2008年5月。サン・フレア アカデミーでのTQE合格者説明会に参加した。上京するのは随分久しぶりで、前回は日本長期信用銀行(後に経営破綻、現・新生銀行)主催の金利スワップのセミナーに参加した地方銀行勤務の時代だった。
中央線の阿佐ヶ谷にホテルをとった。チェックイン後、中央線を西へ移動し思い出深い吉祥寺や武蔵境へと向かった。吉祥寺をブラブラと散策「キンテツウラ」は跡形も無かったがサンロードなどの商店街に以前の風情が残されていた。
武蔵境北口は大きく変貌を遂げていた。駅前の目抜き通りに昔の面影は殆ど残っていなかった。ちょうど退勤時刻に重なったのか、見覚えのあるバスが北口駅前に到着した。損保ジャパン(旧・安田火災)事務本部経由の便だった。降り立った乗客に見覚えのある顔があったが敢えて声は掛けなかった。
ホテルに戻った後、N証券(当時はN信託銀行に出向中)に勤務しているGEOSの仲間、JYに連絡をとった。20:00くらいから赤坂見附で軽く飲んで旧交を温めた。大手町あたりのビル群も大きく変貌していた。交通システムを含めた東京の全てが変わっていた。
翌日は5月らしからぬ冷たい雨となった。西新宿のサン・フレア アカデミーでTQE合格者説明会に参加した。午前中は認定証の交付などの式典と翻訳業務の一般的な説明、また機関誌掲載用の写真撮影もあった。
このとき「翻訳で何が一番大切か?」という本質的な話があった。答えは「納期を守ること!」らしい。品質はチェッカーやネイティブチェッカーによりカバーできるが納期が守られなければ全体の工程が狂ってしまうことが理由だった。自分が翻訳製品の製造工程の一部を担当する一次翻訳者であることを改めて認識した。
午後、翻訳コーディネーターと個別面接があった。これまでの業務経験や資格、また翻訳単価や今後の希望など本音で話ができた。この時のコーディネーターの方にはそれからも数年にわたりお世話になった。
夕刻から西新宿で旧・安田火災「いいとも会」のメンバーと飲むことになっていた。場所は新宿センタービルの「音音」という居酒屋だった。
飲み会までまだまだ時間があったので埼京線で池袋に出た。雨の池袋西口を散策した。西口は大きくは変わっておらず「ロマンス通り」などは昔の猥雑さをあちこちに残していた。
夕刻、旧・安田火災「いいとも会」メンバーが「音音」に集合した。公認会計士になったITのほか、メンバーの全員が安田火災本体を離れて別会社で勤務しているという不思議な符合が見られた。安田火災・関前寮時代の懐かしい話に花が咲いた。
この日は祝勝ムードの中で浮かれていたが、地元に戻りサン・フレアから実際の翻訳業務を受託するようになって、翻訳の苦しさ、納期の厳しさ、また翻訳業務自体の恐ろしさを嫌というほど思い知ることになった。