MLBとスミソニアン (還暦アメリカ東部ひとり旅)−12 | 旅歩き&美味しいもの探し人 byちゅーぐ

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街歩きして、ホテルに泊まって、美味しいものを食べる。
それが私の旅スタイルなんです。
鉄道と飛行機旅が特にいいですよね〜。

5.ニューヨーク街歩き、Day&Night その2

 

 マンハッタン島南端のバッテリーパークは、ウォール街の隣にあって、ニューヨークのシンボル「自由の女神」があるリバティ島へ向かう観光船の出発地としても有名だ。

 私も島へ渡り自由の女神を近くで見たいと思っていたが、観光船の発着場所には100メートルを超える行列が出来ていたので諦めることにした。

 後に聞いた話だが、かなり早朝から並ばないと短い待ち時間で船には乗れないそうだ。そこで自由の女神は公園からの遠くに見ることにして、何枚も写真を撮り見学終了とする。

 バッテリーパークから出て、すぐ近くにある「9.11テロ」で大きな被害を受けたワールドトレードセンター跡地に

行く。

 2001年9月11日朝、テロリストに乗っ取られたアメリカン航空機がワールドトレードセンターツインタワー北棟に、ユナイテッド航空機が南棟に相次いで衝突し、数十分後に崩落した。ツインタワー両棟や周辺ビルでの犠牲者は2700名超(うち警察・消防関係者が約400名、日本人は24名)という未曾有の大惨事というのは周知の事実だ。

 ツインタワーの跡地はナショナルセプテンバー11メモリアルとなっている。南北2棟のビルがあった場所は、テロを後世へ伝えるモニュメントとして中心部がプールのように水で満たされていた。その周囲の黒い石柵には犠牲者の氏名が彫られていた。南メモリアルの石柵に私と同名の日本人名が彫られているのを見付ける。恐らくビル内にあった日系大手金融機関の事務所で亡くなられたのだろう。合掌。

 北メモリアルの北隣には全米一の高さを誇るワンワールドトレードセンター(WTC1)が2014年に完成し、ニューヨーク一高い展望台は人気を博しているそうだ。私は翌日に別のビル展望台入場券を予約購入していたので、シルバーに光る超高層ビルを下から見上げるだけにした。

 フルトン街から地下鉄Jラインに乗り、イースト川を渡りブルックリン地区ウイリアムスバーグのメイシー通りで下車する。

 ここへ来たのは芸能界の肉キング寺門ジモン氏が世界一のステーキ店と激賞する「ピータールーガーステーキハウス」で昼食を取りたいと思ったからだった。超人気店なので夕食の予約を取るのはかなり難しいと聞いていたが、平日の昼ならば「ひょっとして」という期待があり行くことにした。煉瓦造のピータールーガーは駅の高架ホームからもすぐにそれと分かるくらい目立っていた。

 ピータールーガーステーキハウスは大きな建物のダイニング棟とは別に道路の反対側に仕込み用と思しき大きな建物もあった。ステーキを目当てに多くのお客が訪れることで商業的にも大成功を収めているようだ。

 大きな木の扉を開けて店内に入り、ハーフエプロン姿の体格良い中年ウエイターに入店したい旨を伝えると、短い待ち時間で席に案内された。ランチのピーク時間を過ぎた時間に来たのが良かったようだ。ダイニング内は高級店ながらもカジュアルな感じで、アメリカらしい実用本位で丈夫そうな木製テーブルには、メニューを兼ねた紙のランチョンマット敷かれていた。

 この店は28日熟成させたステーキが有名で、二人用Tボーン(ポーターハウス)ステーキ$102、一人用ステーキ$52という価格。予算の都合もあり、ルーガーバーガー($15)とスプライトを中年ウエイター氏に注文する。

 すぐにパンとスプライトが運ばれてきた。「えっ?ハンバーガーにパン?」と思ったが、ふっくらと焼かれたそのパンはとてもいい香りを放っていたのだ。一口食べてみると上質な小麦粉を使って焼かれているようで、驚くほど美味しい!私が今まで食べたパンの中でもかなり上位に入る。正直な話、美味しいパンがニューヨークで食べられるとは思わなかった。

 驚きはこれだけではなく、少し経って運ばれたルーガーバーガーが本当の衝撃を与えてくれた。

 バンズに半ポンド熟成肉パティと厚切り生オニオンだけという素っ気無い外観ながら、溢れる出る肉汁とナッツのような熟成香、旨味の濃い牛肉の美味しさは本当に凄いとしか言いようが無い!

 生オニオンが肉の味を決して邪魔しない脇役に徹しているようだ。特製ソースも見た目は只のカクテルソースだが、複雑な旨さや爽やかな香りに溢れていて、肉に付けると美味しさが増して食が進む。

 余談だがハワイや日本で大人気なウルフギャングステーキハウスを営むウルフギャング氏は、ここピータールーガーで働いてノウハウを学び独立したということだ。

 とても美味しく満足な昼食を食べ終え、チップ込みで$25をウエイター氏に払った。すると彼は会計終了の証として大きな金貨チョコレートを数枚テーブルに置いた。ちなみにこの店の支払いは現金のみで、カード社会のアメリカではとても珍しい。

 かつてはニューヨークの倉庫街だったブルックリンは、1990年代からアーティストが家賃の高額なマンハッタンから移り住んだ。それをきっかけにお洒落な店が増え、今では文化の発信地となっている。その中でもウイリアムスバーグは特に人気の高い街で、ピータールーガーはそこの南端にある。

 店を出てスマホ地図を頼りにメインストリートであるベッドフォード通りを北へ歩いて行く。マンハッタンより人通りが少なくて見上げるような高いビルもないので、晴れた青空の下で歩くのはとても気持ちが良かった。

 ここにはイギリスロンドンの住宅街みたいな半地下を持った煉瓦造りの低層住宅が並んでいて落ち着いた雰囲気を感じさせる。東京で例えると青山・代官山・恵比寿辺りではないだろうか。

 ベッドフォード通りから左へ折れて1本西側の通りを歩いて行くと、そこは少し違った雰囲気の奥渋谷か裏原宿みたいな場所があった。感じ良い店構えのバッグ店があったので入ってみる。店名は「バッグ(BAGGU)」という名前で、店名がローマ字で表記されていた。日本語の発音がブルックリンではお洒落に感じられているのかも知れない。この店で妻と娘へ土産のキャンバストートバッグを色違いで2点購入した。ここへ来ないと買えない商品なので、日本では稀少性があるかも。

 バッグ店から歩いてすぐの場所には、自動車修理工場風の外観を持った「ブルーボトルコーヒー」があって人生初めての入店をする。

 日本ではどこの店舗もいつでも混んでいて、入店は何度も諦めていたのでウイリアムスバーグでの初めては良い思い出になりそうだ。

 店舗奥のコーヒー豆焙煎作業場を見ながら、アイスニューオリンズ(チコリコーヒーオーレ)を美味しくいただいた。スタバほどコーヒー豆の焙煎が強くなく、端麗な味わいの美味しさだった。

 ゆっくりとコーヒーを飲み終わり、店を出てから1時間半位ウイリアムスバーグの街歩きを楽しんで、ベッドフォード通り駅からメトロ4号線とL線に乗って、グランドセントラル駅へ戻った。

 ブライアントパークのベンチで少し休み、脇のホールフーズで乾燥パスタやメープルシロップなどを買う。その後一旦ホテルへ戻り、浅めのバスタブにお湯を入れて、疲れた体をほぐした。