7.アセラエクスプレスとスミソニアン その3
バスとメトロを乗り継いで、ワシントン中心部ナショナルモール近くのフェデラル・トライアングル駅へ移動する。
地上へ上がると、「トランプ・インターナショナルホテル」が正面に見えた。昨年の大統領就任式前夜にトランプ大統領が宿泊していたと記憶している。
スミソニアン2館目は、「国立アメリカ歴史博物館(National Museum of American History)に入る。
館内の半分が改修中だったが、アメリカの歴史を時系列ではなく、テーマ別に分かりやすく展示されていた。印象に残ったものを記していく。
「アメリカは動いている(America on the Move)」
19世紀後期からの交通機関がテーマになっている。サザン鉄道の蒸気機関車、悲運の自動車タッカー、シカゴL高架鉄道の旧車両(車内が想像以上に薄暗い)と実物大駅展示など興味深い内容が多かった。
「大統領夫人(The First Ladies)」
歴代のファーストレディが就任式で着た服がずらりと並んでいた。女性にとても人気あるコーナーだそうで、並んだ夫人たちの顔写真の最後は当然メラニアトランプさんだった。
「自由の対価(The Price of Freedom)」
アメリカ軍の歴史についての展示だが、自由の国アメリカ合衆国市民の共通認識を感じた。独立戦争、南北戦争、第一次・第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、対テロ戦争など経緯が写真とジオラマで解説されていた。
自由を獲得し、維持して行くためにどれほど多くの対価(人命、血)を払って来たか。そしてこれからも自由が脅かされた場合におけるアメリカ合衆国の決意表明にも見えた。アメリカ人や彼らの社会について、少し理解したような気になった。
他にもアメリカンフードカルチャー(食文化)の変遷、「モハメドアリのグローブ」「JB(ジェームスブラウン)
のステージ衣装」「ルビーシューズ(名作映画オズの魔法使いでドロシー役が履いた赤い靴)」などアメリカショービジネスの歴史的お宝も展示されていた。ここの展示内容はとても興味を引くと同時に考えさせられる博物館だった。
博物館から10数分歩き、トランプ大統領にご挨拶を申し上げたくアメリカ大統領公邸・官邸・居住機能を持つ「ホワイトハウス」へ行く。どこまで接近出来るのかと思ったが、想像以上にセキュリティが厳しくて驚いた。小さく広い前庭越しにホワイトハウスを見ることが出来た。
夕食を取るためにレストランの多そうなデュポンサークルへ行ってみる。メトロ駅から地上へ出ると、そこは道路が放射状に伸びてヨーロッパの雰囲気が漂う街だった。
暗くなる前にお店を決めようと歩く。青山の様な街で、少し歩くと住宅街が続き、なかなか適当な店が見つからない。多分隠れ家的名店が潜んでいるのかも知れないが、初めて来た私が見つけられそうも無さそうだ。
適当に歩いて行くと、ダウンタウン近くのマクファーソンスクエア(広場)に出た。広場の並びにネオンサインで「Catch15」と明るく灯ったレストランが目に付いた。入口に置かれたメニューを見ると比較的リーズナブルだったので入ることにした。
「キャッチ15」はイタリア料理店で、店内は京町家同様奥に長く、インテリアは70年代風クラシカルで居心地が良さそうだった。にこやかに迎えてくれたウエイターのおじさんに真ん中あたりの席に案内された。
ビールを飲みながらメニューを見る。何を頼もうかと考えている時間は本当に楽しいものだ。いくつか注文する。
おつまみとして、大きめのフォカッチャと揚げパスタが運ばれて来た。トマトソースとガーリックオイルが添えられて、フォカッチャに付けて味わうと良く合った。
最初に来たアル・パパ・ポモドーロ(パパのトマトスープ)は家で食べる様なホッとする優しい味の具沢山トマトスープ。ボリュームはアメリカらしく多めだった。
メインに小皿料理を2皿注文し、物足らなかったらパスタを追加しよう思っていた。
一皿目はクラブケーキ(蟹のハンバーグ)。小振りのバンバーグ位のケーキが2枚皿に乗っていた。思ったよりカニがたっぷりと入っていて、オリーブオイルとビネガーのソースがとても良く合って美味しかった。
二皿目は蛸のグリル、ポレンタ添え。トウモロコシ粉を湯やミルクで練ったパスタの一種ポレンタがパンケーキ1枚分位皿に盛られ、その上にグリルした蛸が7〜8枚乗せられていた。蛸は火入れが上手いのか柔らかく、ポレンタもクリーミーで美味しかった。
私の想像通り小皿が日本では普通盛りサイズだった。料理のボリュームは充分に満足させてくれた。会計はチップの20%を加えて$43を支払う。おじさんウエイターがにっこりと笑顔になったので、この金額で良かったのだろう。
レストラン近くのマクファーソンスクエア駅からメトロに乗りホテルへ戻る。朝5時に起きあちこち歩き回って疲れたが、長い間憧れていた航空宇宙博物館別館を訪れることが出来たので忘れ難い1日になった。