女 | 近藤サト オフィシャルブログ「ベルベットフィール」Powered by Ameba

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今年度4回生ゼミの統一テーマは『女』である。学生たちが決めた。
それぞれが女を追求した舞台を作る。
彼女たちがあと一年で何処まで女に迫れるか楽しみだ。あ、男子も1人いた。

女と言えば、またしても源氏物語だが(結構私も好きなのね)六条御息所は源氏物語のモンスター列伝の中でも群を抜いて人気がある。
理由はたぶん、最も幸薄いから。

源氏物語を叩き台にして、後の世に生まれた能の『野宮』も六条御息所が主人公である。

内容はざっくり言うと、源氏物語の登場人物が生きた数百年後の野宮が舞台。

寂しく、風が茫々と吹き渡る野宮を通りかかった旅の僧が、『ここはかつて源氏物語の舞台になったトコだなぁ~。』なんて思っていると、1人の女性が現れる。

女性は源氏物語で繰り広げられた哀しい恋物語を切々と語る。実はその女性こそ六条御息所。

『なんと、ご本人ですか?!こんなトコを彷徨ってないで成仏しましょう!お手伝い致しますから。』

てな具合で経を唱える。

そして、ラストシーンは僧の祈りによって
六条御息所があの世とこの世を繋ぐ門、『家宅の門』を出る・・。

いや、実はそのラストシーンが最も有名なのだか、
『家宅の門をや出でぬらん 家宅の門を 』
辺りで皆まで言わず突然終わる。カットアウトすることが多い。

私は若いころは、このシーンが大好きで
朗読舞台で嬉々としながら、オドロオドロしくカットアウトさせた。
お客さんに《成仏するのも、しないのも貴方次第です・・》と投げかけた。

今は、ちょっと理解が変わった。

たぶん、六条御息所は家宅の門をさながら『どこでもドア』のように出たり入ったりしてるのじゃないかしら、今も、と。

女なら、その位の門、軽々と行き来するのではないでしょうか?
ねぇ。


この所、たくさんの方々に拙いブログを読んで頂き心から感謝しております。皆様の訪れが更新の気力でございます。近藤サト