母方の伯父が亡くなってから8年半ほどになる。伯父夫婦には子供がいなかったため、幼い頃から私たち兄弟を可愛がってくれた。
私が小学校3年くらいの頃、伯父の家に遊びに行くと、街に連れて行ってデパートでオモチャを買ってくれたり、喫茶店でケーキを食べさせてくれたりした。喫茶店では、伯父は黙ってコーヒーを飲んで煙草を吸っていたが、その姿が今も何となく思い浮かぶ。
伯父が買ってくれたオモチャで今も覚えているものがいくつかある。電池で動く「スーパージェッター」の「流星号」のプラモデル。ゼンマイで動く「オバケのQ太郎」などなど。「流星号」のプラモデルは父が組み立ててくれたが、楽しそうに作っていた父の姿も思い出す。
そんなオモチャの中で、一番印象に残っているのが怪獣のプラモデルで、「ウルトラQ」に登場する冷凍怪獣「ペギラ」のものだった。確か色は紫で可動式のものではなかった。これが、最後まで一人で作れた最初のプラモデルだった。
「ペギラ」は私の好きな怪獣の一つで、「ウルトラQ」では第5作「ペギラが来た!」と第14作「東京氷河期」の2作に登場する。
ペギラを撃退したのは「ペギミンH」という物質で、南極大陸に生育する架空のコケの成分から抽出したものだった。このコケは遭難した犬を越冬させるほどの滋養に富むが、一方で、ペギラと同環境に生息するアザラシに対しては毒物として働くという。
東京にペギラが飛来した際は、爆薬と混合させたものを搭載したセスナ機が体当たりすることで撃退したが、まるで特攻隊のようなストーリーである。しかし、このコケはペギラを退治するまでには至らず、追い払うに留まっている。いつか蘇ることを想定したもののようである。
白黒の映像の当時、眼が光り口から冷凍光線を吐く「ペギラ」は、子どもの眼にはとても恐ろしいものに映った。日本列島を覆うこの猛暑も「ペギラ」が何とかしてくれないかな、などと思う。