英語の迷い道(その136)-「記憶の不思議」-ひっかき傷のような思い出 | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴16年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今日は春らしい陽が差していたのでダウンを脱いで外出したら、早春の清々しい空気の中で風が冷たかった。冬の間、縁側の廊下に退避させていた多肉植物を再び庭に出した。これで縁側もスッキリしあとは春を待つばかりとなった。

 

上洛の日が近づいており新幹線の切符を手配した。15年半ぶりの京都や大学の周辺はどう変わっているのか?友人とゆっくりと会えるのも楽しみだ。

 

友人たちによく言われるのが私は「記憶がいい」そうだ。大切な事よりは「妙な事」を覚えているようである。「そんな事よく覚えとんなっ!?」とよく言われる。不思議なことに頭の中にその時の情景がなんとなく浮かぶのだ。

 

でもそんな驚異的な記憶力も昨今衰えてきたようである。やはり歳のせいだろうか。そんな「妙な事」は努めてブログに残すようにしているが、「ブログに書けば忘れていい」と脳が命令しているのかもしれない。

 

以下の問題は「記憶の不思議」に関するものである。自分なりに咀嚼したつもりだが、スッキリと訳せない日本語も多かった。

 

 

(問題)

IV.次の日本文(B)の意味を英語で表しなさい。

 

(B)

思い出とは不思議なものである。強烈な出来事だけが記憶として残るのかと思えば、どこでつけたか分からないひっかき傷のような些細なことが、忘れかけたころにふと思い出される。それでなくても五感に刻み込まれた記憶は、閉じ込めようとしても何かの拍子に触発されて、鮮やかに蘇ってくる。

(津田晴美『毎日が旅じたく』筑摩書房)

(大阪大学 文学部・2009年)

 

 

(拙・和文英訳)

Memories are mysterious. Only intense events sometimes remain as memories, however, trivial things like scratches that you wouldn’t know where you put them are, from time to time, suddenly remembered when you almost forget them. In the cases other than such trivial things, the memories engraved in your five senses will be inspired by some chance and will revive vividly even if you try to seal them off.