英語の迷い道(その161)-「外国旅行をしなくなった(?)若者たち」 | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴16年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

ここ数日、青嵐が吹く清々しい五月晴れとなったが、今日は午後から気温が上がり蒸し暑くなった。季節の変わり目のようである。今日、家内を見送りに福岡空港まで行ってきた。2週間ほど里帰りするからだ。

 

国際線ターミナルは相変わらず工事中だが、竣工は2025年は3月末の予定らしい。今はフードコートも無いに等しく不便を感じるが、いずれ国際都市の玄関口として新しく生まれ変わるだろう。

 

 

実は、海外に行ったことは今まで一度しかない。それも30年以上も昔のことである。それも英語圏ではなく韓国のソウルだ。

 

別に時間や金が無かった訳ではないのだが、何となく行きだせなかった。元来、物臭(面倒臭がり)の人間らしい。若い頃からしばしば海外に行く友人も周りにはおり誘われもしたが、とくに行きたいとは思わなかった。でも今にして思えば、海外旅行で恥をかくなどの経験は積んでおくべきだった。心底そう思う。

 

 

今年の秋には、弟夫婦と台湾に行こうと計画している。亡父の第二の故郷とも言える場所だ。父は若い頃、日本領の台湾の地で苦学生として随分苦労したらしい。そんな話を子供の頃よく聞かされた。

 

 

以下の文章は、「外国旅行をしなくなった若者たち」をテーマとしている。果たしてそうなんだろうか?だが、確かに昨今の円安であれば仕方ないとも思えるが……。

 

 

(問題)

次の文章を読み、下線部(A)、(B)を英語に訳しなさい。

 

日本の若者たちが外国旅行をしなくなったと言われて久しい。それもあって、私のような者にまで、もっと外国を旅せよという「檄(げき)」を飛ばしてもらえないかといった依頼が届くようになった。だが、申し訳ないけれど、そうした依頼はすべて断ることにしている。

(A)ひとつには、私も若いとき、年長者の偉そうな「叱咤激励」が鬱陶しいものと思えていた。だから自分が齡を取っても、絶対に若者たちに対するメッセージなどを発しないようにしようと心に決めたということがある。

(B)もうひとつ、旅への関心にはさまざまな段階があると思えるのだ。近いところから、少しずつ遠いところに関心が向かっていくというのも珍しいことではない。たとえ、いまは日本国内に留まっていても、何かのきっかけがありさえすれば、いつか異国への関心が芽生えるだろう。

(沢木耕太郎『絵馬の向こう側』より一部変更)

(東北大学・2018年)

 

 

(拙・和文英訳)

It has been a long time since young people in Japan are said to have stopped traveling abroad. Partly because of this, even I came to receive requests to “make an appeal“ to young people for traveling abroad more. However, I’m sorry to say that I refuse all such requests.

(A) For one thing, when I was young, I thought that such bossy “encouragement” from elders was annoying. Therefore, I made up my mind not to send out a message to young people even though I become older.

(B) As another reason for this, I think that interest in traveling would have various stages. It is not uncommon for someone’s interest to shift gradually from a near place to a distant place. Even if young people’s interests stay in Japan now, once they are triggered by an opportunity, they will develop an interest in foreign countries someday.