続・英語の散歩道(その91)-「過去への旅」と「冬将軍」の正体 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

最近、学生時代に講義を受けた(実際は受講できたのにしっかりと受講しなかった)教官の著書をアマゾンの中古品で探し出して読んでみようという懐古的(回顧的)な試みをしている。

 

古書が届いて中を開くとノスタルジックな雰囲気が漂う。ある意味過去の「罪滅ぼし」のような気持ちにもなる。西村京太郎の小説によく出てくる「過去への旅」みたいなものかも知れない。

 

既に他界されている先生方、ご存命の方でも90歳前後になるだろう。自分も随分歳をとったものだ。

 

 

 

 

 

 

2019年12月、通訳案件が片付き一段落した。以降2020年1月にかけて過去に翻訳・通訳の取引があった企業のうち再受注が見込めそうなところを洗い出して片っ端から電話をして営業をかけるという活動を行った。こちらは「過去への営業」みたいなものである。

 

地場のゼネコン、精密機器や非破壊検査の会社、また北九州貿易協会とタイアップして技能実習生の監理団体を訪問したこともあった。

 

そんな営業の最中、嬉しかったのはメルマガの送付先である九州工大の先生から「一度会って英語談義をしたい」というお誘いがあったことである。専門書に埋もれた研究室で先生に淹れていただいたコーヒーを飲みながらのひと時。営業の疲れを忘れて癒された気持ちになった。

 

 

それから暫く経った2020年1月の中旬。一年で一番寒い頃である。ある「冬将軍」が我々に近づきつつあった。この「冬将軍」、後に COVID-19 と呼ばれることになる。

 

 

なお「冬将軍」とは、モスクワに突入したナポレオンが、厳寒と積雪とに悩まされて敗北した史実に因む冬の異名で冬の厳しさを擬人化した表現をいう。英語では Russian Winter, General Winter, General Frost, Jack Frost, Old Man Winter などと表す。このうち Jack Frost、Old Man Winter はイングランドの神話や童話に由来するものである。

 

Jack Frost is nipping at my nose and ears.

 

「冬将軍(霜の妖精)が鼻と耳を痛いぐらいに凍らせている」

 

Old Man Winter withdrew and allowed flowers to blossom and birds to sing.

 

「冬将軍が立ち去り、花は咲き鳥は歌えるようになった」