フランス直輸入の一本もの、そして演出は小池修一郎ときたら
ヅカファンじゃなくとも
かなり力の入った大作なんだろうな、という事は分かる。

案の定、帝劇での公演&キャストも発表になり
観る前から期待値MAXになるのは仕方ない。

ハードルが上がる分、予想を上回った時の感激は大きいが
想定内だと損をした気になってしまうのもまた致し方ない。

通常の宝塚の公演からすると
セットも豪華だし
印象的なナンバーも沢山あって
十分楽しめる内容だったと思うけど
「スペクタクル」と謳ったからには
もう1つ突き抜けて欲しかった。

フランス革命前夜、
納税義務を果たせなかったという理由で
王の名の下に父親を殺された農家の青年・ロナンを中心に
王妃マリー・アントワネット
革命家ロベスピエールなどなど
ベルばらでもお馴染みの面々が登場し
市民の側から見たフランス革命の群集劇。

オープニングでロナンがバスティーユの城壁(?)によじ登って門を開けさせる所とか

ルーレット版に見立てたドレスでアントワネット登場とか

田舎から出てきたロナンの妹が夜の街に堕ちて『レ・ミゼ~』のラブリィレイディよろしく唄う場面とか

印象的なシーンはいくつかあるんだけど
肝心のロナンの物語に軸が通ってないせいで
誰に感情移入していいか分からないままに終わってしまった。

おそらく、最近のイケコ氏作品で多い輸入ミュージカルの流れに
宝塚で上演→東宝または外部で上演
というモノが多いのは

ヅカでの上演だけでは負担の大きいロイヤリティを軽減したりだとか
東宝なんかでも上演する前提で交渉すれば
権利を買いやすいとか
いろいろ大人の事情があると思われるが

今回の作品に関しては
東宝での上演を見据えてのトライアウトみたいな印象を受けた。

東宝のチラシに載ってた写真からすると
衣装なんかも大分違うみたいだし
演出の自由度は高そうに見える。

だったらヅカ版はヅカ版で
群集劇でありながらも
トップスターがちゃんと話の中心に居られるような演出にすればいいのに…。

ただ、月組メンバーはみんな頑張ってて
特にちゃぴちゃんの大人なアントワネットは素晴らしく
革命の話では「敵」なのに
一番浮ついてなくて共感できる存在になっていたと思う。
ロザリーからアントワネットまで
無理なく出来る、稀有な役者さんだなぁとつくづく感心。

それだけに
もう少し話の流れを整理できたら
「もう一度観たい」名作になったのに。
残念。

観劇日:6月27日(土)マチネ


楽しい!とにかく楽しい!
ミュージカルらしいミュージカル。
一幕目を観てる最中から
「もう一度観たい!」と思ってしまった。

洒落てて、キラキラしてて、ワクワクがずっと続いてるこの感じ。
『クレイジーフォーユー』の日本初演以来かも!(古っ!)

アメリカが自信に満ち溢れていた60年代。
レイバンのサングラスがモーレツに似合うパイロット姿の主人公に、
キュートなパンナムのCA…。

ややオールドスタイルとも言える
ショー仕立てて進む物語だからこそ
宝塚というフォーマットにぴったりだと思った。

主役の天才詐欺師・フランクは
劇中狂言廻しの役割も受け持つ、
複雑なキャラクター。
それが紅ゆずるという多面体でちょっと人を喰った様な雰囲気のある「スター」にすごく合っていて
観ていて気持ちが良かった。

そして、ほぼ相手役と言っていいFBI捜査官・カール役の七海ひろき氏!

これまで、女性役をやっている時にすごく目を引く人だなぁという印象はあったけど
いやいや、ごめんなさい。

ドブネズミ色のスーツに眼鏡で顔がはっきり確認できない場面も多いのに
滲み出るハンサムオーラ。
『Shall we~?』の時の壮さんばり。
映画版ではトム・ハンクスがやっていたので本来設定はフランクの父親に近い年齢だと思うけど
見たところ30代ちょっとで適度なくたびれ感がまた良い!
(なんかね、NHKの夜のニュースでお天気やってる斉田さんみたいなちょっとイジりたくなる雰囲気があるの)

他のFBIメンバーを引き連れて全力で唄い踊るシーンは
(みんなグレーのスーツなのに)最高にキラキラしていて
私の今年のNo.1名場面に決定!

というか上半期のNo.1ミュージカルだと思うし
もしかしたら今年一番になるかも!
と思う位、ナイスなこの作品。

以前トニー賞候補にもなってて
(確か主演男優賞は取ってた)
授賞式でショーもあったはずなのに
今回の星組版観るまで
私の脳内チェックボックスに全く入ってなかったのがどうにも不思議で

帰ってから2011年トニー賞の録画を確認したら
同じ年のリバイバルに『ハウトゥーサクシード』『エニシング・ゴーズ』と似た印象の作品がかぶってたのと
新作の作品賞が『ブックオブモルモン』だったので 
ここに注目が集まってたことが分かって納得。

そして肝心のショーの方は
フランク役がオープニングをちょこっと歌った後
カールのナンバーがメインだったんだけど
これが芋洗坂係長みたいな太ったおじさんが歌い踊ってて
これじゃあ印象に残らないのも無理ない。

宝塚向けにブラッシュアップして
素晴らしいキャスティングをした
小柳先生の実力に改めて驚嘆した次第。

DVDが出ないらしいのがホントに惜しい…。

観劇日:6月20日マチネ





う~ん。
歌ウマ新トップ・北翔海莉の御披露目公演ということで
期待しすぎたのが良くなかったのか。

確かに「これでもか」っていうくらい
歌う場面があって
安心しては見ていられたんだけど
みっちゃんの魅力が
イマイチ伝わらない舞台だった。

初演の紫吹さん版は見てないけど
随所に「あて書き」感じのあるセリフが
残ってて
なんか違う。
スペイン貴族の息子が復讐のために海賊に
なる設定だから
そこはかとないノーブルさは出てていいんだけど
まんまフランツ・ヨーゼフみたいで
ワイルドさが感じられず。

海賊の定番、膨らんだシャツ(?)も
途中、シルクサテンみたいなテロテロの生地な上に
「母の残したロザリオ」を見せるために
かなりボタンを開けた着こなしで
(オーシャンズ~の時も思ったけど)
みっちゃんのボインで女性らしい体型が強調されてしまい
気になって話に集中できず。

対して敵役の十輝いりすさんの
長身にお似合いな
海賊服→軍服とが全部格好良くて
そっちばっかり見てしまった。

ショーも
これまたビックリするほどみっちゃんの歌の場面が多くて
安心・安定感はあるものの
何とも昭和感ただよう仕上がり。
なんか、立派すぎて
全部「マイウェイ」歌ってるみたいに見える…。

途中、ソロコンサートみたいな感じで
客席降りの場面では
握手の感じとか
客あしらいもうまいし
「君の瞳に恋してる」なんかも良くて
日本版『ジャージーボーイズ』は
星組初演でいいのでは?

なんて明るい妄想もできたんだけど。

今回、驚いたのは
礼真琴くんとみっちゃんの歌の時の声質が似ていること。
あえて歌ウマの
みっちゃんと琴ちゃんを重ねてきたんだとは思うけど
後半の歌い上げる場面で
みっちゃんが歌ってた歌を
途中から琴ちゃんが歌う、
本来ならかなりの見せ場になる場面が
あまりにも声が似ていて
目を離してた人には
同じ人が歌ってるみたいに見える現象が起きてた。

星組にみっちゃん降臨の情報を受けて
いまや歌ウマ枠を一人で受けてた
琴ちゃんへの変な負担が減っていいかと思ってたけど
案外
チャンスが減って
琴ちゃんが割りを食う形になるかも…。
とちょっと心配。

で、今回のツアーでの
立ち位置では
みっちゃん、十輝さん、琴ちゃんが
1、2、3だったこともあり
ちょいずんぐり(に見える)二人に比べて
すらっとした十輝さんがどうにも恰好良くて
目立っていたのが印象的。

大劇場になれば
紅ちゃんや七海さんがいるので
また違う感じになるとは思うけど

これまでの星組が
宝塚の最先端を走るヒョウ柄だったとしたら
一気に古き良き(?)唐草模様に戻った感じで
なんとも不思議な感慨にふけった公演だった。

観劇日:6月13日(土)15:00~