久しぶりに、とっちらかった出来の舞台を見てしまった。

ある意味、事件かも。

少年隊のニッキこと錦織一清氏が演出で、横浜が舞台になってる新作ミュージカルで、この↑チラシのビジュアル。

イメージしてたのは永瀬正敏主演の映画(ドラマもあったね)濱マイクシリーズみたいな雰囲気のミュージカル。

ところが‼

蓋を開けたら、あぶない刑事世代の脳内ヨコハマ+カックラキン大放送×ヒップホップ(ストリート?)ダンス=最新でカッコいいミュージカルが出来るに決まってるじゃん‼

って演出家が思ったのか、プロデューサーが思ったのかは不明だけど
後援してる横浜市教育委員会も、KAATに間接的にお金(税金)出してる我々横浜市民も全く喜ばない、残念ミュージカルが誕生してしまった。

そもそも、ミュージカルなのに主要キャストでちゃんと唄える人が松浦雅ちゃん(朝ドラごちそうさんで杏ちゃんの娘役やってた‼)しかいない。

なのにアンサンブルはやたら歌もダンスもレベルが高くて、メインキャストはもはや公開処刑状態。

そして最大の問題はストーリーが雑なこと。
昭和のマンガみたい。

かつて一曲だけ大当たりしたバンドのボーカル(筧利夫)が営む船上バーに偶然生き別れた娘(松浦雅)がやってくる、とか
再会を待ち望んでいたはずの元妻(東風万智子)はかなり昔に故人になっていた等々。
特に酷いエピソードだと思ったのは娘の彼氏(水田航生)はハーフだけど黒髪で、彼の妹は金髪だったせいでイジメを受けて自殺してた…のくだり。
戦後まもなくの話ならともかく、現代横浜で、しかもお金持ちのお嬢さんがそんな理由でって無くない???
そのせいで彼氏はこの街は最低、嫌い等を連発。
横浜市民に喧嘩売ってるとしか思えない。

西寺郷太氏の楽曲は一瞬CD買いたくなった位良かったし、
ミュージカルナンバーの見せ方はさすがで一曲一曲照明や振り付けも工夫されてたのでショーを見に来たと思えば何とか見られる…けど
ストーリーのある『ミュージカル』というには辛い出来。

演出家の仕事で一番大切なのは「削ぎ落とす」事ではないだろうか。
もちろん、作品をショーアップする為のアイデアも大事だけど、たくさん盛った後、余計な部分を刈り込む勇気が作品の出来ばえを左右すると思う。
ショーのセンスはある人だと思ったので、シアタークリエで小林香さんがやっているようなショーを見てみたい。

観劇日 1月23日(土)ソワレ



「KAATで宝塚の演出家がワークショップをやるよ、現役のジェンヌさんも出るらしいよ!」と聞き、
内容も確認せずに向かったKAAT(神奈川芸術劇場)だったのですが…

これが非常に面白かった‼
(なので、長文になりますが覚えている限り内容を書いておきます※本編のネタばれあり)

本来は、神奈川県主催の俳優塾が授業の一環として行っているワークショップで
様々な演出家を招いて若手に稽古をつけてもらう催しとの事。

ただ今回、業界初(❓)現役の宝塚の演出家が外部向けに行うワークショップで
ゲストとして現役のジェンヌも参加するという貴重な機会になったため、急遽観客を入れた公開形式を取り、受講生も一部一般公募になったそう。

観客はおそらく150~160人前後。
受講生は男女合わせて20人くらい。

今回のテキストは現在上演中の『舞音』のため、植田氏より本公演の動画を使ったあらすじの説明のあと、実践編スタート。

①「格好良く登場しよう!」
本編で龍さんが登場するシーンと同じく、後ろ向きで登場、コーラス「アーアーアー」の最後で振り向き帽子を取り、決める。

【植田氏より説明】
宝塚におけるトップスター登場シーンのセオリーとして、ピンスポを2台分以上使った特に明るい照明が当たる。
これはスターが誰で、どこにいるのか会場の観客皆にすぐ分かってもらう為にとても重要。
(宝塚はスターを見に来る場所でもあるため)

男女に分かれ、男性は帽子を取って振り向くバージョン、
女性はパラソルをさして振り向くバージョン。
全体で練習後、1人ずつ実際にライトを当ててもらって実演。
最初のうちは明らかに照れが入っていて、今ひとつ決まらない感じだったのが

【植田氏】
客席を向いた時がスタートではない。後ろ姿から見られてる事を意識して。
身体を引き上げるイメージで立つ。
ピンが当たったら(緊張を抜くため)息を吐いてみて。

などなど、的確な指示を受けるうちにどんどん受講生の顔つきが変わってくる。
最終的に1人ずつ照明つきでやっていくと、何人かはポーズを取った瞬間、思わず拍手してしまうほどの仕上がりに!


②ラブシーンに挑戦
マノンとシャルルが再会。少し揉めるものの二人で逃避行を決意する場面。
マノン「口先だけの愛なんていらない!」から
シャルル「君は、私のものだ」まで。

男女ペアになりチャレンジ。
【植】
動きはいいから、まずは感情のやりとりからやってみましょう。
最初は二人は向かい合わなくていい。
シャルルの横顔に向かってマノンが言葉をかける、それを受けてシャルルが心情を吐露する。
「マノン、どうしてまた私の前に現れたのだ」のセリフは責めるというより
苦労して忘れようと努力したのに、再会して離れられないことに気づいてしまった苦悩のあらわれである。

同じセリフ、近い動きでありながら役者が代わると驚くほど印象が変わる。

まるでシェイクスピア劇団のように朗々と独白するシャルルに対して
【植】
セリフがよく聞こえるのはいいけど、ずっと強い調子で話してると単調になってしまう。
最初に強く出るなら途中の愛の告白からは直接耳元に話しかけてみて!

はっきり台詞は言えてるのに、シャルルに抱きつかれて明らかに拒絶反応してしまうマノンに
【植】
あなた何歳?(15歳です…。)あ~。
じゃあ、無理に接触しなくていいから、本当はシャルルのことが大好きって思いながらやってみて。

他の人のダメ出しを取り入れて、スムーズにすすんだカップルには
【植】
え~と、女性の方何歳?(笑…大人です…)
なるほど、経験値が高いからすごく心情出てていいんだけど、逆にちょっと下町人情ものみたいになっちゃってるから、マノンもうちょっとプライド高い感じ、貴族的な女性ってイメージしてみて。

【横内謙介氏】
あの~、意外というか割りと普通に演技指導されるんですね。
宝塚だから、みたいな動きとか制約とかないんですか?

【植】
ありますけど、まずは普通に感情の動きをきっちり作りますよ。そこがきちんと成立した上で見え方を考えた動きをつけたり、腕の位置とか相談して決めます。
【横】
なるほど!


③マノン、死す
実際の稽古場と同様、箱馬を並べて劇場のボートのサイズに合わせた簡易セットを使って、ハロン湾をボートで漕ぎ出す場面。長いため前半「リエン…私の本当の名前」~「手紙、読んで」と後半「手紙読んで」~「マノン!!(号泣)」に分け交互に挑戦。

【横】
あ、これ実寸ですか?この座る位置とか。(二人の椅子に当たる部分が案外離れていた)

【植】
そうです。色々やって、これが一番キレイに見えることが分かったので。

ボートに座って芝居をしようとする受講生たち…が、動画でみたはずの位置の再現ができない。

ゲストの新人公演カップル(朝美絢、叶羽時)がお手本で座って見せる。
シャルルが開いた脚の間にマノンが座る。この時点てマノンは相当負傷している設定なのでマノンが少し寄りかかっている感じ。マノンは両足を揃えつつ外側に流して座る。

「この姿勢、結構苦しいです」という受講生に
【植】
そうなんです。美しく見せるのは苦しいことなんです。
それと、死ぬ演技って案外難しいんですよ。

マノン「リエン…」
シャルル「リエン」
【植】
シャルル、この時リエンって単語を初めて聞いてるんだからそのままオウム返ししない。
なんだろう?っていうニュアンスで。

マノン「あなたと…見に行きたいわ」
シャルル「行こう」

【植】
マノン、この前に一回咳き込むとかちょっと弱ってる感じの芝居を入れてみて。
それを見たシャルルが何とか励まそうとして「行こう!」って慌てるから

マノン「あなたの手紙、うれしかった…(中略)読んで」
【植】
マノン、かなり衰弱してはいるけどこの「読んで」はすごく大事だから、しっかりシャルルに向かってかけて。

シャルルが手紙を読み始め、途中からマノンが参加、二人で暗唱する場面
【植】
マノンは獄中に差し入れられた手紙が嬉しくて、覚えてしまう位読んでる。だからシャルルに読んでもらってるけど暗唱できる。シャルルの方はマノンが覚えていたことに感激するの。だからちょっと遅れていい。二人の暗唱が揃わなくてもいい。

マノン「愛してるわ…」
【植】
最後の力をふり絞ってシャルルにキスしようとする。だから少し伸びあがって。顔も向きあう感じ。でも力尽きる。手は外側の手をシャルルに寄せていって最後開いた方がキレイね。
【横】
最後の「マノン!!~号泣」は、(長さとか)音楽に合わせてるんですか?

【植】
いえ、基本的には感情を優先してもらってます。だから日によって泣き方も多少変わってるはずです。
(芝居のタイミングに音響、照明が合うように)音楽、「愛してるわ…」の後からゆっくり入れてください。
音楽のタイミングを変えると、ちょうどマノンが力尽き、一拍おいて気づいたシャルルの叫びと音楽が大きくなるタイミングが合う。

おまけ
新人公演コンビがハロン湾の場面を通しで演じてくれる。
若々しいシャルルと奥ゆかしい雰囲気の美しいコンビが眼福。
マノンがこと切れ、シャルル号泣があまりに真に迫っており、一瞬の間のあと、大喝采。


今回、幸いにもこのワークショップを観ることができて、植田景子という演出家の芝居に対する真摯な姿勢を見てすごく好感を持った。
演出家というのはまだ出来上がってない舞台をイメージする力と、それを伝える言葉をたくさん持っていなければ成り立たない職業なんだな、とつくづく感心した。
そして、ヅカに限らず、いい役者というのは(演出家の)アドバイスを受けて柔軟に芝居を変えていけるものであること、またカッチリ読み込んだテキストでなくても、自然に台詞の強弱がつけられて、聞いてる人を疲れさせないものだと思った。
それと、新人公演は(そもそもチケット取れないけど)スカステなんかで見る限りいまいち完成度に欠ける印象を持っていたのが、今回のあーさ&ときコンビはなかなかの仕上がりで、ちょっと興味が出た。

こういう企画、もっと色んなところでやって欲しい。


新演出、新キャストで色々な意味で話題のエリザベート。

今回は



トート 井上芳雄
エリザベート 蘭乃はな
フランツ 田代万里生
ルキーニ 尾上松也
ルドルフ 古川雄大

という組み合わせ。

全体的な印象として
ヅカ版に演出が寄ってきてる?

すみれコード問題とは別に
東宝版ってタイトルロールの
『エリザベート』が主役の物語で
ドラマ性が高い
大人な話のイメージがあったんたけど

キャストが全体的に若くなったのからか
ビジュアルと楽曲の力でサラッと見せて
終わった印象。

井上トートだからなのかもしれないけど
閣下、というよりプリンス感が強くて
中性的なところがヅカっぽい。
というか先日の花組版ぽかった。

今回は「新演出」との触れ込みで
舞台上に動く3台?の巨大な墓石の様なものが常に置かれていて
組み合わせを変えることで
場面転換させ
高さを出すことで二階席からも
キャストが見やすいシーンが多くなった気はしたけど、
取っぱらいの平舞台がなくなったせいで
ミルクとかヒトラーの場面のスケール感がダウンした気がする。

余計なお世話ではあるが
この墓石(笑)は結構高さがあるのに
手すり等がない。
なのに場面によっては見た感じ50㎝近く間をあけて並べていて
その上を役者がまたいで渡るシーンが何度かあり
通常は問題ない距離なんだろうけど
上から見るとちょっと怖い。

で、蘭乃エリザ。
分かってはいたもののやはり歌がツラい。
特にこの回はトートもフランツも高等音楽教育を受けていて
完璧に楽譜に忠実に唄える2人に囲まれてる分
余計に音程の不安定さが目立ってしまう悪循環。

もう1つ気になったのは
トートとの絡みの際、誘いを断るというよりは
生理的に嫌いなの?
と聞きたくなる位眉間にシワをよせて嫌がっているように見えたこと。
なんかもう、悪い事した犬に「ハウスっ!」って叱りつけてるみたいに。
いつもなら
シシイにガン無視されるフランツ可哀想、という感想が出てくるのに
しっしって感じで追い払われるトート様がかわいそうに見えた。

田代フランツ。
歌は完璧、台詞の声も案外重厚感があっていいんだけど、
やっぱり童顔。
本人も気にしてるからか(?)
メイクでの年の取り方が半端なく
夜のボートの場面以降
老けさせるを通り越してほとんど妖怪。
エリザが全然年取らない分
ホラーな展開を想像してしまい
話に集中できず…。

ルキーニの尾上松也。
高嶋兄の声がデフォルトで残っている耳からすると
少し歌声は高め。
芝居も悪くないし
知名度がある分「キッチュ」の盛り上がりも流石。
ただ、髪型のせいなのか
全体的にもっさり太って見える。
二階A席からだと一瞬今井清隆さん?(失礼!)かと思うほどの恰幅の良さで
歌声の軽やかさとのギャップがありすぎて
脳が混乱…。
そして
演出だとは思うけど、終盤「悪夢」の場面で苦悩するフランツを思い切り突き飛ばすルキーニ。
毎回なのか
今回力余ってなのか分からないけど
あ~れ~って感じで倒れたまま
すごい勢いで床を滑っていく万里生くん。
ビックリ!!


久しぶりに見た東宝エリザ
突っ込み所多すぎて
まとめるのに時間かかってしまった。

観劇日:6月27日(土)ソワレ