今日は、ドバイの病院がいかに豪華だったかという話です。
ただ入院の経緯は辛い話なので、そんなん読みたかない!という方は、
写真のあるところまで読み飛ばしてください
ブログの更新が少し滞りましたのには、理由がありまして…。
次女が2年7ヶ月の人生で、15度目の熱性けいれんを起こし
救急から小児病棟入院、と病院のお世話になっていたのでした。
私も私の母も乳幼児期にひきつけを起こしていたのですが
つーこはその血を色濃く継いでしまい、生後6ヶ月で初発、
以後日本でも2回入院し、1度は救急車に乗っています。
CTもMRIも脳波の検査もしましたが異常はなく、ただ一度の熱で発作を頻回に起こしてしまうので
ドバイに渡航した時もすぐ、日本で書いていただいた紹介状をERのある病院に出し
なにかの時にはすぐかかれるよう、カルテを作ってもらっていたのでした。
そのときのことは、別の記事にも書いています。
日本では
「熱が出たら、ジアゼパム(日本では「ダイアップ」という商品名)を投与し、解熱剤はなるべく使わない」という指示を受けていたのですが
ドバイでは
「とにかく解熱剤で熱を下げなさい」と言われていました。
ジアゼパムについては「もしひきつけてしまったら、5分後に次の痙攣を防ぐため使いなさい」という指示です。
これは、私にはすごくしっくり来ました。
なぜなら我が子のひきつけは、ジアゼパムで予防できたことがなかったからです。
38℃超えたら解熱剤を使っていいと言われて、すごくほっとしたのでした。
高熱にならなければ、ひきつけが起きることはないのですから。
日本の病院では、ひきつけ自体が身体や脳に悪影響を及ぼすことはないと説明されました。
要するに、日本では、ひきつけ自体は危険なものではないから
身体に熱を出しきらせて、自分の力で病原菌と戦わせるべし、という考え方なのです。
一方ドバイでは、ひきつけがなくてもすぐ、解熱剤で熱を緩和します。
発熱は病原菌に対する生体防御反応ですから、むやみに下げてはいけない、という考え方も理解できるけれど
「親なら子どもが苦しむ姿を見たくないよね?」と言うドバイの先生には
初めてこちら側に寄り添ってもらったように感じてしまったのでした。
実際、大きくなってからのひきつけで後遺症が残ったという話を耳にしたこともあるし
小さな娘が泡を吹いて痙攣する姿は、二度と見たいものではありません。
幸いドバイに来て、気候がいいせいか、
はたまた集団保育を本格的にしていなかったせいか
つーこはほとんど熱を出さず、出ても解熱剤でさっと抑えられていました。
そして今回も、抑えられたはずではあったのです…
その日の午前3時、ふっと目が覚めました。
これは我ながら母親ってすごいな、と感心しちゃうところなのですが
ひきつけが起こるときは必ず、それも初めての時から
直前に目が覚めるのです。
つーこのおでこを触ると熱い。37.9℃でした。
このときは睡眠中だったので坐薬を入れて、
ひきつけは食い止められたのです。
しかし、ちょうど薬の切れた9時半頃、段々つーこの機嫌が悪くなってきました。
また37℃台後半まで熱が上がってきていたのでした。
今度は覚醒しているので、シロップの解熱剤を使おうと思ったのですが…
これが失敗味が嫌なのか吐き出してしまい、必要量の半分も飲めませんでした
ど、どうしよう…
とりあえず身体を氷まくらで冷やして、
かかりつけ医に受診したい旨を連絡すると、予約が4時間後までいっぱいでした。
つーこの体温をチェックすると、5分でもう38.5℃になっています。
坐薬を入れようか、でも違う種類の薬を立て続けに入れていいのか…
確認の電話をすると「折り返します」とのこと。
その数分で熱は39℃を超えてしまい、
つーこはもう座っていられずソファでぐったり倒れています。
そして病院からかかってきた電話をとった瞬間…
痙攣が始まってしまったのでした
発作は40秒くらい。
意識を失ったつーこを抱えて、タクシーで救急へ走ったのでした。
救急病院へは車で15分ほどで、
慣れない救急車を呼ぶよりは、タクシーのほうが早いと判断したのです。
(本当かどうか知りませんが、救急車に乗ると、着いたところでキャッシュの支払いを求められるという噂も聞いていて…)
コメントをいただいたのですが、やはり現金支払いでけっこうな額を請求されるそうです!
ドバイ生活では、ある程度現金を家においておいたほうが安心ですね(^^;
運転手さん、「アンビュランスじゃないの⁈」と慌てつつ、大急ぎで向かってくれました。
ERの個室は広く、看護師さんは優しい。
かかりつけ医からも連絡を入れてもらい、すぐ対応してもらえて
とりあえずほっとしました
解熱剤を入れて点滴を始めると、またすっと眠りに落ちていきます。
しばらくobservationしましょう、とのことで、
準備が整ったところで、小児フロアの個室に移動しました。
ドバイでは、小さい子はわりとすぐに入院させるそうで…
「子どもが入院した」という話はけっこうよく聞きます。
それで噂には聞いていたんだけれど…
個室がとっても広い!
日本で市立病院に入院したときには、
狭いベビーベッドで身体を折り曲げて一緒に寝ていたので、
身体がボキボキになりましたが
ここには付き添い者用に、大きなソファベッドがあります
さらにこちらのモニターでは、映画が見放題
個室に入ってしばらくしてから、解熱剤の効いたつーこはむっくりと起き、
「おうちにかえろう」「もうかえりたい」と言って困ったのですが
『アナ雪』や『アーロと少年』を見せられたおかげで、なんとかやり過ごせました
『アナ雪』は滞在中、4回も見ましたよ…
中に入ってみたらシャワーまでついてる!
日本では、自分の食事は院内のコンビニまで買いに行っていましたが
なんと、ここではルームサービスが頼めます。
しかもメニューが豊富なこと
翌日の食事メニューの選択表が、私のぶんも運ばれてきました3歳以下の幼児メニューも、選択肢がこんなに‼︎大人は、朝食をオーダーするだけで、ひと苦労です。 病室に入ったのは14時すぎ。
昼食と夕食は、アラビア料理、インド料理、コンチネンタル、ベジタリアンから
前菜、メイン、デザートがそれぞれ選べるようになっています
さすが、多人種、多宗教の人々が暮らす国ですね!
日本の病院で、ムスリムやベジタリアンに対応できるところはあるのでしょうか…。
お腹がすいたなあ…と思っていたら、
もうランチは終わったけれど、できるものでと、つーこと私とふたりぶんのチキンサンドイッチを持ってきてくれました。
これがすごくおいしくて、つーこも私もパクつきました
晩ごはんはビーフシチューにシーザーサラダ、レモンタルト つーこの点滴を入れる手は痛々しかったですが...熱がないときは元気なので、リモコンに見立てて遊んだりしていました。
期待以上においしかったです
シーザーサラダは、UAEのかたいキャベツもこうすればおいしいんだな~と参考になりましたし、
付け合わせのポテトも、しっかりローズマリーの香りだったりして
病院食!という感じでは、まったくありませんでした。
ソファベッドはありましたが、寄り添っていたほうが安心なので、
結局私はつーこのお隣で、身体を縮こまらせて寝ることに。
解熱剤が切れる4、5時間ごとに熱が上がってきてしまうので、熟睡はできません。嬉しかったのは、ずっと見たかった「007 スペクター」がとうとう見られたこと!
つーこを起こさないように、ネタバレサイトと映像とを比較しながら小さい音で、ですが、
ボンドガールのレア・セドゥがめちゃくちゃ可愛かったし、
『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』と続けて見てきたダニエル・クレイグ演じる“ダメな子”でかわいいボンドがとうとう幸せに…!
ラストのボンドが見せる幸せそうな笑顔に、にんまりしちゃって、
にんまり気分で眠りについたら
入口のホワイトボードにこんな風に書かれていて、また嬉しくなりました
つーこの朝ごはんは、パンケーキにオートミールともりもりです!
解熱剤で熱が抑えられているつーこは、朝ごはんをもりもり食べました。
日本で熱性けいれんで入院したときは、解熱剤投与がいらなくなるまで経過観察されていたので
今回もあと1、2日は入院するのではないかと覚悟していたのですが...
「もう喉の腫れもいいので、あとはおうちで抗生物質治療してね」と
あっさり退院を言い渡されました。
えーっ病院にいられたほうが安心なんだけれどな...
詳しい診断書を渡されました。
前日、看護師さんから「Streptococcusの陽性反応が出ましたよ」と聞いて
一瞬「Streptococcus pneumoniae=肺炎!?」とびっくりしたのですが、
同じストレプトコッカスでもA群のストレプトコッカス、日本でいう「溶連菌」が熱の原因でした。
加えてパラインフルエンザ(普通は「風邪」として片づけられる、呼吸器感染菌)の感染も認められたそうです。
ここまで詳しい診断書、日本ではなかなかもらわないので、ちょっと嬉しいですね。
しかし、まだ熱が上がりやすいので、6時間ごとに解熱剤をあげるという、
ちょっと不安なホームケアを課されたのでありました。
そして私もなんだかだるすぎて...
「すみません、私の熱も測ってもらえません?」と看護師さんに頼むと、
なんと38.1℃!
「マミー!あんたも熱あるじゃーん!」と看護師さんに笑われ、私も笑い、
あとはつーこが遊んでいる横で、ベッドでぐったり...
小児病棟だし、つーことは保険も違うので、お薬はもらえません...。
迎えにきてくれた夫に、「なんでお前まで熱出してるんじゃー!」と言われましたが
翌日、夫も発熱。
子どもの身体で培養された菌の威力はハンパなく、
特に重症な夫は、解熱剤を飲んでも39度台の熱がなかなか下がらず、苦しみました...。
唯一生き残った、はーこ@5歳。
妹と母が病院に行ってしまったその日は、泣き疲れて寝落ちするまでわあわあ泣きましたが、
パパのお手伝いで一緒にカレーを作ったり、洗濯物をたたんだり、掃除機をかけたり、がんばってくれたようです。
帰ってからも、熱がないときは元気すぎるつーこと、
だいぶ2人で遊んでくれたので、病床の両親は助かりました...。
ドバイの病室はホテル以上な快適さでしたが
(保険でカバーされているので、支払いがないから言えることかも...いくらだったのかは知りませんが、バカ高いと思われます...)
溶連菌の猛威はおそるべし...。
もう、つーこもひきつけを起こすことなく、残りのドバイ生活を過ごせるといいなと思うのでした...