを無意識に行い、そこから判断をくだす

◾️何も行動を起こさず黙って座っていたとしても

周りの人はその人が何をどう認識し判断しているか、ということを無意識に察知し、反応しちゃう

その人の雰囲気やムード、気配のようなものに影響を受けます

◾️エゴリーダー

自分が外界をどう見ているかについて、自覚的でいること、それが無自覚であればあるほど、エゴリーダーになってしまう

◾️エゴリード

自分のエゴイスティックな部分を起点に、人への影響力を発してしまうこと

◾️コアリード

自分の想いの核となる純粋な願いを起点に影響力を発揮すること

そのために、自分自身が目の前に起きていることをどのように認識して判断しているかについて、無自覚にならないように普段から気をつけるようにしている

◾️エゴの正体は保身

保身は、生命維持のためには本能的に必要なもの

でも、それが強すぎると偏見や思い込みを強化してしまい、人は事実をありのままに見ることができなくなっちゃう

その結果、判断や行動はその場に不適切なものになることが多い

自分がちゃんとまっすぐ目の前の事実を見ることができているか、気をつける

◾️自己欺瞞

そもそも自分には保身があるって事実に向き合うことすら、人にとっては難しい

本当の気持ちをすり替えて自分のエゴイスティックな起点にフタをしちゃう

私は正しいことをしているだけだ、ってね

◾️簡単ではなさそう

自分の影響力の起点に自覚的になれば、つまり、事実をどう認識し判断しているかに真に自覚的になれば、自分の保身が的確な判断を阻害していることにも気が付きやすくなる

それが本当に大事

◾️腹が座ったコアリーダー

まだわからないことに対して慌てない

未知なことに振り回されない

◾️森尾さんの口ぐせ

『やってみないとわからない』

『聴いてみないとわからない』

『扉の前で悩まない』

世の中のたいていの扉には、鍵はかかっていない

実行する前から悩まない、諦めないこと

◾️観察している余裕

心配でたまならないこととか、突発的な出来事に焦るということは今もある

だけど、どこかで、そういう自分を客観的に観察している余裕は持てるようになった

不安や焦りはあるけど、それに飲み込まれていない感じ

◾️人間的成熟

視野が広いと、心配や焦りと距離が取りやすくなって、客観性が増す

◾️視野を広げるためには?

自分の状態を観察すること

起点を見ること

そのうえで、一つ一つ丁寧に枠の外の体験を積むこと

◾️視野の拡大に付随して重要なのは

感情の客体化

◾️エゴリーダー

自己欺瞞

正義のラッピング

◾️鵜呑みにしない

自分で精査し直す

1つの仕事に1つの工夫や気配りを乗せる

◾️正解だとしたら、どうか

不必要な人などいない

◾️自己犠牲の排気ガス

自己犠牲の根っこは保身

私が我慢しているだけ?

溜まったストレス

どこかで排気ガスとして撒き散らす

◾️保身

保身は悪いことではない

身を守りたい気持ちは、生き延びるために必要な感情

認識しておくだけで良い

◾️現実の捉え方が“雑“

現実に起きていると思い込んでいる9割が自分の勝手な解釈

自分の推測の中で作ったストーリーや意味づけ

1割の事実だけに対応する、と決めると、人生はシンプルになる

◾️箇条書きにして紙に書き出す

左半分には事実を書き、右半分に解釈や推測を書く

仕上げて眺めると、ほとんどが自分の勝手な解釈や推測

根気よく数ヶ月から1年くらい意識していたら、事実と解釈の境界線を引くことがきっとうまくなる

◾️「正しいリーダー』

外側にある正しさに依存した『正しいリーダー』は、間違ったリーダーシップを生み出す

◾️理念を持ったリーダー

目指すべきは自分なりの譲れない理念を持ったリーダー

どんなチームを作りたいと願っているのか

どんな社会をつくりたいと思っているのか

自社の商品を通じてお客様にどうなって欲しいとと願っているのか

◾️方針を示し続けていただけ

その方針からずれていないのであれば、多少の失敗は目をつぶった

なるべく口出しをしないように我慢

大きく構えて部下たちのチャレンジを見守れるようになった

◾️向き合う恐れ

コアリーダーとして自分を磨き上げるまでに向き合う恐れ

1つは、損得勘定の壁

自分が損をするかもしれないことへの恐れ

2つ目は、孤独の壁

嫌われたり、孤立することへの恐れ

3つ目は、アイデンティティの壁

コアリーダーになってから、ぶつかる壁

知らず知らずのうちに

理念が自分のアイデンティティになってしまう

理念の否定は、私自身の否定と感じちゃって

理詰めで追い込みたくなる

相手の発言の本質的な意図、つまりコアな願い

考察する余裕も持てなくて

自分を正当化したり

相手の意見をシャットアウトして

自分の意識の中からその人を抹消したり

ダークサイドに落ちちゃう

◾️葛藤の場面

葛藤の場面でヘドロのように心に湧く恐れの正体は、自らタブー視した自分の影の部分

そのヘドロにあえて突っ込むことでその影を受容した

自分の影に光を当てた

光を当ててみたら、それらの影は自分の一部として組み込まれ

その後の活動で十分な機能を果たすようになった

結局、自分が恐れているのは、自分自身

それを受け入れると、怖いものがどんどん減っていく

◾️壁を乗り越えるコツ

損得の壁・孤独の壁・アイデンティティの壁

言い換えると

『損してもいい、嫌われてもいい、無価値でいい』

『それでも私は自分のコアに立ち続ける』

◾️この3つの壁を乗り越えると

本当の意味で、やっと自分自身になれる

そして

この世のあらゆるものを愛おしく思うようになる

〜自愛から慈愛へ〜

◾️自分を本当に大事にする

『責任と限界を結びつけて自分を捉えていたい』

ごめん、全く意味がわかんない

ある論文で見つけた座右の銘

遠慮しない、でも背伸びしない、って言葉と、さっきの自分自身になるって言葉が、何か繋がっている気がする

彼女の眼差しは、もはや、自分の願いだけでもなく、自分の仲間だけでも、会社だけでもなく、地球全体のコアな願いを見つめているような気がした

◾️超コアリーダー

他者の捉え方

自己の変容に貢献するもの

欲求

責任と限界を結びつけて自己を捉えること

思考

他者の成長に真から貢献したい・喜びたい

価値観の違う人との出会いは興味深くて刺激的

リソース

個と全体の双方の可能性を最大限に引き出す

その瞬間瞬間とともにいる力

いつも目の前の人と出会い直す力

新しい自己への好奇心

抜書きまとめ以上です。

この書評投稿は、まだ本書のことを知らない人には、本書の本質的な魅力の一端をお伝えしたいということと、読んだよという方には、復習用に使ってもらえたらという妄想をしながら投稿してみます。

以上、有冬典子さん・加藤洋平さん著の『リーダーシップに出会う瞬間』抜書き書評記事でした。

リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス
https://www.amazon.co.jp/dp/4820731637



最後までお読みいただき有難うございました。

文責
元月間101冊多読書評ブロガー石井聡

最近は、身体感覚探求NOTEやってます。
https://note.com/tadokublog
書評抜き書きまとめ記事のひさびさの投稿です。

小説家の森見登美彦さんの対談集です。

小説をつくるということについての憧れは、多くの人が持っていると勝手に思っています。

会社のセミナールームで業務外趣味活動として、10年近く様々なイベントを行ってきましたが、BBQイベントを除いて最も人が集まったのが、吉本新喜劇の脚本を書き続けてきた徳田博丸さんの脚本/ストーリーテリングワークショップでした。

最近も、年始に自分史を振り返り、それを本の章立てにしてみるというワークショップを、自分の中の活動の切り口を変えて出版し続けている藤由達藏さんをゲストにお呼びした会を開催していたりします。

そんな中、同僚に小説を書いているという人がいて、森見登美彦さんというキーワードをもらって、図書館で集めた本の中にあった一冊が面白すぎたので抜き書きで紹介します。

過去書いていた書評ブログでは、ストーリーテリングの本を何冊も紹介していたことがありましたが、私は傾向として、0→1に関わることが好きなタイプな人間のようで、小説家がどんな発想でものを書いているのかというところを観るのが面白すぎました。

■ストーリーテリング関連書籍・エントリーまとめ■
https://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10420384765.html

以下、書評ブログを書いていた時のパターンですが抜き書きまとめです。

■『夜は短し歩けよ乙女』

あの女の子は基本的に、僕です

なんとなくの雰囲気的なものは一応モデルの人がおるんですけど

喋っている内容は僕の中のわりといい部分だけを切り取って、可愛げのある感じに拡大する感じでした

■森見さんが”乙女”なんですね

女の子って、乙女な男の子が大好きですから、女の読者にとってはそれが良いのかも

乙女な男の子って、気持ちが外から見えやすい

女の子にとっては、相手の気持ちが見える過程が楽しいというか気持ちいい

■最初に冒頭の部分を書く

ここが自分の理想とする綺麗な形に仕上がると、お話を始める元気になる

できるだけ言葉を切って、文章を磨き上げていく作業が好き

■ラストが解決されず

開かれたまま終わっていく方が好き

■背後に何らかのシステムがあるという気配

それを人間側の論理では絶対に解釈できない

小説で京都の具体的な地名を出すのは、京都の裏には何かある、という前提で読んでもらえるから

■「志村、うしろうしろ!!」の構造

観客にだけ見えている特殊な状況をつくる

■森見文学の神髄は、読者のツッコみ待ち

主人公は突っ張っているのだけど、読者にはバレバレ

「いやお前、それは違うだろ」と、読者にツッコんでもらいたい

間違っていることは分かっているんだけど、言い通す

その書き方だと、僕も気持ちよく書けるというか

じめじめ薄暗くなったり、主人公の考えが変に真面目になっていかない

『山月記』の冒頭

「京都吉田界隈にて、一部関係者のみに勇名を馳せる孤高の学生がいた」

「一部関係者のみに」で、「勇名を馳せる」。どういうことだ!

■キャラクターを作る時には、ギャップはすごく意識します

ツンデレ

登場人物の優しいところにグッとくるというのは

その人がその場面まで優しくない、というタメがあってこそ

それを、いろいろグラデーションとかを変えてやっていく

ほとんどそのパターンだけでキャラクターを作ってるんです

『有頂天家族の赤玉先生』

ずっと威張っていて、自分はなんでもできるんだと言ってるんだけど

本当はなんにもできない

弁天は、あんたのこと食っちゃうよって言っているくせに、いざとなると食わない

『太陽の塔』の主人公は、彼女と別れたけど全然平気だって言っているのに最後、泣く

■キャラクターを作るとき

実は自分の要素をいじっていびつな人間をつくって、自分と違うものにしていくんです

『四畳半』の「私」って自分とかぶっている部分もあるんですけど

僕よりずっと思いつめているし、僕よりもっと尖っている

僕は「私」のように世間に嫌悪感もないし、むしろあれぐらいアグレッシブになれたらいいのにって

ダメ人間ではあるんだけども、ダメ人間なりにいろんなところに出て行っていろんな人に会って、何かをやっているのって純粋に憧れますね

■羽海野チカ(漫画家)

『3月のライオン』

「自分はこれでいいのかな」とぐるぐる自問自答を繰り返す男の子を描こう

『ハチクロ』が「社会に出るまで」のぐるぐるなら、「社会にでてしまったあと」のぐるぐるを描きたかった

ある日「でも……やっぱりマンガが描きたい!」

このまま”あの時、挑戦しておけばよかったなあ”って思いながら年とって死ぬのかなあって思ったら、もう息ができないような気持になって。それで描いたのが『ハチクロ』でした

本当に思っていることを描こうって

「素敵じゃないと愛されない」っていう思い込みみたいなものがどこかにあったような気がするんです

でも自分が素敵な人ばかり好きかって言ったらそんなことはなくて

「なんで、あの人は!」ってツッこみながらも大好きな人たちのことを描けばいいんじゃないかって

自分のダメなところも出しちゃって、もう笑ってくれればいいやって

そう思って描きだしたら、そのあとのほうがお客さんが親身になってくれたというか。不思議なもんだなあと。

■『夜は短し歩けよ乙女』と「モヤさま」

べたな京都を出していない

「モヤさま」もいかにも東京な場所には行かない

主人公がとりあえず、何にでもチャレンジする

あの精神も「モヤさま」と通じるところがある

■絶えず自画自賛する主人公たち

僕の癖で、自画自賛するような人を主人公にしないと、どうしても陰々滅々とした薄暗い方向に流されてしまう

仲間を笑わせるためにわざと威張ってバカなことを書いて遊んでいた

それが周りに好評で、学部を卒業する時、試しに小説に応用してみたのが『太陽の塔』でした

『吾輩は猫である』のように、しかめ面で難しいことをやわらかく、リズムの良い文章で語る小説をよく読んでいたこともえいきょうしていると思います。内田百問なども好きでした

■SF小説がすごくお好きなのではないですか?

SFの原点は、「ドラえもん」

■この先、どのように進んでいこうか

(萩尾望都)

何をおいても「人の言うことを聞かない」ということにつきます

他人の意見に耳は傾けても、自分が違うと思ったら従う必要はありません


抜き書きまとめ、以上です。

文中、私小説ならだれでも一つは作品が作れるという言葉がありました。

そして、自分の活動の一側面を切り取って自己啓発書を書き続けている藤由達藏さんのお話を聞いた時と同じで、そこで出来上がっていった私の思い込みかもしれませんが、小説家の人たちも、キャラクターをつくるパターンを、自分や身の回りにいる人のイメージから膨らませて創っていくのだということ、そういうところにとても共感しました。
JAXAのはやぶさ2プロジェクトで有名な津田雄一氏による「失敗から学ぶチームワーク」オンライン講演会の視聴メモです。

町田相模原焚き火の会なる取り組みの同志でもある友人の辻井さんが相模原市のPTA協議会と教育委員会の企画として関わっていたイベントだったというご縁でして、2022年4月までの限定公開ですが、アーカイブ動画が公開されています。

最近、転び学だか、ポジティブ失敗学みたいな研究がしたいと思い始めていたタイミングだったので、備忘を残しておきたいと思い、久しぶりに学びシェアのアメブロの方に投稿しておきます。

自分の人生ストーリーを数々の転んだ失敗経験を軸に語ったところ、爆笑してもらうことが出来たことと、自己探求オタク的なことを相当やってきたのですが、また新しい発見があったりしまして、転び・失敗というところからの学びを深めたいと思っています。

はやぶさ2の見事なチームワークについての取り組みと慧眼についての学びももちろん素晴らしいのですが、それらが生み出された原体験として、「はやぶさ1号機」で味わったくやしさを、もう二度と繰り返したくないというその転び経験からの思いの強さが、このはやぶさ2の成功を生んでいるかもというところに心惹かれています。

はやぶさ2の功績の凄さみたいなニュースは世の中にあふれているので、その部分は割愛しますが、地球からプログラミングを書き換えて臨機応変に対応できるなど、世界初を9つも達成しながら、100m四方を想定していた着陸精度を6m四方に調整するとか凄いと思いますが、総勢600名に及ぶプロジェクトを率いたリーダーシップ論として、手法というより、個性あふれる人達を取りまとめていくコミュニケーターとしてのあり方がもの凄く勉強になりました。

以下は、テーマとなっている「失敗から学ぶチームワーク」の部分で話されていた内容を抜き出した講演メモです。

~「失敗から学ぶチームワーク」講演メモ~

■宇宙科学とは

太陽系の中だけで大きな惑星以外に、107万個の小惑星がある

宇宙の謎を知る、太陽系がどうやってできたのか、
どうしてこういう形で生まれて、我々人間はどのような
存在なのかということを追求する学問です

多種多様な小惑星のことも調べる必要がある

■小惑星 リュウグウ

炭素と水がありそう

水生命の起源が調べられるかもしれない

3年半でリュウグウに到着

2008年から10年かけて計画

■想定外

リュウグウの地面の凹凸がひどい

4か月かけて100m四方の平坦地を想定していたが、
6m四方の場所への着陸技術が必要

4か月かけてプログラムを開発し、
光の速度で20分かかるはやぶさ2にダウンロード

更に24時間前に問題が発覚したが対応しきる

■プロジェクトメンバー

600人のチーム:JAXA所属者だけでなく多種多様な人達

チームワークがとても大切

・600人で一つの目標:これをいかに浸透させるか
・徹底的な訓練:やりたいことがやれるチームにする
・挑戦心・あきらめない心を醸成するチーム作り

人数が多くなると心配事を言う人がいたり保守的になりがち、
それにより全体の動きが鈍重になる、挑戦的なことが
出来なくなったとしたら、プロジェクトには致命的と考えた

■良いチーム

600人の頭脳がフル回転で考えて、誰かが良い解決策を思いついたら
こっちだ!とみんなで向かえるような『場をつくる』

それぞれの頭脳が自立的に動くことが大切

■”探査型”プロジェクトのチーム作り

宇宙探査は答えが分からない

答えを解けるチームではなく、問題を作れるチームを作る

1.自分自身の能力を熟知する
2.上司ではなく節理・論理に忠実なチーム文化を作る
3.個々人のモチベーションを育て高める

・答えを解けるチームのリーダー
 高い先見性と計画性:PMが問いを発し、部下が回答

・問題を作れるチームのリーダー
 場の方向付け:エキスパート同士の相互問答

似たモデル:タックマンモデル

■”探査型”プロジェクトを育てるには

草創期:ゴールの共有とチーム員の能力・専門性の研鑽
    (個々に話しかける)

混沌衝突期:自己主張をぶつけ合ってお互いに磨き込む
    (機会を提供し、衝突・試練の機会を促進・見守る)

一人格化・自律化:協働し、高い自律性と自己成長性を獲得
    (ムードを増進、責任を取る覚悟の維持による安心感)

収穫期:高度なチームワークで成果を量産
    (次なる目標を与えれば自律的に動いてくれる)

混沌・衝突期に、あえてリーダとしてここで衝突させたままにしておいた。
自分たちで解決するようになっていった。すると、
個々の人達が有機的な動きをするようになっていった。
芸術作品を見ているような、自分が手を全く下さなくても、
チームとして個々の人が良かれと思って動いていくことで、
チーム全体の利益になっているという状態となり、
この状態ではやぶさ2はリュウグウ到着を迎え、
チームで解決するぞという雰囲気と能力が伴っていた。

■失敗させる仕掛け

宇宙開発は「失敗が許されない」

ここの場では「失敗してよい」という場を作った

シュミレーターを作った運用訓練で、厳しい環境で失敗させた

2日間の訓練を公式に48回行い、22回墜落した

こうすることで磨かれていった

■良い失敗、悪い失敗の見分け方

失敗を許容しないと挑戦できない
挑戦のない仕事は面白くない
ゲームオーバーにならない算段をして、どんどん挑戦

Challenge, but NO gamble

gambleとは
どっちに転ぶか分からないけどやってみよう

Challengeとは
失敗したとしても、探査機を失わずに、着陸に失敗しても
地球に戻ってこれる能力を担保した上で挑戦する

■若手のアイデアを引き出す方法

若手は頭が柔らかいので色々なアイデアを持っているが、
出していいか、採用されてしまったらどうしよう、それが
失敗したら自分の責任になるかもとか色々考えてしまって、
意見が出せないことがある

アイデアを出すことと責任を分ける

・提案はどんどんしてもらってOK
・採択するかどうかはチームで決めよう
・責任はすべてチームが持つ

→メンバーの心理的安全性をつくる

ああやったらどうだ、こうやったらどうだということが
活発に出て仕事を取り合ったりするような良いチームになる

失敗を許容しないと挑戦できない
挑戦のない仕事、挑戦のない人生は面白くない

■節理への忠実さ

リーダーの言うことは聞かなくても良い

ただ、節理へは忠実でいよう

ものごとの節理や論理や物理現象に忠実でないと、3億年彼方の探査機を正しく動かせない

これをチームで徹底する

偉い人がどう言おうとも、それが節理に反していると思うなら、若手でも声を上げよう

■プロジェクトリーダーの役割

・組織内の情報流・決断はオープンに
 ヒエラルキーはできるが、どこにどういう情報の流れがあって
 誰がどのように決断をしたのかが分かると仕事がやりやすい

 ミッションこそが上司、節理こそが上司、議論はフラットに

・対立軸をつくる
 安易にまとまらない。反論を常に提示する。

・安心してアイデアを出せる環境をつくる
 責任はリーダーがとることの明示→仕事を奪い合うチームに

・リーダーの役割
 五分五分の判断になったときの決断
 いざというときの突破力

■想定外を想定する

何が起きるか分からないことを想定して準備していく

自発性に基づくチームづくり

失敗の成功も面白がれるチーム作り

みんなが「自分がいなければ成功しなかった」と思えるプロジェクト

<質疑応答>

Q:チームづくりの方針は、どのように身に着けましたか?

経験に基づいてやっている。20年前から人工衛星を行っていた。
限られた時間で行うために、チームを意識せざるを得ない。
この人の言っていることは信用できるとか、よく分からないけど
結論を信頼できるというチームは何かというと、
試練をのりこえた人達とか、試練をのりこえたチームだと思う。
その人のバックグラウンドに深いものがあることを知っていると
信じられると思う。そうなると試練というのは失敗ということ
なので、それやったら失敗するよと思ってもぐっとこらえて、
あえて失敗させてみる。
いやあ失敗しちゃいましたとなったときに、ああそうなんだ、
じゃあ次どうしようかというような会話をフラットに対等にできる。
ほらいわんこっちゃないという感じではなくて、一緒に発見
したような形で失敗を克服できるという雰囲気が、
いいチームをつくるなということが、自分の経験の中では、
そう感じていました。

たまたまはやぶさ2のリーダーを任されたので、それを
一番大がかりにやったらどうなるのかというのが、
はやぶさ2での取り組みでした。

Q:混乱衝突時に失敗するとチームが崩壊してしまうかも?

衝突したときに、本気でチームが上手くいかないと感じたこともある。
すごく気持ちが暗くなることをもあった。
仕事を奪い合うという良い現象も、禍根を残すようなことがないようにと思うが、ここでリーダーが入ってしまうと毎回リーダーが入らなければいけなくなる等。

気を付けていたことは、自分が真摯に対応すること、フェアであること、誰にでもやりたいことや主張があって、それを尊重しながらもはやぶさ2ってこういうミッションだよね、だとすると、ここはあなたの言う通りにするけど、ここは違うよねというようなことを一つ一つ解きほぐして、良い方向に持っていけることしかやれることはない。

リーダーはあきらめず、両方の主張を最後まで聞こうとする意志を示す。リーダーを先に言い負かした方が勝ちだとかいうことではなく、どっちの意見も通して、結果としてロジカルな結論を導こうとしているんだと思ってもらえることが大切。

Q:はやぶさ1号機より数千倍のサンプル量を取れたのは?

はやぶさ1号機と2号機のサンプルの摂取方法自体は同じ。

はやぶさ1号機の宿題をこなしたという側面もある。

Q:失敗しすぎたとかリカバリーできなかったことはないか?

はやぶさ2号機は、上手くいってしまった。
はやぶさ1号機は、ひどく心が痛むことが多く、こんな経験を二度としたくないと心から思った。その思ったことを反映できる機会をもらったというのがはやぶさ2。
はやぶさ1号機の多くあったトラブルを全て克服するように動いたし、表面の凹凸が多いことは想定外だったが、4か月で克服できた。

Q:衝突した人同士、話さなくなってしまったりしないか?

そうなるとチームワークとしては最悪なので、そうならないような
とりもち方はしなくていけなくて、お互い大人なので、そういったら仕事が上手くいかないと分かるので、しばらくは放っておきますが、最終的には、あなたの言っていることは、ここまでは正しいし、はやぶさ2の目的を考えると同じこと言っているよねとか、正しくないことも含めて、理解納得できるよねとお互い納得できることが大切。そうすると悪いと思っていたことから、良さも見えてくる、良さが明確化する。そこまでいかないと、コミュニケーションを再び取るというのは難しいですよね。

四苦八苦しながらやっていたので、結果的に上手くいった時に何があったかというと、それぞれの得意分野やそれぞれのやるべきことというのを、そういうことが起きるたびに明確化していって、この人はこういう処は、誰にも負けないものがあるのだということを、それぞれの人に認識してもらえるということです。

~講演メモ~

実は、前段で書いたはやぶさ1号機の原体験の話は、講演後のQ&Aで出た話なのですが、「宿題をこなした」という表現が印象的でした。

間に合う方は、論旨はほぼ抜き出していますが、期間限定なので、もし内容に共感できたという方は、津田雄一さんのあり方に触れる機会として、是非視聴してみられてください。

期間限定公開(2024年2月まで)
はやぶさ2のプロジェクトと失敗から学ぶチームワークについて
https://sites.google.com/view/sagamiharakateikyoiku/?fbclid=IwAR1hloD80FEzHiEexmkBVJ00yF-DriUV_0Oqj2ZJl5f70yODi8QqejjLJes