こんにちは。 札幌出身・アメリカ在住の皮膚科専門医/美容皮膚科女医の日景聡子です。

 

今週は、3月15日まで募集したご質問・リクエストに関する記事でお送りしています照れ

昨日の記事、眉間のシワのご質問を下さったTさまから、もう1つのご質問がありました。

 

シミも、薄くなるシミと、ならないシミがあるとの事でしたが、
診察でシミを見て頂くだけで鑑別は可能なのですか?

薄くなるシミと診断されたら、肝斑なら飲み薬とかで薄くなると思いますが、
それ以外の薄くなる可能性のあるシミは皮膚科から処方される塗り薬で薄くできるのでしょうか?


(Tさま)


多くの方が気になっていらっしゃるご質問だと思います照れ


シミは、大きく分けて4つあります。

そこに、アザの仲間1つを加えて5種類としていることが多いので、

今日はそれをご紹介しますね。

 

著作権の関係がありますので、今回は私の自作画で失礼します。

 

 

①老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)

紫外線によるシミで、最も一般的です。

ハイドロキノン(塗り薬)やレーザー、光治療器(IPL)などで治療します。

 

皮膚癌と見分けることが大切な疾患です。

 

 

 

②雀卵斑(じゃくらんはん:そばかす)

思春期から出ている方が多く、額などにも見られることがあります。

遺伝的要素もあり再発しやすいです。

 

レーザーや光治療器(IPL)の対象です。

 

 

③肝斑(かんぱん)

頬骨のところを中心に出やすいです。
紫外線、女性ホルモン、ピル、擦る刺激など複数の原因要素があります。
 
スキンケアで擦らないようにすることを前提に、
ハイドロキノンやトラネキサム酸(飲み薬)を基本に治療します。
 
肝斑用の設定で特殊なレーザーや光治療器(IPL)を使うこともありますが、
①で使うシミ取りレーザーを当ててはいけないシミです。
 

 

④炎症後色素沈着

ニキビや虫刺されの跡、シミ取りレーザーの治療後など、一時的に茶色くなる変化です。

半年から1年ほどで次第に消えていきます。

 

擦らないこと、紫外線に気を付けることを基本に、

ハイドロキノンやビタミンCの塗り薬を使ったりします。

 

去年私は首を虫に刺されましたが、色素沈着は1年弱で消えました。

消えるスピードは年齢や部位、炎症の度合いにもよります。

 

 

⑤ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

 

舌を噛みそうな病名でしたね。

頬骨の辺りに、灰青色の色素斑ができる疾患です。

 

実はこれ、シミというよりもアザの仲間で、

お尻の蒙古斑(もうこはん)と一緒のメカニズムなんです。

 

深いところにメラニンがあるため青く見えます。

これはレーザーでないと治すことができず、3-4回治療が必要になります。

 

肝斑と合併することも多く、診断が難しいこともあります。

 

メイクで隠そう隠そうとしている方が多いことも、肝斑を合併する一因だと思います。

 

 

⑥【番外編】脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)

若い方には少ないですが、ご高齢の方の顔に多い、少し盛り上がったできものです。

①の老人性色素斑をベースに盛り上がってくることもあり、

時にシミよりもホクロに似ています。

 

表面を削るレーザーで除去したり、保険治療で冷たいスプレーをかけたりします。

 

この疾患は、皮膚癌と見分けることがとても重要です。

 

 

 

自宅で何とかなるシミ、ならないシミ
 

というわけで、あなたがスキンケアに気を付けるだけで改善が見込めるのは、

③の肝斑と④の炎症後色素沈着です。

 

(肝斑は、スキンケアだけでは限界があることも多いです。)

 

日焼け止めのスキンケアは、①~④を防ぐため、悪化させないために大切なことです。

 

③と④以外を治療するには、医療の介入がないと難しいです。

特に⑤はレーザーしか選択肢がないので、自力では無理です。

 

実際にはいろいろなシミが混じっていることも多いので、

1つ1つ診察で見分けながら治療方法をお話ししていきます。

 

(最近ではクリニックのホームページでもこのような詳しい説明があるため、

ご自分で「診断」して受診される方も多いのですが、

 

私の場合は患者様にそういった「予習」は全く求めていませんので、

どうぞお気軽な気持ちでクリニックにいらしてくださいね。)

 

 

せっかくの努力が新たなシミを生み出さないために
 

今日は専門的なお話がメインでしたが、あなたに覚えておいていただきたいこと。

 

それは、シミにはいろいろな種類があって、

自力で何とかなるものとならないものがあるということです。

 

それを知らないがために「くすみ」を消そうと擦ったり、
逆に肝斑を増やしてしまうことも往々にしてあるのです。

 

そしてシミの診断に必要なのは、それが単なる「シミ」なのかをきちんと見極めることです。

 

内科の疾患と絡んでいるのではないか、あるいは皮膚癌なのではないか…
そういった目でシミを診ることも、大切な要素なんです。

 

皮膚科専門医として、ここはこだわっていきたい部分ですね。

 

皮膚疾患の知識をベースに美容医療もご提供していきたいと私は思っています。

 

シミに悩む女性は多いと思いますが、今日のお話をぜひご参考になさってくださいね。

 

Tさま、改めましてご質問ありがとうございました!

 

明日から、オハイオ州で開催される美容医療の勉強会に行ってきます。


ご質問の続きは来週書きますのでお待ちくださいね。

 

いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 
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