2 歴史的な美しいビルの街、シカゴ その2
シカゴオヘア空港は滑走路8本とターミナル4棟を持ち、2005年までは離着陸回数世界第一位(現在はアトランタハーツフィールド空港)だった超巨大な空港だ。
国際線は全てターミナル5に到着して、乗客はアメリカ入国審査を受けることになっている。予想に反して入国審査の列は短く、並んでから10分ほどでアメリカ入国を果たした。バゲージターンテーブルで預けていたスーツケースをピックアップし、ATS(ターミナル間シャトル)でシカゴL(市内鉄道)駅のあるターミナル2へ移動した。ターミナル地下の通路を数分歩き、CTA(シカゴ交通局)のシカゴLブルーラインのオヘア駅に着いた。
改札手前にある乗車券自販機のモニターには「1Dayパス$10、3Dayパス$20」と表示されている。空港から市内までの運賃が片道$5なので、その後$10乗れば元が取れてしまう3Dayパスを購入した。乗り放題パスはパスモのようなICカードで今から72時間、地下鉄とバスが自由に乗降出来る。
ステンレス製の車両は東京メトロ銀座線より一回り小さく、車内にはクッション付きのクロスシートが並んでいた。
電車は地下のオヘア駅を出発するとすぐに地上へ出て、フリーウェイ中心部を快調に走って行く。地下鉄をイメージしていたが、地下を走るのは市内の中心部だけで殆どは高架線を走っているようだ。空港エリアを抜けると、煉瓦造りの低層住宅が並ぶ地区だった。土曜日の午前中ということもあって、途中駅の乗降客は少なかった。
空港を出てから約45分でシカゴ川の南(リバーサウス)ループ地区にあるホテル最寄り駅のモンローに到着した。駅はホーム、コンコースへの階段、改札口辺り、地上への階段の全てがレトロで小振りに出来ていた。
地上へ出ると気温が10度位と低目で吹く風も強く肌寒く感じた。シカゴは別名「ウインディシティ(風吹く街)」と呼ばれて一年中強めの風が吹く街だということを実感する。
モンロー駅から歩いてすぐ、明後日まで2泊する「クラブクォーターズホテルセントラルループ(CQホテル)に着いた。風吹く街らしくホテル入口前に仮設風除室があったので、意外に重いドアを開けて中に入る。フロントでスーツケースを預かってもらうつもりでいた。しかし嬉しい誤算でチェックインの15時まで5時間近くあったにも関わらず、フロント女性の好意で無償のアーリーチェックインさせて貰えることになった。
案内された10階の客室内は思ったより広く、ストライプカバーが掛けられた大きなベッドと緑色のセンス良いソファーが目に付いた。インテリアは落ち着いた感じで整えられていて、更に小さなキッチンも付いていた。どうやらフロント女性は部屋のアップグレードもしてくれたようだった。
窓から外を見てみると、ホテル周辺は東京で言うなら丸の内か大手町の様な場所ではないだろうか。ガイドブックの地図で確認してみると、周辺には新旧のオフィスビルや歴史的な建物が数多く見られた。そしてホテルの前を走る道は「ヒストリックロード・ルート66」と知った。私の頭の中をジャズの名曲「ルート66」が軽やかに流れていく。
飛行機での寝不足もあり、ベッドで少し休んでからシカゴ街歩きに出かける。ホテルの二軒隣にある赤い外観のビルは「ルーカリービル」という19世紀末に竣工したシカゴ名建築の一つだった。旧帝国ホテルを設計した「フランクロイドライト」も設計に参画していたようだ。
ホテルから最も近いシカゴLループ(市内高架鉄道)のクインシー駅手前には、シカゴ摩天楼の一角を成し商業の街シカゴを象徴する「シカゴ商品取引所」の45階建アールデコ様式建築の美しい外観が見えた。この街には美しい歴史的な建築が多いようで、建物を見ているだけで街歩きが楽しくなりそうだ。
19世紀末に完成したシカゴループは、鋼鉄の時代を反映したような鉄骨組み3キロ弱の市内高架環状線で、現在はシカゴL5路線が乗り入れている。電車が「キーキー」と大きな金属音を立てつつ、ほぼ直角に曲がって行く様子は、ディズニーシー・エレクトリックレイルウェイのモデルでないかと思わせる。
クインシー駅の狭い鋼鉄製階段を上がり、木製ホームに立って周囲の歴史ある美しい外観のビル群を見上げていると、20世紀初頭にタイムスリップしたような気分になった。
ブラウンライン(列車行先表示がカラーLEDで誤乗車防止になっている)に乗車し、ループ線を3/4周する。直角カーブや線路直交交差(ダイヤモンド・クロス)を愉しみ、シカゴ川北側(リバーノース)のシカゴ駅で下車する。沿線には「ぬりかべ」の如く大きく聳える「マーチャンダイズ・マート」があり、その駅で下車しようか悩んだが、空腹には勝てずランチを優先することにする。
34年前のアメリカ旅行の中で美味しいと印象に残ったのは刻みピクルスたっぷりのホットドッグとフレッシュオレンジジュースだった。そんな思い出があり、最初の食事はホットドッグと決めてシカゴの有名店「ポーティローズ」を目指した。
駅から店のある方向へ歩いて行くと、香ばしい炭焼き肉の香りが漂って来た‥!香りがしている煉瓦造りの大きな建物が目指す「ポーティローズ」だった。
対面側には開業初期の店舗を再現した大きなMマークをデザインに取り込んだオリジナル・マクドナルドの店舗も見えた。
大きな木のドアを開け中に入ると、煉瓦の壁にネオンサインが輝きカーニバル風の飾りがされて、多くの客で賑わっていた。
「ポーティローズ」のシステムはオーダーカウンターで注文し支払いを済ませる。待っていると出来上がりをレシート番号で呼ばれるので、引き取りカウンターでピックアップするというものだった。
私はホットドッグと大好きなルートビアLサイズを注文して$6だった。この店のホットドッグは、牛肉のソーセージ(ヴィエナ・ソーセージと言うそうだ)が炭火焼きされ、ケシの実がまぶされたドッグパンに20センチ位の大きな胡瓜ピクルス、グリーンチリと一緒に挟まれている。焼いたソーセージの香ばしさが食欲をそそり、席につくとすぐにかぶり付いた。
ソーセージの塩気とピクルスの酸味が調和してとても美味しい。合間に飲む独特な香りのルートビアがとても合っているようと思う。アメリカ最初の食事は満足出来るものだった。




