絵本モンゴル秘史 16
絵本モンゴル秘史 16

モンゴル秘史 16
ジャムハはチンギス•ハーンに不満を述べた。
「今や、下郎の従者がその上官を逮捕するという風潮が始まっている」
そこでチンギス•ハーンは、上官に手をかけたものにジャムハの面前で死罪の宣告をした。
さらにジャムハはチンギス•ハーンに向って言った。
「困難な時に我は汝を捨てた。今や汝は全モンゴルを統一した。どうしてまたもとの仲間に戻れようか? 義兄弟の誓いをした昔の良き時代を思い出して、どうか血を流さずに殺して、土に埋めてほしい」
チンギス•ハーンはジャムハに言った。
「汝はこの数年は我の敵であった。だが思い出して欲しい。幼い頃から我らは友となり、ずっと仲間としてやってきた」
不幸なことに、ジャムハはこの提案を受け入れなかった。
チンギス•ハーンはジャムハが望んだように血を流さずに葬り、名誉ある貴族としてその亡骸を埋葬した。
絵本モンゴル秘史 15
絵本モンゴル秘史 15
モンゴル秘史 15

ナイマン部族のタヤン•ハーンは使者を送って言った。
「東方のモンゴル部族が力を付けて来ている。今、これを制圧しておかねばならない」
これを聞いたモンゴルの兵士たちは軍旗に忠誠を誓い、遠征を開始した。
ジェブとフビライがこの戦を指揮して戦い、1204年に勝利をおさめた。
同じ年の秋に、メルキト部族はチンギス•ハーンの軍門に下り、首領のダイルウソンは和平を結ぶ証にその娘ホランをチンギス•ハーンに嫁がせた。
ジヤムハのもとにいた多くの氏族は、そこを離れてチンギス•ハーンに合流した。
ジャムハは二百ほどの兵と山に隠れていたが、自軍の兵に捕らえられてチンギス•ハーンのもとに差し出された。
絵本モンゴル秘史 14
絵本モンゴル秘史 14

モンゴル秘史 14
トオリル•ハーンはディディグ•サハルのネホン•オスという所で飢えと渇きに苦しんでいたが、ナイマンの斥候ホリスイベチによって殺戮された。
その息子セングムは、軍長のコケチューによって砂漠に一人取り残されていた。
コケチューはチンギス•ハーンの所にやって来て軍に加えて欲しいと申し出た。
しかし、チンギス•ハーンは信ずるに値しない男と考えて、コケチューに死を申し渡した。
上官を見捨てたという理由からであった。
セングムはカシュガルまで逃れたが、そこで殺された。
絵本モンゴル秘史 13
絵本モンゴル秘史 13
モンゴル秘史 13

その知らせを受けるとチンギス•ハーンはトオリル•ハーンとの戦いに臨んだ。
トオリル•ハーンは前線に強者ジョルヒンを送り、チンギス•ハーンはジョルチダイ、ヌイルダル、オロード、マンゴドといった兵士とともに戦って勝利をおさめた。
チンギス•ハーンはジョルチダイとアルハイを斥候として送り、トオリル•ハーンを籠城で追い詰めて降伏させた。
こうして、強力で大きなケレイト部族はその勢力を失った。
トオリル•ハーンとセングムはかろうじて逃げのびた。
絵本モンゴル秘史 12
絵本モンゴル秘史 12

モンゴル秘史 12
トオリル•ハーンはナイマンと戦った時、ほとんど見通しを失っていて、チンギス•ハーンに助けを求めた。
チンギス•ハーンは四人の強者を派遣し、決戦の末、捕虜になっていた者たちを取り戻し、トオリル•ハーンのもとに返してやった。
トオリル•ハーンはチンギス•ハーンに言った。
「我はすでに年老いた。今後、我が息子セングムを弟分として助けてやってはくれまいか、二人の息子がおれば我は安堵できる」
しかし、セングムはうぬぼれた男でチンギス•ハーンを軽く見ていた。
チンギス•ハーンは、この父も息子も好きではなかった。
一方、ジャムハはセングムを信用して言った。
「今、チンギス•ハーンを除いておかないとこれからますます強力になる。もし、汝がチンギス•ハーンに向けて軍を差し向けるならば、我は支援を約束する」
やがて、トオリル•ハーンとジャムハはその軍を一体化させ、チンギス•ハーンとの戦いの準備を整えた。
絵本モンゴル秘史 11
絵本モンゴル秘史 11

モンゴル秘史 11
チンギス•ハーンはタイチュートを略奪し、それに続いてメルキト部族を滅ぼした。
それから後、ケレイトのトオリル•ハーンのもとで内紛が起こり、統制が効かなくなり、一部の者たちがチンギス•ハーンを頼って流れ込んで来た。
チンギス•ハーンはトオリル•ハーンに埋め合わせに略奪した捕虜と家畜を贈った。
戌の年1202年、チンギス•ハーンはタタル部族と戦い、これを滅亡させた。
また、トオリル•ハーンとともに戦ってナイマン部族のボイログ•ハーンを粉砕した。
しかし、その夜、ジャムハがトオリル•ハーンの所にやって来て、チンギス•ハーンがナイマンと同盟を結ぼうとしていると言って、自分との同盟を呼びかけた。
トオリル•ハーンは疑い深い男で、ジャムハの言ったことを信用し、その夜、軍を引き上げた。
その時、欺くために多くのかがり火を焚いて、まだそこに居残っているように見せかけた。
絵本モンゴル秘史 10
絵本モンゴル秘史 10

モンゴル秘史 10
夜が開けた時、敵の兵はその夜のうちに逃げ去っていた。
チンギス•ハーンは捕虜たちにたずねた。
「昨日の戦いで山の上から我が愛馬のえり首に矢を射かけた者は誰か?」
まるで馬の首が傷付けられたかのようなふりをしてたずねた。
ジュルガーダイと名乗る兵士が進み出て言った。
「山の上から矢を放ったのはこの私です。今、殺したければ殺して下さい。もし、お慈悲をもってお許しいただけるなら、命に従いどこであろうと出向いて全力を尽くしましょう」
その時、チンギス•ハーンは言った。
「敵はいつも嘘をつき、その敵対行為を誤魔化すものだ。ところが汝は正直に自分のしたことを認めた。我が友として遇するに値する。これからはジュルガーダイの名を改め、ジェブ(矢頭)と名乗るが良い。そして前方に立って弓矢で我を守るようにせよ」
絵本モンゴル秘史 9
絵本モンゴル秘史 9

モンゴル秘史 9
ジヤムハの軍はチンギス•ハーンとトオリル•ハーンに戦いを挑んだが打ち負かされ、残兵と東に逃れた。一方、タイチュートは西の方に逃亡した。
追跡している時、チンギス•ハーンは矢を首に受けて意識不明に陥った。
その時そばにいたゼルメは夜遅くまでチンギス•ハーンの傷口から固まった血を吸った。
意識を取り戻したチンギス•ハーンは「喉が渇いた」と言った。
その時、ゼルメは密かに敵の陣地に忍び込みヨーグルトの詰まった大きな皮袋を持ち帰った。
ヨーグルトを飲むとチンギス•ハーンは元気を取り戻し、目を開いて言った。
「昔、メリキトに取り囲まれた時、汝は命を救ってくれた。今度もまた、血の塊を吸ったり、敵陣の真っ只中から密かにミルクを持ち出して我が命を救ってくれた。汝の献身的な奉公は決して忘れはしない」
絵本モンゴル秘史 8
絵本モンゴル秘史 8

テムジンがハーンになったと聞いてジャムハは取り乱して怒り狂った。
ジャムハは三千の兵を率いてチンギスハーンに戦いを挑んだ。
しかし、チンギスハーンは三万の強力な兵力でこれに立ち向かって打ち負かした。
ジャムハは辛うじて逃げ延びた。
その頃、金国のアルタン•ハーンがタタル部族を攻撃していた。
タタルの攻略を狙っていたチンギス•ハーンは、この機会を捉えてアルタン•ハーンと同盟を結び勝利をおさめた。
アルタン•ハーンはチンギス•ハーンに大ハーンの称号を授けた。
鶏の年1201年、タタル、タイチュート、メルキト、ホンギラドなど十一の氏族がアルホイボラグという場所に集合して、ジャムハをグルハーン(みんなのハーン)と認め合った。
絵本モンゴル秘史 7
絵本モンゴル秘史 7

モンゴル秘史 7
アンダ(盟友)の誓いを結び直した二人は黄金の帯を交換し、純白の馬と黒い雄馬を贈りあった。
しばらくして、ジャムハはテムジンから離れていった。一緒にいることを好まなかったからである。
テムジンはそこから移動してセングル川のほとりのフフノール(青い湖)を牧地に選んだ。
(ジヤムハの陣営からもジャムハに不満を持つ者たちが合流して聚落な急速に膨れ上がっていった)
アルタン、カサルとサチベキらは協議してテムジンをハーンに推挙することにした。
兄弟も友人も全員一致でテムジンをチンギス•ハーンと名づけハーンとした。(1128年 テムジン28歳)
二人の使者によりこのことはケレイト部族のトオリル•ハーンに報告された。
トオリル•ハーンは祝福して述べた。
「盟友のテムジンをハーンとしたのは甚だ良いことだ。モンゴルにハーンがなければ、これから先どうしてやって行けようか」
巻三の終り