4章 対極するヒロイン | Vガンダム考察 カテジナ・ルース アンチヒロインの肖像

Vガンダム考察 カテジナ・ルース アンチヒロインの肖像

人が闘争本能のままに生きるのは進化のためにしている事
それは悪ではないのだから

カテジナはヒロイン枠でありながら、それを拒絶し主人公に挑む
(主人公のライバルポジションにシフトチェンジ)という異例のキャラクターである
男子が求めるヒロイン像「主人公(男)に助けられ、守られているお姫さま」を演じる事を拒み、敵となりラスボスへと昇りつめる

カテジナが拒んだ典型的なヒロイン像を体現しているのがシャクティ

シャクティはリガ・ミリティアにおいて戦闘に一切関わろうとしない 
マケドニア兵との銃撃戦の中、戦うオデロに銃を手渡すスージィに
「戦争の手伝いはやめなさい」と言うのである
守られる側にいて自分の手は汚さない それが当然であるかの様に
女王の娘とわかってからは自分が戦いを止められると思いこみ暴走するも
結局ウッソに助けられるだけ
サイキッカーという力を持ちながら、その力で戦う事はしない

ヒロインとは本来こうあるべき(自らの手は汚さずヒーローに守られる存在である)と
体現して見せているのがシャクティというキャラクターである

ゲリラという組織においてシャクティは足手まといでしかない
しかしリガ・ミリティアの人達はシャクティに気をつかい配慮する
何故ならエースパイロットを左右する存在だから、シャクティに暴走されたら
エースパイロットが使い物にならなくなる それでは困るのだ

ザンスカールでのカテジナも最初は似た様な立場、クロノクルの女
だがカテジナはMSに乗り戦場に出る

ルペやアジスに「クロノクルの女が」「お嬢さんが」と下に見られながらも
見返してやる!の根性で「なかなかやるじゃん」てな感じで評価を獲得していく
そして着実に戦果をあげ、自身がエースパイロットとなる

ヒロイン像を拒絶し、粉々に打ち砕く事こそカテジナ・ルースというキャラクターの真髄
カテジナを悪い女としか思えない人は理想像を打ち砕かれて泣いているウッソと同じ
「甘ちゃんぼうや」なのである

まあ、初恋の相手である優しそうなお姉さんが顔を歪めて殺しにくるのだから
そんなホラーな展開、子供心にはさぞ戦慄が走った事でしょう
(しかし対極するヒロインでありながら、シャクティもカテジナ同様に悪女として嫌われているっていうのが面白い、二人とも自分の望みを優先し、周囲を顧みないところはある意味そっくり)

5章につづく