月村了衛さんの近著を読みました。
最初の印象は「え!これ月村作品?完全に『馳星周さんのノアール・ワールド』じゃん」でした。
そして、以前国会でも問題視された「女性をホストで借金漬けにし風俗に送ること」が物語の中に出てきたので驚きました。
概要はGoogle Bookから引用します。
児童養護施設で育った元不良の翔太は先輩の誘いで「カタラ」という会員制バーの従業員になる。ここは言葉巧みに女性を騙し惚れさせ、金を使わせて借金まみれにしたのち、風俗に落とすことが目的の半グレが経営する店だった。
さらにカタラで翔太とコンビを組んでいた海斗の2人の”その後”が「翔太の罪」「海斗の罰」という2章から構成される作品になっていました。
印象的だった箇所です。
物語とは無関係ではありますが、興味深かったところです。広告代理店大手の入社社員について・・・そもそもコネ入社の社員がかなり多い。政財官界。その他有名人の子弟を優先的に採る。
それは「本代理店の最大の強みは人的ネットワークである」というテーゼの正確な反映でもある。「人脈こそが最大の武器」。各界の要人の子弟は、スパイとなってそれぞれの親が属する組織の情報をもたらし、パイプとなって働きかける。
そういえば、ブログ友であり元大手広告代理店出身の友人も「そういう(例えば大会社の子息)社員は会社の人質として使われる」と言ってました(苦笑)。
この物語は社名や人名を変えていても、読み手には「絶対〇〇じゃん」と連想させてしまう楽しみもありました。
これは故石原慎太郎氏のこと・・・
自己愛だけが異様に肥大した都知事は、公約を平気で反故する一方で、そうした派手なスポットライトは浴びていたいという人物だ。自分が発表する前に報道されたりすると手に負えないほど怒り狂う。
笑っちゃいますね~。
本作は「カタラ事件で唯一実刑で塀の中に入り人生をやり直す翔太の人生」と「実刑を免れ有名大学を出て大手広告代理店に入って活躍するも大きな罰を受ける海斗の人生」を描きます。
様々な「日本社会の闇」をえぐり出していく物語は読み手に考えさせながらも、最後までイッキ読みしてしまうおもしろいエンターテイメントに仕上がっていました。
月村さ~ん!
こんなノアール作品、大歓迎です。
次もお願いしま~す!
快晴無風で最高の陽気になりそうな八ヶ岳南麓にて