私が小学生の頃、夏休みが終わりに近づく今の時期は、毎年夏休みの宿題に追われていた。「夏休みの友」だけではなく、自由研究や作文、工作など時間が掛かるものもあった。
それを見かねた父親がいつも工作を手伝ってくれていたが、気がつけば父親自身が工作を楽しんでいるように見えた。
父親が新聞紙や段ボール、荷造り用の紐などを使って器用に木馬を作ってくれたことを思い出す。その木馬で先生から優秀賞を戴いたことを今でも覚えている。
私の世代にくらべ、父親の世代の子供たちには玩具を自分で作るだけの知恵があった。
以下の京大の問題は、経済的な発展が子供たちの生産的精神に与える影響について記述したものである。確かに便利になればなるほど、創意工夫の機会は失われていくものである。
(問題)
経済的な発展の結果、遊び道具やおもちゃにしても、既製品が大量に与えられるので、子供たちはそれを自分でつくる必要がなくなった。かつて、ものを手作りするということは、身体を発達させ、充実感を与え、生産的な精神をはくぐむことであった。
(京都大学 1992年後期)
(拙・和文英訳)
Since economic development has enabled to provide children with a large quantity of ready-made toys, they no longer have to make their own playthings and toys by themselves. However, in the past, hand-crafting was thought to develop children’s body, give them a sense of fulfillment, and foster a productive spirit.