「暑さ寒さも彼岸まで」(No heat or cold lasts over the equinoxes.)というが、ここ2・3日暑さがぶり返してきた。風がなく気温がやたら高く少し動いただけで汗まみれになる。もうしばらく我慢するしかなさそうだ。
そんな中、今朝のニュースで豊前市のある地域で早やヒガンバナが咲いている映像を見た。緑の中の赤い花が不思議と秋風の涼しさを連想させる。
2012年から2014年の頃、毎週のように福岡方面に車を走らせた時期があった。国道211号線で直方(のおがた)まで行って県道21号線に入る。遠賀町、鞍手町、宮若市を通って犬鳴峠のトンネルを抜けて久山町に入る。そこから福岡市内へと車を走らせた。
今思い出すのは宮若市や久山町でよく見かけたヒガンバナである。初秋の静かな田園地帯のあちこちに群生して咲く鮮やかなヒガンバナに何を思ったのか。記憶は時の彼方である。
ヒガンバナ(曼殊沙華)について、以前少しだけ調べたことがある。
ヒガンバナは別名、曼殊沙華(まんじゅしゃげ(か))と呼ばれる。サンスクリット語のmañjūsakaを漢字で音写したもので「天界に咲く想像上の花」を意味する。
日本では田畑の周辺や川岸、また墓地などに群生しているのがよく見られるが、その毒性から害虫や害獣を避けるために人為的に植えられたものと考えられている。また死人花(しびとばな)、狐花(きつねばな)、幽霊花(ゆうれいばな)など異名が多いのも特徴である。
学名をLycoris radiata、英語ではcluster amaryllis(群生するアマリリス)とかred spider lily(赤い蜘蛛の百合)と訳される。
Red spider lilies burn as I pass through the quiet streets under the strong autumn sun.
「曼珠沙華一むら燃えて秋陽(あきび)つよし そこ過ぎてゐるしづかなる径(みち)」
※訳者不詳。一むらは一叢(群)の意味。(木下利玄『心の花』1925年より)