新・英語の散歩道(その64)-横浜の思い出-柴田まゆみ「白いページの中に」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

安田火災のシステム部で最初の年度末、同期のSの誘いで精算課の女性2人と横浜方面にドライブに行った。1984年3月末のことである。季節外れの暖かい日だった。

 

精算課にとても色の白いIさんという可愛い娘がいた。何となく気になり同じ課のSに相談した。Sは彼女と話ができる機会をさっさと作ってくれた。

 

 

横浜に行ったのはそのときが初めてだった。第三京浜を通って葉山のヨットハーバーへ。ユーミンの歌「海を見ていた午後」に出てくる山手のレストラン「ドルフィン」で食事をとった。夕刻、中華街を散策してから東京に戻った。

 

 

今振り返れば、このドライブではIさんと大した話もできず、以後親しくなることはなかった。以来、横浜に行くことはなく、今でもこのときの横浜が思い出の1ページとして記憶の片隅に残っている。

 

 

 

 

以下は、「現代国語の解法ルール48」(小島英男著・洛陽社)にあった開高 健の文章である。淡々と頭に入ってくる読みやすい文体だ。今回これを英訳してみる。

 

 

(問題)

北京は静かな街である。ホテルは内城の近くにある。朝早く眼をさましてうつらうつらしていると、市場にいくのか、驢馬が荷車をひいていくのが聞こえる。乾いた蹄の音が歩道と城壁にこだまして、乾いて澄んだ空気のなかにひびく。ほかにはなんの物音もない。驢馬の蹄は遠くいつまでも聞こえる。昨夜、誰かが夜おそくホテルの窓の下を口笛で「ハバネラ」を吹きつつ歩いていた。その口笛もいつまでも聞こえた。

(開高 健「過去と未来の国々」)

 

 

(拙・和文英訳)

Beijing is a quiet city. The hotel is located near the inner castle. When I wake up and is half asleep early in the morning, I hear a donkey pulling a cart to the market. The sound of dry hooves echoes on the sidewalks and castle walls, and resounds in the dry crisp air. There is no other sound. The hooves of the donkey can be heard far away and endlessly. Last night, I heard someone walking under the hotel window, whistling "habanera." I could also hear the whistling for a long time.